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三二〇〇メートルの真実! 淀に刻まれる、新たなる蹄音

第30話:三二〇〇メートルの真実! 淀に刻まれる、新たなる蹄音
​ 春の盾、天皇賞(春)の戴冠から一ヶ月。
羽田空港の国際線コンテナエリア。初夏の湿った風の中に、特注の耐衝撃スライダーポッドに収められた黒鉄の巨体があった。
​ガラクタの星から、日本の絶対王者へと上り詰めた機体――《ウラヌスⅡ》。
​「......フランス・パリ、ロンシャン競馬場。芝二千四百メートル。世界中のトップブリーダーと、国家規模の予算で組み上げられた『概念(コンセプト)モンスター』たちの聖地ね」
​凛(りん)が、白銀のエアチケットと端末の航路図を交互に見つめながら呟く。
​渡航手続きの傍らには、岡部太陽、北斗 茜、米田太一ら、日本のライバルたちが勢揃いで見送りに来ていた。
​「西。日本の盾の王者として、みっともない走りをしてきたら承知しないわよ」
​ドバイを制したダート女王・北斗 茜が、不敵に笑って守の肩をバシバシと叩く。
​「......パリのロンシャンは、日本の軽快なターフとは根本的に違う。膝まで沈み込むような欧州の『重い深緑の芝』。そして第四コーナー手前の『フォルスマン(偽りの直線)』......。あそこは、機械の精密さだけじゃなく、乗る者の『魂の重さ』が試される場所だ」
​シュバルツ・ルドルフの岡部太陽が、真剣な眼差しで守へと手向け(情報)を贈る。
​「ありがとう、岡部。みんな......。俺たちの泥臭い走りが、世界(パリ)でどこまで通用するか......力ずくで証明してくるよ!」
​守は仲間たちと固い握手を交わし、ウラヌスⅡが待つコンテナへと乗り込んだ。
​数日後。
フランス・パリ。ブローニュの森に隣接する、伝統と格調の最高峰――ロンシャン・サーキット。
​雲ひとつないパリの青空の下、広大な緑の絨毯が広がっている。だが、その美しい見た目とは裏腹に、足を踏み入れた瞬間に足首が持っていかれるような、重厚で湿った欧州特有の重馬場だ。
​パドックのレッドカーペット。
世界のメディアのフラッシュが焚かれる中、白銀の《ホワイトヴァルキリー》を引くミルコ・スミスが、守たちの姿を見つけて目を見開いた。
​「......オゥ! 守ボーイ! 本当に、あのガラクタの星を『ウラヌスⅡ』へと鍛え直して、パリまでやって来たんだネ!」
​ミルコが駆け寄り、守の肩を抱きしめた。
その青い瞳には、ジャパンカップの時の余裕と悲哀ではなく、対等な「日本の王者」を迎える真剣な勝負師の熱が宿っていた。
​「見事だよ、日本の春の盾。......でもね、ここロンシャンの芝は、ジャパンカップの比じゃない。君のハイセイコー型エンジンの重トルクすら、この欧州の泥は呑み込んでしまうよ」
​ミルコがホワイトヴァルキリーの白銀の首筋に触れる。
​「サァ......世界最高の『凱旋門賞(プリ・ド・ララク・ド・トリオンフ)』。誰が真の王たるか、このロンシャンの風に問いかけようじゃないか!」
​ファンファーレが高らかに響き渡る。
フランス語、英語、日本語の実況が交錯する中、世界最高峰の凱旋門賞の電磁ゲートが開いた!
​『――世界の頂点を決めよ! 凱旋門賞、スタート!』
​ガツン! とゲートが開く。
ウラヌスⅡのハイセイコー型エンジンが、重厚なバイオ重低音を響かせて飛び出した!
​だが――瞬間。
​(......ぐっ!? なんだ、この足元の重さは......!!)
​同調コードを通じて、ウラヌスⅡの四肢が欧州の深い芝に捕らわれる強烈な粘度抵抗が、守の全身にズシリと圧しかかった!
日本のどんな重馬場とも違う、大地そのものが機体を引っ張り下ろすような「世界の壁」!
​前方では、ミルコのホワイトヴァルキリーが、欧州の重芝をあらかじめ計算し尽くした『高浮揚トルク・ステップ』で、優雅に、軽やかに先頭へと躍り出ていく!
​「――来なさい、守ボーイ! これが、ロンシャンの洗礼だ!!」
​ミルコの叫びが、パリの空にこだました。
日本の無敗の三冠馬、そして春の盾の王者となったウラヌスⅡが、ついに世界最高峰の地で、真の決戦(凱旋門賞)の幕を開けたのだった!
