チーズケーキにかぐや姫は月面着陸できない
姫は住宅街を走っていた。
夕焼けの光が辺りを包み込み、
涼しい風が通り過ぎる。
「ただいま!」
元気よく扉を開けると両親が
「おかえり」と返してくれる。
「かぐやは?」
「部活が長引いて遅くなるって」
「またぁ??」
なんて言いながらも姫の口元は綻んでいる。その笑みはかぐやのことを信じている証だった。
食卓の上のチーズケーキを見つめていると、ガタガタっと音を立てて誰かが帰ってきた気配がした。
「ただいま!
遅くなってごめんね!!」
申し訳なさそうに眉を八の字にする妹に笑みを浮かべる。
「かぐやって本当に人気者だよね。
姉として誇らしいよ」
「ふふっ、姫も最近勉強頑張ってる
らしいじゃない。妹として誇らしいわ」
そう言い合いながら、席に着く。
「今日もまん丸のお月様ね」
母の言葉に双子は顔を見合わせてクスリと笑った。
「「チーズケーキにかぐや姫は
月面着陸できないけどね」」
(終わり)