10話 体験入部
朝のHRが始まる。
「前にも言ったが、一つの部活動には必ず入るようにー」
担任の先生が、そんなことを言う。
HRが終わり、
部活動かー......。
法根が話しかけてくる。
「部活なにも入ってなかったよな十恕」
「入ってないねー」
「良ければ俺のディベート部にでも入るか?」
俺は法根を横目で見る。
「仲間内で集まった遊び場でしょ?」
「おう! 他の人たちと仲良くなれれば楽しいぜ」
俺は机に突っ伏す。
「その人たちのこと、俺よく知らないし辞めとくよ」
「ま、それが安全策だな」
「うん......」
俺は体をゆっくり揺らし悩む。
「というかなんで、部活動一つは強制入部なんだ?」
「そういうルールだからだろ?」
「このルール俺嫌い」
「そんな子供みたいなこと言っても仕方ないだろ。無視してるとしつこく呼び出されるみたいだぞ、先輩の話曰く」
俺は「えーー」と嫌がって嘆く。
「俺様みたいに、できるだけ動かずに尚且つ楽しく遊べる部を探せばいいんだよ。この学校やたらとおかしな部が多いからあるだろ。いくつかは」
「ありそうだなー」
「......」
会話が途切れ、俺たちは二人で黙った。
法根が授業の準備に行こうとする時、一言話した。
「一階の入り口付近に掲示板がある。そこで部活動の募集してるから見てみたら?」
「そうだな。そうするよ」
俺は、突っ伏しながら答えた。
◆◆◆
放課後になり俺は、法根の言った通り一階の掲示板を見にきた。
テニス部、サッカー部などなど......色々あった。
「分からない」
どれがいいんだろう......なんか色々書いてあるけど、こういうのって書いてあるのはいいことばかりで、実際にやったら悪いことが多く目立つ、なんてこともあるんだよなー。
俺はネックウォーマーを上げた。
......。
ま、やれる範囲でできそうなやつ全部一回やってみるか。
そして翌日から俺は一つずつ部活動に体験入部していくことを決めた。
◆◆◆
「いくぜえー」
「へいっ! パスパス!」
パンっパンっと、ボールがフィールドを駆け巡る。
俺はサッカー部の体験入部を受けていた。
かれこれ、二十分くらいはやっている。
俺は相手が突っ込んできた時に、ボールを取りに行くディフェンダーをやっている。
ボールを蹴って相手がきた。
俺は全力でボールにくらいつく。
「うおお!」
「いいね気合があって!」
相手はボールを俺の股に入れる。
「あれ?」
相手はスルッと躱して俺を越えていった。
そして、ボールはゴールへと入っていった......。
「ま、最初は皆零からのスタートさ! 気にすることないぜ!」
ニッコリと、笑顔の眩しい先輩が話しかけてきた。
「左様ですか......」
俺のサッカー部体験入部の幕が降りた。
◆◆◆
「トンッ」と、気持ちの良い音とともにボールがラケットから放たれる。
俺は今日テニス部に、体験入部していた。
「囚覚さん。好きに打っていいよ」
「はい」
俺に教えてくれるテニス部の先輩が、相手をしてくれていた。
テニスはサッカーと違い一対一。まあ練習だし、緊張もなかった。
「いきます!」
「いいよー」
俺はボールを高く頭上へと投げた。
ボールが落ちてくる頃合いを見て、思い切り「ビュン!」とラケットを振った。
「最初は皆そんな感じだよ」
「はい......」
思い切り空振りを決めた俺は、新しいボールを取る......。
こうして、テニス部体験入部は幕を閉じていった。
◆◆◆
そのまた翌日は芸術部、そのまた翌日はパソコン部と色々な部に毎日仮入部する。
なーんか、どれも違う気がするなー。
肌に合う部活動はどこもなかった。
俺は掲示板で、部活動の貼り紙をまた見ていた。
『問題を用意しているよ是非きてね!』
と書いてある部があった。
問題?
その部の名は......。
「......答案部?」