3話 だーれだ?
申し訳ないが、普通にやらないと言って断ろう......。
小学生くらいの男の子が二人。
やり過ぎるかもしれない。
声を掛けて来た方は細目な体躯だが、もう片方は筋肉質でオラオラ系にも見える。
子供だけで......本人たちもそれが分かってて俺を呼んでいるのかも。後で逃げた俺のせいにされても嫌だし。怪我されても後味悪いし。ここはお兄さんとして、逃げては行けない気がする。あいつみたいにはなるな! と。
「はぁー」
仕方ない......細心の注意を払って審判してやろう。
「最初に聞くけど、モデモンバトルは辞める気はない?」
「ない!」
「そっか......仕方ない。じゃあやってあげるけど審判である俺の言うことは、しっかり聞くんだよ」
子供二人は、頷いた。
「「分かりました」」
バトルフィールド付きの小さな公園の入口にいる。
俺は、食べたラサシト揚げパンの袋をゴミ箱に捨てたくて、公園を見回した。がゴミ箱はなく、仕方ないからポケットに折って入れた。
「そう言えば名前は?」
俺が聞くと、細い子から順に答えた。
「僕の名前はけんと、けんとって普通に呼んでいいですよ」
「俺はだいち」
「ふーん」
けんとが俺を見る。
「お兄さんは?」
「俺は囚覚十恕。好きに呼んで」
「囚覚さん」
「兄さん」
だいちの方は、名前どころか兄さんでいくらしい。ま、いいけどね。
フィールドに向けて、移動しながら俺は聞く。
「ねぇ何のために二人は戦うの?」
「それは......」
けんとがなんだか、言いづらそうにする。それを見て、だいちが話しかけてきた。
「俺が何のモデモンを使うか分かるか兄ちゃん?」
「ん? 何のモデモンを使うか?」
話を逸らされたのだが......。
「モデモンバトルで? 答えていいの?」
「いいぜ、へへっ」
楽しそうにニヤつくだいち。
これでも友達が言いづらそうにしているのを、察して気遣ってるのかな......じゃあ乗ってやるか。
俺はネックウォーマーを、口が隠れるまで持ち上げた。
改めて二人を見る。
黒い服を着たけんとの手には、公園の自販機で買ったと思しき空の缶ジュースがある。水色の服を着た、だいちは何も持ってはいなかった。
が、手には軍手を着けていた。
「一応、可能性が高そうなモデモンは分かったけど......合ってるか分からないよ?」
「いいよ別にー」
俺はネックウォーマーを、元に戻す。
「公園の前にいたのは亀金庫だから、普通に亀金庫って言いたい所だけど......多分、ゴミを食べてたカラスのモデモン、カラス焼却炉......だと思う」
だいちは、ほぉーと口を開いて言う。
「理由は? 兄さん」
「カラス焼却炉はゴミを食べる。だいちくんだけゴミを持っていない。食べてもらった可能性がある。普通に飲まなかっただけかもしれないけど」
だいちはけんとの缶を見た。
「確かに......」
「それにその軍手はカラス焼却炉を触るのに、焼却炉の熱さに耐えるためだとも思った」
ふーんとだいちは息をつく。
「って感じなんだけど......どう?」
「うげっ当たってるよ。まじか! カラス焼却炉、結構離れた位置にいたから分からないと思ったのに......」
当たってしまったか。
「ま、運よく当たっただけだよ」
「そうか?」
そして、フィールドについてだいちはカラス焼却炉を呼んだ。
けんとも亀金庫を呼び出す。
飛んできた一羽の鳥、カラス焼却炉はだいちの腕に止まった。
さっき見た亀金庫も、のしのしと現れた。
カラス焼却炉対亀金庫、この図が出来上がった。
と、黙っていたけんとが口を開く。
「僕、この勝負に勝ったら好きな子に告白するんだ。そのために戦うんだ」
俺は一回腕を組んで、考え、解いた。
折角話してくれて申し訳ないが......。
「勝負が直接告白と結びついているならいいけど、関係がないなら勝負関係なしに告白した方がいいと思う。だって勝負に負けたら告白できなくなる。自分から無駄にデメリットを背負う必要はないと思うけどな」
俺はけんとにアドバイスのつもりで言ってみた。
「それでも俺はやる! 決めたんだ! これで決めるって!」
「そっか......ま、言っても分からない時ってあるよね。本人が成長してないと、どうしても気づけないものって俺もあると思うから。今は止めれないね」
そして、二人は準備に入った。
だいちが自販機でジュースを買う。一気に飲んでカラス焼却炉を呼び、食べさせ、そして撫でた。
二人とも位置につく。モデモンのカラス焼却炉と亀金庫も準備はいいようだった。
俺もどちら側も見れるように中央端に立った。
だいちがけんとに指をさす。
「俺は恋路とは無縁だが手は抜かないぜ!」
「うん! もちろんそれで頼むよ! 僕も全力で行く!!」
「あんまり本気出してやり過ぎないようにね」
俺は手でどうどうどうと、止める感じでジェスチャーする。
「合図お願いします!」
俺は片手を上げ、下に振り下ろした。
「バトルスタート!」