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Via Serpentis––継承––

 レオンは毎日人々に雨を恵んだ。
 レオンは毎日人々と会話を行った。
 その度に、少年は唇を噛み締めた。
「なぁ、レール」
 代わりに、レオンと最も交流の深いレールと話すようになった。
 スネークウォーク二人目のレール。
 気さくで接しやすさを、少年は好んだ。
 だが、何よりの理由がある。
『出番が少ない』のだ。
 父は、毎日のように『神楽』を舞い、雨の恵みを与えていた。
 そして他の仲間達は、それぞれが適している場所に赴いて、己の力を発揮していると聞いた。
 村に残っているのはレールと少年のただ二人。
「まあ、確かに凄いよな」
「言おうとしてることが分かるのか?」
「お前...ちゃんと根源のお告げ聞いたか?」
 その言葉に、少年は静かに眼を伏せた。
「俺、それ覚えてない」
「.........まじ?」
 その反応は、九十八回目である。
 父以外の仲間は、皆同じ反応をした。
「まじ、レールはどんなの聞いたの」
 だから少年は問いかけた。
 その言葉に、レールは真剣な顔つきで言う。

「我は常に炎と共に在る。炎のように燃え続け、森羅万象を導く汝の名は――レーニル」

 その言葉を聞いて、少年はまた思う。
―――あぁ、コイツもか。
「レールじゃないじゃん」
 少年の言葉に、レールは微笑んだ。
「本当の名前は、然るべき時に使うんだ」
 そう言いながら、少年の頭を優しく撫でた。
「俺の名前は?」
「うーん?意味を教えてほしいって事か?」
「うん」
「その時が来ればわかる。その方が面白い」
「ひどいな、本当は知らないのか?」
「はは」
 ―――でも、皆同じ事を言う。
 だとしたら、お告げを覚えていない俺は。

 役目なんて、ないんじゃないのか?

「お、いた!」
 共にチャポンという水の音が聞こえた。
「...親父」
「お、お前もいたのか?いいもんが見れるぜ...レール、お前の番だ」
 その言葉に、レールは嬉しそうに微笑んだ。
「やっときたか」
 その言葉と共に、レールは一歩前に出る。
「んじゃあ行くぞ」
 その言葉と共に、レールの手元に木の枝が現れた。

「我の名はレーニル。スネークウォークの炎を司る者」

 その瞬間、木の枝から炎が溢れた。
「烈火!」
 その瞬間、人々の胸に炎が現れた。
 人々の胸に宿った炎は、
 恐怖ではなく、希望として燃え始めた。
「滾る心は我の願い」
 その言葉と共に、レオンが前に出た。
 そして、舞う。
 植物の芽吹きを描くように手を巡らせる。
 獣の躍動をなぞるように足を運ぶ。
 人へ手を差し伸べるように腕を伸ばす。
 四季の巡りを映すように舞を繰り返す。
「すげぇよなぁ、レオン」
 役目を終えたと言わんばかりに、レールは少年の元へと歩み寄った。
「レールは踊らないの?」
「俺は『踊らない』じゃなくて『踊れない』んだよ」
 その言葉に、少年は琥珀の眼を見開かせた。
「親父は踊れるのに?」
「...そうだな」

 ――親父に帰ったら聞こう。
 ――なんで親父だけ『神楽』を舞えるのか。
 ――なんで皆、名前を変えてるのか。
 ――俺の名前の意味はなんなのか。
 ――俺は何の役目があるのか。

 その瞬間、バシャュという音が聞こえた。
 はじめて聞くその音に――。
 一同は、動きを止めた。
「...............おやじ?」
 レオンが胸を押さえながら、少年を見つめる。
「スネークウォークに命ずる!」
 その瞬間、視界が紅に染まる。

「第一に己の身!第二に森羅万象を、護...ぐっゔ」

「おやじ、おやじ!」
 少年は叫んだ。
「お前の仕業か!」
 レールの悲鳴にも聞こえたその言葉に、村の長はゆっくりと微笑んだ。
 まるで、こうなることが理解っていたかのような不気味な微笑みに、少年は一歩後ろへと下がった。