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からくり競馬作者:水前寺鯉太郎🍁🦌
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​ 春の盾、天皇賞(春)の戴冠から一ヶ月。
羽田空港の国際線コンテナエリア。初夏の湿った風の中に、特注の耐衝撃スライダーポッドに収められた黒鉄の巨体があった。
​ガラクタの星から、日本の絶対王者へと上り詰めた機体――《ウラヌスⅡ》。
​「......フランス・パリ、ロンシャン競馬場。芝二千四百メートル。世界中のトップブリーダーと、国家規模の予算で組み上げられた『概念(コンセプト)モンスター』たちの聖地ね」
​凛(りん)が、白銀のエアチケットと端末の航路図を交互に見つめながら呟く。
​渡航手続きの傍らには、岡部太陽、北斗 茜、米田太一ら、日本のライバルたちが勢揃いで見送りに来ていた。
​「西。日本の盾の王者として、みっともない走りをしてきたら承知しないわよ」
​ドバイを制したダート女王・北斗 茜が、不敵に笑って守の肩をバシバシと叩く。
​「......パリのロンシャンは、日本の軽快なターフとは根本的に違う。膝まで沈み込むような欧州の『重い深緑の芝』。そして第四コーナー手前の『フォルスマン(偽りの直線)』......。あそこは、機械の精密さだけじゃなく、乗る者の『魂の重さ』が試される場所だ」
​シュバルツ・ルドルフの岡部太陽が、真剣な眼差しで守へと手向け(情報)を贈る。
​「ありがとう、岡部。みんな......。俺たちの泥臭い走りが、世界(パリ)でどこまで通用するか......力ずくで証明してくるよ!」
​守は仲間たちと固い握手を交わし、ウラヌスⅡが待つコンテナへと乗り込んだ。
​数日後。
フランス・パリ。ブローニュの森に隣接する、伝統と格調の最高峰――ロンシャン・サーキット。
​雲ひとつないパリの青空の下、広大な緑の絨毯が広がっている。だが、その美しい見た目とは裏腹に、足を踏み入れた瞬間に足首が持っていかれるような、重厚で湿った欧州特有の重馬場だ。
​パドックのレッドカーペット。
世界のメディアのフラッシュが焚かれる中、白銀の《ホワイトヴァルキリー》を引くミルコ・スミスが、守たちの姿を見つけて目を見開いた。
​「......オゥ! 守ボーイ! 本当に、あのガラクタの星を『ウラヌスⅡ』へと鍛え直して、パリまでやって来たんだネ!」
​ミルコが駆け寄り、守の肩を抱きしめた。
その青い瞳には、ジャパンカップの時の余裕と悲哀ではなく、対等な「日本の王者」を迎える真剣な勝負師の熱が宿っていた。
​「見事だよ、日本の春の盾。......でもね、ここロンシャンの芝は、ジャパンカップの比じゃない。君のハイセイコー型エンジンの重トルクすら、この欧州の泥は呑み込んでしまうよ」
​ミルコがホワイトヴァルキリーの白銀の首筋に触れる。
​「サァ......世界最高の『凱旋門賞(プリ・ド・ララク・ド・トリオンフ)』。誰が真の王たるか、このロンシャンの風に問いかけようじゃないか!」
​ファンファーレが高らかに響き渡る。
フランス語、英語、日本語の実況が交錯する中、世界最高峰の凱旋門賞の電磁ゲートが開いた!
​『――世界の頂点を決めよ! 凱旋門賞、スタート!』
​ガツン! とゲートが開く。
ウラヌスⅡのハイセイコー型エンジンが、重厚なバイオ重低音を響かせて飛び出した!
​だが――瞬間。
​(......ぐっ!? なんだ、この足元の重さは......!!)
​同調コードを通じて、ウラヌスⅡの四肢が欧州の深い芝に捕らわれる強烈な粘度抵抗が、守の全身にズシリと圧しかかった!
日本のどんな重馬場とも違う、大地そのものが機体を引っ張り下ろすような「世界の壁」!
​前方では、ミルコのホワイトヴァルキリーが、欧州の重芝をあらかじめ計算し尽くした『高浮揚トルク・ステップ』で、優雅に、軽やかに先頭へと躍り出ていく!
​「――来なさい、守ボーイ! これが、ロンシャンの洗礼だ!!」
​ミルコの叫びが、パリの空にこだました。
日本の無敗の三冠馬、そして春の盾の王者となったウラヌスⅡが、ついに世界最高峰の地で、真の決戦(凱旋門賞)の幕を開けたのだった!
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