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第34話 3週間ぶりの再会

昨日、12月23日に優の母親より明日から面会が可能になったと緋那の携帯にメッセージが届いた。
 よりにもよってクリスマスイブかよと緋那は思ったが、それ以上に3週間ぶりに優に会える事実にホッとした。
 久しぶりに会うから、何か見舞いの品をと悩んだ末に花屋による。
 
 店員に彼女へのプレゼントか尋ねられ、幼馴染へのお見舞いだと伝える。そうなのと女性の店員が微笑みながらお任せで頼んだミニブーケを器用に作ってくれる。
 花の香りを感じながら、緋那は店内を見回す。
 冬だというのに店内には色とりどりの花がある。明るいカラフルな様子が優と被った。

 しばらく会ってないから、少しナイーブになっているなと緋那は自分の思考に若干引く。
 店員から完成したブーケを受け取るで緋那はなんとも言えない気持ちで花を見つめていた。

 花屋を出ると、寄り道せずに病院へと向かう。外に出ると一気に冷たい風が体を吹き抜ける。花束を持っていない手を思わずポケットに入れながら歩く。途中で友人同士やカップルとすれ違う。クリスマスイブだもんな、会うよなとなんとなく思いながらも、足は少し軽い。
 緋那はただ優の姿を見て、安心したかった。3週間前に連絡をもらった時に感じた恐怖を払拭したい。
 無意識のうちに緋那の歩く速度は早くなっていた。

 久しぶりの病院は、記憶よりも真っ白に思えた。どこからともなく消毒の匂いがしてくる。どこか懐かしさを感じてしまう。
 緋那は一応ナースステーションで優の部屋が変わっていないか確認してから、病室に向かう。
 
 病室の前につくと、一度深呼吸をして心を落ち着かせてから、扉をノックする。

「はーい」

 少し間が空いて、病室内から優の声が聞こえた。久しぶりに聞く元気そうな優の声に緋那は安心する。
 扉を開けて中に入る。ベッドに座って、優はニコニコと笑っている。
 一瞬ホッとしかけた緋那は、強烈な違和感を覚えた。いつもの優の笑顔だ。しかし、何かが違う。

「優、何かあったか?」
「ん? どしたの、ひなた」

 緋那の質問に優は首を傾げる。コテンと首を傾げる仕草が、何故か幼く感じた。
 花束を握りしめたまま、緋那は立ち尽くしてしまう。

「ひなた?」

 不思議そうにもう一度、優が緋那の名前を呼ぶ。緋那はハッとして足を動かすと優の元へと向かう。
 前回見舞いに来た時と同じ、ベッドの配置。車椅子も変わらずにベッドの横に鎮座している。

 何に自分は違和感を覚えたのかと緋那はもう一度、優を見る。
 優はいつも通り、ニコニコと笑っている。気のせいだったかと、緋那は持ってきた見舞いの花束を優に渡す。

「ほら、見舞いだ」
「おー、花だ! 久しぶりに見たな」

 優は嬉しそうに花束を受け取ると、顔を埋めながら花の匂いを嗅いでいる。
 嬉しそうな優に緋那は返す言葉が見つからずに、そのまま眺める。
 3週間会っていなかったが、優は変わらずに優であることに安堵した。

「にしても、ひなたと花って似合わないよね」

 花の匂いを堪能し終えたのか、顔を上げた優がニコニコと緋那を見る。

「うるせぇよ」
「うるせぇだって! 酷い!」
「どこがだよ!」

 優の軽口に思わず声を荒げてしまい、慌てて口を押さえる。その様子を見て優は指をさしてゲラゲラと笑う。
 この野郎と緋那は思わず拳を握りしめた。切り忘れた爪が皮膚に食い込み、少し痛い。

「あー、うーん......」

 そんな緋那の様子を見ながら、優が何かをうめいている。緋那は不思議に思い、少し屈んで優の顔を覗き込んだ。

「どうした?」
「うーん、まっ、今日はいっか!」
「待て、何の話だ?」

 優は1人で納得したのか、花束をベッドテーブルの上に置いて、パンっと両手を合わせる。緋那が詳しく聞こうとするも、優は笑って誤魔化す。

「あっ、ひなた! 折角だから花瓶に花入れて欲しいな! キャビに小さな花瓶があったはず!」

 そしてあからさまに話を変えられた。優はベッドに座った状態でキャビネットを指差す。
 緋那は、一度大きく息を吐くとキャビネットの前に移動する。そして花瓶を探すために近付くと、目立つところにノートが置いてあることに気付く。