「は、神の使いと言えど、所詮は人の身体か」

 その言葉に、レールは木の枝から炎を出そうとした瞬間にレオンに止められた。
「レール、仲間を逃がせ、はやく」
「レオン!」
「六芒星ダビデのネックレス、全員、もったな、」
 紅い液体が溢れる箇所を押さえながらレオンは言う。

「我の...名は......レオマレ・クロウリー」

 その瞬間、少年の首元が光った。
 同時に、いなかった仲間達が目の前に現れた。
「何事だ!」
 すぐに仲間は叫ぶ。
 異常性を理解している。

「スネークウォークの、水を......司る...者」

「流れる、水の如く」

 その瞬間、目の前に水が現れた。
 比喩などではない。
 事実、目の前に現れたのだ。
「おやじ、おやじ!」
「行くぞ!レオンとは後で落ち合う!」
「でも!」
「アイツの命令は絶対だ!行くぞ!」
 レールが強引に少年の腕を掴み、水の中へと飛び込む。その瞬間、ドォン!という地響きの音と共にスネークウォークは山の奥へと逃げていた。
「レオン!」
 レールが叫ぶ。
「レオン!」
 レールが叫ぶ。
「レール。私に任せて」
 仲間の一人がそう言った。
「パステル...」
「お願い」
「......分かった」

「我の名はウォルテル。空を司る者」

 その瞬間、パステルの身体に大きな羽が生えた。そして優雅に空を飛ぶ。
「レオン...レオン!」
 パステルはひたすらに叫び続けた。

『汝の名は―――』

「...レール?」
「なんだ、悪いが今余裕ない!」

『誰よりも―――』

「.........」
 そっか。そうだったのか。

「レール」
「だからなん...おい、どうしたんだよ」
 少年の顔を見て、レールは少年の元に駆け寄った。
「俺たち、なんで攻撃されたの?」
 真剣な顔つきを見て、レールは言う。
「...あの長の心は、歪んでいた」
「うん」
「根源の使いを利用しようとしたんだろうな」
「うん」
「俺たちはこれから、殺戮者って呼ばれる」
「なんでわかるの?」
「...俺の力、炎は森羅万象の『心』だ。長の考えていることくらい手に取るように分かる」
「そっか」
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Oblivium  Library作者:結弦
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 レオンは毎日人々と会話を行った。
 その度に、少年は唇を噛み締めた。
「なぁ、レール」
 代わりに、レオンと最も交流の深いレールと話すようになった。
 スネークウォーク二人目のレール。
 気さくで接しやすさを、少年は好んだ。
 だが、何よりの理由がある。
『出番が少ない』のだ。
 父は、毎日のように『神楽』を舞い、雨の恵みを与えていた。
 そして他の仲間達は、それぞれが適している場所に赴いて、己の力を発揮していると聞いた。
 村に残っているのはレールと少年のただ二人。
「まあ、確かに凄いよな」
「言おうとしてることが分かるのか?」
「お前...ちゃんと根源のお告げ聞いたか?」
 その言葉に、少年は静かに眼を伏せた。
「俺、それ覚えてない」
「.........まじ?」
 その反応は、九十八回目である。
 父以外の仲間は、皆同じ反応をした。
「まじ、レールはどんなの聞いたの」
 だから少年は問いかけた。
 その言葉に、レールは真剣な顔つきで言う。

「我は常に炎と共に在る。炎のように燃え続け、森羅万象を導く汝の名は――レーニル」

 その言葉を聞いて、少年はまた思う。
―――あぁ、コイツもか。
「レールじゃないじゃん」
 少年の言葉に、レールは微笑んだ。
「本当の名前は、然るべき時に使うんだ」
 そう言いながら、少年の頭を優しく撫でた。
「俺の名前は?」
「うーん?意味を教えてほしいって事か?」
「うん」
「その時が来ればわかる。その方が面白い」
「ひどいな、本当は知らないのか?」
「はは」
 ―――でも、皆同じ事を言う。
 だとしたら、お告げを覚えていない俺は。

 役目なんて、ないんじゃないのか?

