ホームファーストラリー!第二球 俺、最低なやつ
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第二球 俺、最低なやつ

第二球 俺、最低なやつ
「じっちゃん、俺...卓球部入ることに決めた」

 俺のその言葉を聞いた時、じっちゃんの目尻が、さらに深く下がった。

「じゃあこれからの練習はちゃんとした練習にしないとじゃな」

「えっ?ちゃんとした練習?じゃあ今までの何?」

「あれはサーブじゃない。卓球に興味を持ってもらうために、ちょっと変わったことを教えただけじゃ」

 俺は、しばらくその場で放心した。
 これは卓球のサーブですらなかったなんて、信じたくなかった。

 そりゃ、嫌いって言われるわけだ。

 俺は知らないうちに、相手が嫌がることをずっとやっていたらしい。

 ...でも、だったら最初から教えてよ。

 そんな言葉は、もう口には出さなかった。

 過ぎたことはもういいや。
 今はとにかく、ちゃんとしたサーブを知りたい。

「じゃあ次はちゃんとしたサーブ教えてよ?」

「え?いや、教えるのは浩司さんの方が上手いじゃろうし、どうじゃ?」

「お父さん?まあ確かにお父さんの方が教えるの上手か」

「自分で言っといてなんじゃが、ちょっと傷ついた」


 ――――――――


 いつもの家族との練習。

 だけど、今日からは違う。

 俺は卓球部に入るんだ。

「お父さん!スマッシュやって!」

「...お前スマッシュ知ってるか?」

 そう言われて、俺は首を傾げる。
 自分で言ったけどスマッシュって何?
 お父さんがよくスマッシュ!って言いながら打ってきたから言ってみただけ。

「スマッシュは...こうだ!」

 お父さんは、自分で軽くボールを上げ、そのまま強く打ち抜いた。

「スマッシュはこれのことだぞ?」

 これ、俺が間違えて覚えてたサーブだ。

「俺マジで最低なサーブやってたんだな」

 それから俺は、お父さんにラリーに付き合ってもらった。

「もう一回!」

「お前、何回打つつもりだ?」

「百回!」

「...今ので十二回目だぞ」

「じゃあ百回まであと八十八回!」

「ようやるよお前...」


 ――――――――


 中学校入学前。
 結局覚えられたのはスマッシュと基本的なラリーくらいだった。
 
 ...こんなんで、本当に大丈夫なんかな?

 そして今日は、じっちゃんの家で俺の入学祝いをしてくれるらしい。

 美味しそうな料理がたくさん並べられ、俺が頬張っているとき、ふと見ると、じっちゃんが俺を手招きしていた。

「祐希、入学おめでとう。これは入学プレゼントじゃ」

 なんだろう。
 期待しながら箱を開けてみたら、そこにはラケットが入っていた。
 明らかに初心者用で売られているものとは違うラケット。

「まあ祐希の実力じゃまだこのラケットは扱えんじゃろうが、持っておいた方がいいじゃろ。今のラケットはすぐ扱いづらくなるじゃろし」

 嬉しかった。だけど一言多いよ。

「つまり俺が強くなったらこのラケットを使ってもいいってことでしょ?すぐなってやるんだから!」

 じっちゃんが俺に疑いの目を向けてくる。

「果たして、何年かかることやら」

 さすがに馬鹿にしすぎじゃない?


 ――――――――


 こうして俺は、中学校に入学した。

 この時の俺は、まだ知らなかった。

この卓球部で過ごす三年間が、俺の考え方も、性格も、全部変えてしまうことを。
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ファーストラリー!作者:鷺沢伊織
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「えっ?ちゃんとした練習?じゃあ今までの何?」

「あれはサーブじゃない。卓球に興味を持ってもらうために、ちょっと変わったことを教えただけじゃ」

 俺は、しばらくその場で放心した。
 これは卓球のサーブですらなかったなんて、信じたくなかった。

 そりゃ、嫌いって言われるわけだ。

 俺は知らないうちに、相手が嫌がることをずっとやっていたらしい。

 ...でも、だったら最初から教えてよ。

 そんな言葉は、もう口には出さなかった。

 過ぎたことはもういいや。
 今はとにかく、ちゃんとしたサーブを知りたい。

「じゃあ次はちゃんとしたサーブ教えてよ?」

「え?いや、教えるのは浩司さんの方が上手いじゃろうし、どうじゃ?」

「お父さん?まあ確かにお父さんの方が教えるの上手か」

「自分で言っといてなんじゃが、ちょっと傷ついた」


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 いつもの家族との練習。

 だけど、今日からは違う。

 俺は卓球部に入るんだ。

「お父さん!スマッシュやって!」

「...お前スマッシュ知ってるか?」

 そう言われて、俺は首を傾げる。
 自分で言ったけどスマッシュって何?
 お父さんがよくスマッシュ!って言いながら打ってきたから言ってみただけ。

「スマッシュは...こうだ!」

 お父さんは、自分で軽くボールを上げ、そのまま強く打ち抜いた。

「スマッシュはこれのことだぞ?」

 これ、俺が間違えて覚えてたサーブだ。

「俺マジで最低なサーブやってたんだな」

 それから俺は、お父さんにラリーに付き合ってもらった。

「もう一回!」

「お前、何回打つつもりだ?」

「百回!」

「...今ので十二回目だぞ」

「じゃあ百回まであと八十八回!」

「ようやるよお前...」


 ――――――――


 中学校入学前。
 結局覚えられたのはスマッシュと基本的なラリーくらいだった。
 
 ...こんなんで、本当に大丈夫なんかな?

 そして今日は、じっちゃんの家で俺の入学祝いをしてくれるらしい。

 美味しそうな料理がたくさん並べられ、俺が頬張っているとき、ふと見ると、じっちゃんが俺を手招きしていた。

「祐希、入学おめでとう。これは入学プレゼントじゃ」

 なんだろう。
 期待しながら箱を開けてみたら、そこにはラケットが入っていた。
 明らかに初心者用で売られているものとは違うラケット。

「まあ祐希の実力じゃまだこのラケットは扱えんじゃろうが、持っておいた方がいいじゃろ。今のラケットはすぐ扱いづらくなるじゃろし」

 嬉しかった。だけど一言多いよ。

「つまり俺が強くなったらこのラケットを使ってもいいってことでしょ?すぐなってやるんだから!」

 じっちゃんが俺に疑いの目を向けてくる。

「果たして、何年かかることやら」

 さすがに馬鹿にしすぎじゃない?


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