 気になって触ろうとした瞬間、横から優の声が静止した。

「あー! ひなた、そのノートは見ちゃダメだよ! 乙女の秘密を覗こうなんて、変態!」
「おい、こら待て。見てないし、気になっただけだろ。もう見ないから、変態はやめろ」
「次、触ろうとしたら変質者にするからね!」
「おい、悪化させるんじゃねぇよ」

 軽口を交わしながら、キャビネットを探すと目的の花瓶はすぐに見つかった。奥の方に置いてある花瓶を取り出す。

「とりあえず、こっちで活けてきていいか?」
「うん。ひなた、よろしく!」

 緋那の方に花束を差し出しながら優は笑顔だ。緋那は花を受け取ると一度、病室を出た。病室内の手洗い場の水道ではうまく花瓶に水を入れられないだろうと、ナースステーションに水をもらいにいく。
 花瓶に水を入れ、花を活けるとまた優の病室に戻った。

「花、活けてきたぞ」
「おおー! ひなたご苦労!」

 花瓶を優に見せると満足気に頷く。そして、優の希望でテレビ台の上に置いた。
 優は嬉しそうに花瓶の花を眺めている。花を持ってきてよかったなと緋那はこっそりと笑った。

 窓から見える景色が徐々に薄暗くなってきた。面会の時間の終わりかと、緋那は時計を確認する。

「優、そろそろ俺は帰るけど、カーテンと電気どうする?」
「あっ、お願いしていい?」
「はいよ」

 優に確認し、部屋の電気をつけてからカーテンを閉める。

「じゃ、また明日来るな」
「うん、クリスマスプレゼント楽しみにしてるよ!」

 扉を閉める寸前に聞こえた優の声に緋那は頭を抱えた。
 真っ直ぐに家に帰る予定だったが、緋那はため息をこぼして、病院の近くにあるショッピングモールに向かった。
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天国行きの切符作者:星川宙
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第34話 3週間ぶりの再会

昨日、12月23日に優の母親より明日から面会が可能になったと緋那の携帯にメッセージが届いた。
 よりにもよってクリスマスイブかよと緋那は思ったが、それ以上に3週間ぶりに優に会える事実にホッとした。
 久しぶりに会うから、何か見舞いの品をと悩んだ末に花屋による。
 
 店員に彼女へのプレゼントか尋ねられ、幼馴染へのお見舞いだと伝える。そうなのと女性の店員が微笑みながらお任せで頼んだミニブーケを器用に作ってくれる。
 花の香りを感じながら、緋那は店内を見回す。
 冬だというのに店内には色とりどりの花がある。明るいカラフルな様子が優と被った。

 しばらく会ってないから、少しナイーブになっているなと緋那は自分の思考に若干引く。
 店員から完成したブーケを受け取るで緋那はなんとも言えない気持ちで花を見つめていた。

 花屋を出ると、寄り道せずに病院へと向かう。外に出ると一気に冷たい風が体を吹き抜ける。花束を持っていない手を思わずポケットに入れながら歩く。途中で友人同士やカップルとすれ違う。クリスマスイブだもんな、会うよなとなんとなく思いながらも、足は少し軽い。
 緋那はただ優の姿を見て、安心したかった。3週間前に連絡をもらった時に感じた恐怖を払拭したい。
 無意識のうちに緋那の歩く速度は早くなっていた。

 久しぶりの病院は、記憶よりも真っ白に思えた。どこからともなく消毒の匂いがしてくる。どこか懐かしさを感じてしまう。
 緋那は一応ナースステーションで優の部屋が変わっていないか確認してから、病室に向かう。
 
 病室の前につくと、一度深呼吸をして心を落ち着かせてから、扉をノックする。

「はーい」

 少し間が空いて、病室内から優の声が聞こえた。久しぶりに聞く元気そうな優の声に緋那は安心する。
 扉を開けて中に入る。ベッドに座って、優はニコニコと笑っている。
 一瞬ホッとしかけた緋那は、強烈な違和感を覚えた。いつもの優の笑顔だ。しかし、何かが違う。

