ホームファーストラリー!第一球 俺、いらない子
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第一球 俺、いらない子

第一球 俺、いらない子
「この子嫌い!!」

 それが、俺の――織原祐希の卓球人生に刻まれた、最初の言葉だった。


 ――――――――
 

 最初は何でそんなことを言われたのか分からなかった。

 だって、
 じっちゃんが教えてくれたサーブだから。

 なんで、そんな事を言うの?
 
 サーブをするたびに、上級生のお姉さんの表情が、だんだんつまらなさそうになっていった。

 ボールが跳ねた瞬間、ラケットを振り抜く。じっちゃんが教えてくれた、絶対に取れないサーブ。

 これなら「相手は取れないぞ」と、じっちゃんが笑って教えてくれた。

 それが変なサーブだなんて、俺は知らなかった。
 
 なのに、上級生のお姉さんはラケットも振らず、眉間にしわを寄せて俺の手元を見た。

「...そのサーブ――」

 気づいたら、みんなが俺の手元を見ていた。

 コーチはサーブの構えを見た瞬間、小さくため息をついた。

「ちょっとそこの君、こっちに来なさい」

 コーチに手招きされ、俺は言われるままついていった。みんなから離れて、マシンの前に立たされる。

「君はここでマシンから出てくるボールを打って返しなさい」

 誰も、理由を教えてくれなかった。

 それだけで十分だった。

 俺は、ここにいてはいけない子なんだって。


 ――――――――


 小学六年生の俺は、もうすぐ卒業を迎える。
 
 今日は中学校の見学に来た。
 地元の市立中学――東坂中学校。

 校門をくぐった途端、そこにはたくさんの横断幕があった。

「卓球部男女 市大会優勝!」

「卓球部女子 近畿大会出場!」

 輝かしい横断幕を見ているはずなのに、俺には「お前には無理だ」と書いてあるように見えた。
 
 俺は思わず立ち尽くした。
 
 あの日言われた「この子嫌い!」が、耳の奥で響いた。

 また嫌いって言われたらどうしよう...。
 
 知らない人の輪に入るだけで、足が止まった。
 
 体育館から漏れる笑い声さえ、俺を笑っているように聞こえた。
 
 もう帰りたい...。

 でも――
 
 このまま終わるのは嫌だ。
 変わりたい。
 あの卓球部に入ったら、俺も変われるかな。
 体育館の窓の向こうでは、笑い声に混じって鋭い打球音が響いていた。

 このまま怖がってたら、何も変われない。

 今度こそ、ちゃんと卓球をやりたい。
 
 中学校の卓球部に入るなら、じっちゃんにもっといろんなこと教えてもらわないと。

 じっちゃんに教えてもらえば、今度こそ大丈夫。

 その時の俺は、本気でそう信じていた。
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第二球 俺、最低なやつ
ファーストラリー!作者:鷺沢伊織
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 最初は何でそんなことを言われたのか分からなかった。

 だって、
 じっちゃんが教えてくれたサーブだから。

 なんで、そんな事を言うの?
 
 サーブをするたびに、上級生のお姉さんの表情が、だんだんつまらなさそうになっていった。

 ボールが跳ねた瞬間、ラケットを振り抜く。じっちゃんが教えてくれた、絶対に取れないサーブ。

 これなら「相手は取れないぞ」と、じっちゃんが笑って教えてくれた。

 それが変なサーブだなんて、俺は知らなかった。
 
 なのに、上級生のお姉さんはラケットも振らず、眉間にしわを寄せて俺の手元を見た。

「...そのサーブ――」

 気づいたら、みんなが俺の手元を見ていた。

 コーチはサーブの構えを見た瞬間、小さくため息をついた。

「ちょっとそこの君、こっちに来なさい」

 コーチに手招きされ、俺は言われるままついていった。みんなから離れて、マシンの前に立たされる。

「君はここでマシンから出てくるボールを打って返しなさい」

 誰も、理由を教えてくれなかった。

 それだけで十分だった。

 俺は、ここにいてはいけない子なんだって。


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 小学六年生の俺は、もうすぐ卒業を迎える。
 
 今日は中学校の見学に来た。
 地元の市立中学――東坂中学校。

 校門をくぐった途端、そこにはたくさんの横断幕があった。

「卓球部男女 市大会優勝!」

「卓球部女子 近畿大会出場!」

 輝かしい横断幕を見ているはずなのに、俺には「お前には無理だ」と書いてあるように見えた。
 
 俺は思わず立ち尽くした。
 
 あの日言われた「この子嫌い!」が、耳の奥で響いた。

 また嫌いって言われたらどうしよう...。
 
 知らない人の輪に入るだけで、足が止まった。
 
 体育館から漏れる笑い声さえ、俺を笑っているように聞こえた。
 
 もう帰りたい...。

 でも――
 
 このまま終わるのは嫌だ。
 変わりたい。
 あの卓球部に入ったら、俺も変われるかな。
 体育館の窓の向こうでは、笑い声に混じって鋭い打球音が響いていた。

 このまま怖がってたら、何も変われない。

 今度こそ、ちゃんと卓球をやりたい。
 
 中学校の卓球部に入るなら、じっちゃんにもっといろんなこと教えてもらわないと。

 じっちゃんに教えてもらえば、今度こそ大丈夫。

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