「お、いた!」
 共にチャポンという水の音が聞こえた。
「...親父」
「お、お前もいたのか?いいもんが見れるぜ...レール、お前の番だ」
 その言葉に、レールは嬉しそうに微笑んだ。
「やっときたか」
 その言葉と共に、レールは一歩前に出る。
「んじゃあ行くぞ」
 その言葉と共に、レールの手元に木の枝が現れた。

「我の名はレーニル。スネークウォークの炎を司る者」

 その瞬間、木の枝から炎が溢れた。
「烈火!」
 その瞬間、人々の胸に炎が現れた。
 人々の胸に宿った炎は、
 恐怖ではなく、希望として燃え始めた。
「滾る心は我の願い」
 その言葉と共に、レオンが前に出た。
 そして、舞う。
 植物の芽吹きを描くように手を巡らせる。
 獣の躍動をなぞるように足を運ぶ。
 人へ手を差し伸べるように腕を伸ばす。
 四季の巡りを映すように舞を繰り返す。
「すげぇよなぁ、レオン」
 役目を終えたと言わんばかりに、レールは少年の元へと歩み寄った。
「レールは踊らないの?」
「俺は『踊らない』じゃなくて『踊れない』んだよ」
 その言葉に、少年は琥珀の眼を見開かせた。
「親父は踊れるのに?」
「...そうだな」

 ――親父に帰ったら聞こう。
 ――なんで親父だけ『神楽』を舞えるのか。
 ――なんで皆、名前を変えてるのか。
 ――俺の名前の意味はなんなのか。
 ――俺は何の役目があるのか。

 その瞬間、バシャュという音が聞こえた。
 はじめて聞くその音に――。
 一同は、動きを止めた。
「...............おやじ?」
 レオンが胸を押さえながら、少年を見つめる。
「スネークウォークに命ずる!」
 その瞬間、視界が紅に染まる。

「第一に己の身!第二に森羅万象を、護...ぐっゔ」

「おやじ、おやじ!」
 少年は叫んだ。
「お前の仕業か!」
 レールの悲鳴にも聞こえたその言葉に、村の長はゆっくりと微笑んだ。
 まるで、こうなることが理解っていたかのような不気味な微笑みに、少年は一歩後ろへと下がった。

「は、神の使いと言えど、所詮は人の身体か」

 その言葉に、レールは木の枝から炎を出そうとした瞬間にレオンに止められた。
「レール、仲間を逃がせ、はやく」
「レオン!」
「六芒星ダビデのネックレス、全員、もったな、」
 紅い液体が溢れる箇所を押さえながらレオンは言う。

「我の...名は......レオマレ・クロウリー」

 その瞬間、少年の首元が光った。
 同時に、いなかった仲間達が目の前に現れた。
「何事だ!」
 すぐに仲間は叫ぶ。
 異常性を理解している。

「スネークウォークの、水を......司る...者」

「流れる、水の如く」

 その瞬間、目の前に水が現れた。
 比喩などではない。
 事実、目の前に現れたのだ。
「おやじ、おやじ!」
「行くぞ!レオンとは後で落ち合う!」
「でも!」
「アイツの命令は絶対だ!行くぞ!」
 レールが強引に少年の腕を掴み、水の中へと飛び込む。その瞬間、ドォン!という地響きの音と共にスネークウォークは山の奥へと逃げていた。
「レオン!」
 レールが叫ぶ。
「レオン!」
 レールが叫ぶ。
「レール。私に任せて」
 仲間の一人がそう言った。
「パステル...」
「お願い」
「......分かった」

「我の名はウォルテル。空を司る者」

 その瞬間、パステルの身体に大きな羽が生えた。そして優雅に空を飛ぶ。
「レオン...レオン!」
 パステルはひたすらに叫び続けた。

『汝の名は―――』

「...レール?」
「なんだ、悪いが今余裕ない!」

『誰よりも―――』

「.........」
 そっか。そうだったのか。

「レール」
「だからなん...おい、どうしたんだよ」
 少年の顔を見て、レールは少年の元に駆け寄った。
「俺たち、なんで攻撃されたの?」
 真剣な顔つきを見て、レールは言う。
「...あの長の心は、歪んでいた」
「うん」
「根源の使いを利用しようとしたんだろうな」
「うん」
「俺たちはこれから、殺戮者って呼ばれる」
「なんでわかるの?」
「...俺の力、炎は森羅万象の『心』だ。長の考えていることくらい手に取るように分かる」
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