ホームファーストラリー!第三球 俺、才能ない
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第三球 俺、才能ない

第三球 俺、才能ない
 三回あった部活動体験で、俺は二回とも卓球部に行った。
 
 先輩たちは優しかった。
 ただ、一つだけ気になることがあった。

 体験中、三年生の先輩に相手をしてもらっていると、一人の先輩が叫ぶ。

「コーチ!おとなしくしててよ?新入部員が減るんだから」

 コーチと呼ばれたおじちゃんも叫び返す。

「んなことわかっとるわ!」

 あの人がコーチか。
 なんかイメージ怖そうだな......。
 でも卓球部に入るって決めたんだ。
 こんなすぐに諦めるもんか!

 体験入部が終わり、俺は入部届を提出した。


 ――――――――


 ラリーをミスった。

「何やっとんじゃ!」

 コーチの怒鳴り声が体育館に響いた。

 ......怖い。

 俺は、早くも入部したことを後悔していた。

 コートに入るのが遅れたら怒鳴られ、床にはたくさんのボールが転がっていた。
 踏めば怒られる。
 わざとじゃなくても。

 踏まずに避けながら卓球なんて、初心者の俺にはかなり難しかった。

 だからたくさん泣いた。
 仕方ないじゃん。コーチが怖すぎるんだから。

 気づいたら、九人の新入部員が六人になっていた。

 その中には、俺と一緒に入った友達もいた。

 だけど、そいつは入部したばかりなのに先輩から褒められていた。同期からも頼りにされていた。

 前から卓球に触れていた俺は、あっさりと追い抜かれた。

 悔しかった。

 ちょっと先に卓球をやっていただけなのに、イキっていた自分が惨めに思えた。

 でも、しばらくしてその友達は来なくなった。

 あいつが辞めたと聞いたとき、心配より先に『もったいない』と思った。

 俺が羨ましくてたまらなかった立場にいたのに、友達はあっさりと手放した。

 まだまだ強くなれるのに。
 せっかくあんなに才能があるのに、自分から捨てるなんて。


 ――――――――


「織原ァ!!お前は才能がないんだからへこたれるな!」

 先輩に同期と交代で練習を付き合ってもらっていると、コーチの罵声が響いた。

 才能がない。
 
 その言葉だけが、耳の奥で何度も重く反響した。

 悔しかった。
 でも、「才能がない」と言われた俺が、何を言えばいいのか分からなかった。
 
 順番交代。
 俺は涙を隠すように列の後ろに回った。

 床に落とした視線の中で、汗と涙を必死に隠した。
 でも、隠しきれなかった。

 だけど隠しきれなかった。

「おい......大丈夫か?」

 俺は無言で頷く。
 相馬にまで心配かけた。

 鞍ケ谷相馬。俺の幼馴染だ。
 
 相馬は俺より才能があった。
 それでも怒られている。

 ......才能があっても怒られるのに、俺なんて......。

「まあ......気にすんなって」

 いつものように。でも、少し心配そうな顔で。
 
 その励ましの言葉も、今の俺には重くのしかかる。
 俺はいつまでこんなんなんだろう。

 もう辞めたい。

 何度もそう思った。

 それでも、辞める気にはなれなかった。

 あの時、卓球部に入ると決めた自分を裏切りたくなかった。
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 先輩たちは優しかった。
 ただ、一つだけ気になることがあった。

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「コーチ!おとなしくしててよ?新入部員が減るんだから」

 コーチと呼ばれたおじちゃんも叫び返す。

「んなことわかっとるわ!」

 あの人がコーチか。
 なんかイメージ怖そうだな......。
 でも卓球部に入るって決めたんだ。
 こんなすぐに諦めるもんか!

 体験入部が終わり、俺は入部届を提出した。


 ――――――――


 ラリーをミスった。

「何やっとんじゃ!」

 コーチの怒鳴り声が体育館に響いた。

 ......怖い。

 俺は、早くも入部したことを後悔していた。

 コートに入るのが遅れたら怒鳴られ、床にはたくさんのボールが転がっていた。
 踏めば怒られる。
 わざとじゃなくても。

 踏まずに避けながら卓球なんて、初心者の俺にはかなり難しかった。

 だからたくさん泣いた。
 仕方ないじゃん。コーチが怖すぎるんだから。

 気づいたら、九人の新入部員が六人になっていた。

 その中には、俺と一緒に入った友達もいた。

 だけど、そいつは入部したばかりなのに先輩から褒められていた。同期からも頼りにされていた。

 前から卓球に触れていた俺は、あっさりと追い抜かれた。

 悔しかった。

 ちょっと先に卓球をやっていただけなのに、イキっていた自分が惨めに思えた。

 でも、しばらくしてその友達は来なくなった。

 あいつが辞めたと聞いたとき、心配より先に『もったいない』と思った。

 俺が羨ましくてたまらなかった立場にいたのに、友達はあっさりと手放した。

 まだまだ強くなれるのに。
 せっかくあんなに才能があるのに、自分から捨てるなんて。


 ――――――――


「織原ァ!!お前は才能がないんだからへこたれるな!」

 先輩に同期と交代で練習を付き合ってもらっていると、コーチの罵声が響いた。

 才能がない。
 
 その言葉だけが、耳の奥で何度も重く反響した。

 悔しかった。
 でも、「才能がない」と言われた俺が、何を言えばいいのか分からなかった。
 
 順番交代。
 俺は涙を隠すように列の後ろに回った。

 床に落とした視線の中で、汗と涙を必死に隠した。
 でも、隠しきれなかった。

 だけど隠しきれなかった。

「おい......大丈夫か?」

 俺は無言で頷く。
 相馬にまで心配かけた。

 鞍ケ谷相馬。俺の幼馴染だ。
 
 相馬は俺より才能があった。
 それでも怒られている。

 ......才能があっても怒られるのに、俺なんて......。

「まあ......気にすんなって」

 いつものように。でも、少し心配そうな顔で。
 
 その励ましの言葉も、今の俺には重くのしかかる。
 俺はいつまでこんなんなんだろう。

 もう辞めたい。

 何度もそう思った。

 それでも、辞める気にはなれなかった。

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