「優、何かあったか?」
「ん? どしたの、ひなた」

 緋那の質問に優は首を傾げる。コテンと首を傾げる仕草が、何故か幼く感じた。
 花束を握りしめたまま、緋那は立ち尽くしてしまう。

「ひなた?」

 不思議そうにもう一度、優が緋那の名前を呼ぶ。緋那はハッとして足を動かすと優の元へと向かう。
 前回見舞いに来た時と同じ、ベッドの配置。車椅子も変わらずにベッドの横に鎮座している。

 何に自分は違和感を覚えたのかと緋那はもう一度、優を見る。
 優はいつも通り、ニコニコと笑っている。気のせいだったかと、緋那は持ってきた見舞いの花束を優に渡す。

「ほら、見舞いだ」
「おー、花だ! 久しぶりに見たな」

 優は嬉しそうに花束を受け取ると、顔を埋めながら花の匂いを嗅いでいる。
 嬉しそうな優に緋那は返す言葉が見つからずに、そのまま眺める。
 3週間会っていなかったが、優は変わらずに優であることに安堵した。

「にしても、ひなたと花って似合わないよね」

 花の匂いを堪能し終えたのか、顔を上げた優がニコニコと緋那を見る。

「うるせぇよ」
「うるせぇだって! 酷い!」
「どこがだよ!」

 優の軽口に思わず声を荒げてしまい、慌てて口を押さえる。その様子を見て優は指をさしてゲラゲラと笑う。
 この野郎と緋那は思わず拳を握りしめた。切り忘れた爪が皮膚に食い込み、少し痛い。

「あー、うーん......」

 そんな緋那の様子を見ながら、優が何かをうめいている。緋那は不思議に思い、少し屈んで優の顔を覗き込んだ。

「どうした?」
「うーん、まっ、今日はいっか!」
「待て、何の話だ?」

 優は1人で納得したのか、花束をベッドテーブルの上に置いて、パンっと両手を合わせる。緋那が詳しく聞こうとするも、優は笑って誤魔化す。

「あっ、ひなた! 折角だから花瓶に花入れて欲しいな! キャビに小さな花瓶があったはず!」

 そしてあからさまに話を変えられた。優はベッドに座った状態でキャビネットを指差す。
 緋那は、一度大きく息を吐くとキャビネットの前に移動する。そして花瓶を探すために近付くと、目立つところにノートが置いてあることに気付く。

 気になって触ろうとした瞬間、横から優の声が静止した。

「あー! ひなた、そのノートは見ちゃダメだよ! 乙女の秘密を覗こうなんて、変態!」
「おい、こら待て。見てないし、気になっただけだろ。もう見ないから、変態はやめろ」
「次、触ろうとしたら変質者にするからね!」
「おい、悪化させるんじゃねぇよ」

 軽口を交わしながら、キャビネットを探すと目的の花瓶はすぐに見つかった。奥の方に置いてある花瓶を取り出す。

「とりあえず、こっちで活けてきていいか?」
「うん。ひなた、よろしく!」

 緋那の方に花束を差し出しながら優は笑顔だ。緋那は花を受け取ると一度、病室を出た。病室内の手洗い場の水道ではうまく花瓶に水を入れられないだろうと、ナースステーションに水をもらいにいく。
 花瓶に水を入れ、花を活けるとまた優の病室に戻った。

「花、活けてきたぞ」
「おおー! ひなたご苦労!」

 花瓶を優に見せると満足気に頷く。そして、優の希望でテレビ台の上に置いた。
 優は嬉しそうに花瓶の花を眺めている。花を持ってきてよかったなと緋那はこっそりと笑った。

 窓から見える景色が徐々に薄暗くなってきた。面会の時間の終わりかと、緋那は時計を確認する。

「優、そろそろ俺は帰るけど、カーテンと電気どうする?」
「あっ、お願いしていい?」
「はいよ」

 優に確認し、部屋の電気をつけてからカーテンを閉める。

「じゃ、また明日来るな」
「うん、クリスマスプレゼント楽しみにしてるよ!」

 扉を閉める寸前に聞こえた優の声に緋那は頭を抱えた。
 真っ直ぐに家に帰る予定だったが、緋那はため息をこぼして、病院の近くにあるショッピングモールに向かった。
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