9話 この学校の秘密
俺はドアを引き、301教室の中を見た。
横長の狭い部屋といった感じの、こじんまりとしたところ。
結構狭いな。
俺は中に入る。
左側、ケースの上にモデモンのトロフィーが置いてある。
が、そのトロフィーには鍵穴があった。
ふーむ......。
右側には本棚もある。窓も付いており換気ができるような場所になっていた。
因みに奥側はただの壁だった。
鍵穴は使うんだろうけど、まだ鍵がないってかんじ......だよね。一応触っておくか。
トロフィーは、ケースとくっついているようで外れない仕組みだった。押せるか試したり、回るか力を加えたりしたが動かない。
次に本棚を見る。
確実になにかはある。探せ......。
本には『時の始まり』や『ビッグバン』や『猫と犬』など、一貫性のないタイトルが並んでいた。
俺は先ずぱっと見し、その後気になるのを探す。
本を読むと分かる仕掛けかもしれないけど、読むの大変だしなー。取り敢えずタイトルだけで考えたいな。
タイトルの方向性はバラバラ、段に分かれていて、段を越えて縦に読むと繋がる。といった仕掛けは......?
『認めた者』『話の育て方』『炎の祭り』『再生の塔の資料』
は、全然ないと......じゃあ............。
俺はネックウォーマーを口元まで上げる。
今探しているのは恐らく、トロフィーに挿せる鍵。その鍵に繋がる言葉の本を見つければいいわけで......あっ。
俺は見つけた。本の中に『鍵』と堂々と書いてある本があるのを。
ネックウォーマーから手を離し、俺はそれを抜いて取る。
だいぶ古いというか、埃を被っているな。
抜いた跡になにかないかも見ると。
奥に鍵と紙が貼ってあり、そこにパスワードが書かれていた。
これか、さっきのパスワード欄に入れるやつは......と、鍵か。ひとまずパスワード打ってみるか。
ポケットからスマホを取り出し入力する。
言葉が出てくる。
『モデモンの見るところに答えはある』
モデモン......? ここに本物のモデモンはいない。トロフィーにあるモデモンかな? それくらいしかないけど。
俺は立ち上がり、次にトロフィーのある場所に移り鍵を差す。
こうでいいのかな。鍵って、どっち回しか最初は分からないんだよなー。
試してみて、右回転で回った。
鍵は間違いなく回り、カチャという音もした。
だが、反応はない。
触ってみよう。
上に持ち上げれるか? 何処か押せるようになっているか? スライドするようになっているか? 回せるか......。
触るとくるりとトロフィーは回転した。
ちょこっと角度の変わったトロフィーに、付いているモデモンは見る方向を変えていた。
トロフィーの止まったところで、モデモンが見ていた先を見る。
その先はただの壁。
あれ? 『モデモンの見るところに答えはある』って、回して向いた方向に次のなにかがあるって、ことじゃないの?
うーん......。
俺はネックウォーマーを再び上げる。
もしかして......! いや、まさか。
俺は右側の窓を開け、頭を外に出し壁の裏を見る。
すると、カバーの掛かったスイッチがそこにはあった。
壁を見てなにもないんじゃなくて、その裏にあるとは......。
カバーを開きスイッチを押す。部屋の中からガゴゴゴゴゴという音が響いてきた。
落ちないように気を付けつつ頭を中に引っ込めて、その光景を見た。
ただの壁だったところが、横にスライドして奥から部屋が現れたのだ。
嘘――。
俺はゆっくり歩みを進め、出てきた部屋を見回す。
奥は手前の部屋より二倍ほどの広さがある部屋で、古い型だとは思うがエアコンや窓、換気扇など必要な物が揃っていた。
この部屋凄いな。
人が入った形跡がなく、埃だらけなのが難点ではあった。
ごほごほ......あまり大きく呼吸できないな。
考えるわけではないが、俺はネックウォーマーを鼻まで上げた。
長机もあり、その上に一つ箱が置いてある。
なんだろう......次の謎かな?
開けると中には紙が入っていて、電話番号と『合言葉を言ってね。合言葉は『隠し部屋見つけた』』が書いてあった。
これは......状況的にこの学園設立当初の五十年前のもの、今も繋がるかわからないけど......。
俺は腰に手を当てる。
まーここまで来たしダメ元で電話してみますか。
俺はスマホに電話番号を入力。
通話ボタンを押した。
プルルと音が鳴る。
そのまま音は続く。
プルル......。
『はい。もしもし』
と、電話から声がしてきた。
繋がっちゃったよ。
「えっとあの......」
『誰ですかな?』
電話からは歳を取ってそうな声が聞こえてくる。
「ラサシト高校の一年生、囚覚十恕と申します」
『何のご要件で?』
俺はその場で歩き回り、動揺する。
「あ、えっと合言葉で......隠し部屋見つけた......で、合ってますか?」
『......』
音は止み、沈黙が走る。
『あーー! そうかそうか、やっと見つかったか!』
「......」
『そうか、おめでとう。よく見つけてくれたよ』
俺は話が通じたようで安堵した。
『自己紹介をしようか。私は先代の校長の松永十希じゃ。よろしくの』
「よろしくお願いします」
『そうじゃなー伝えるべきことは......その隠し部屋は君の在学中は、君の好きに使っていいぞ』
「え?」
俺は電話越しに首を傾げる。
『今言った通り、その見つけた隠し部屋は君の好きに使っていい。在学中だけじゃがな』
「あ、ありがとうございます」
凄いの手に入ったな。
『どうやって見つけたんじゃ?』
それから俺と先代校長先生の電話は続き、一時間ほど通話した。
◆◆◆
通話を終え俺は、隠し部屋を見ていた。
どうしようこの部屋......ま、先ずは掃除からだな。
使い道はさて置き、掃除を決心して取り敢えず帰宅するのだった。