お月見
「ねぇ、姫......」
懲りもせずにまたかぐやが話しかけてくる。
無視していると、小さなため息が聞こえてイラっとした。
「何? わざとらしくため息なんかついてそこまで大事な用があるわけ?」
かぐやは動揺して瞳を泳がせる。
「ご、ごめん......。
でも......私、どうしても姫と
やりたいことがあって......」
「はぁ? やりたいこと?
そんなの、友達とやればいいじゃん」
席を立つと、かぐやの華奢な手が
姫の腕を掴んだ。
「待って!!
友達とじゃダメなの。
姫とだからやりたいの」
かぐやの力強い眼差しに幼い頃の
彼女を思い出した。
今更なんでそんな目を向けるのだ。
腹が立つ。
「......何よ。あたしがいくら待っても
帰ってこなかったくせに......」
「......ごめん......。
でも、今度こそはちゃんと帰ってくるって約束する。だから、一緒にお月見しよう?」
潤んだ瞳に誰もが健気だと宣うことだろう。
けれど、もう騙されない。
「バカにしないで」
そう言い放ち、放課後の教室を後にした。