最終話-c 出井亜寧羅編〜花火大会
花火大会、当日。
待ち合わせの時計の前に着くと、今日も元気な出井亜寧羅の笑顔が、目に飛び込んできました。
「やっほー、空玲須くん!」
ちぎらんばかりに手を振る出井亜寧羅。赤い金魚の揺れる浴衣。浴衣と同じ赤のかんざし。
可愛い...。
「出井亜寧羅!」
空玲須も手を振り返します。
二人は会場に向かいました。出井亜寧羅は自然に空玲須の腕を取ります。
「あ!かき氷買お!かき氷!」
出井亜寧羅は道すがらの夜店から、かき氷をチョイス。空玲須の手を引いて一緒に並びました。
「あたしかき氷食べたらすぐ、頭キーンってなるんだよね。」
「...オレもだ。」
空玲須は、前に食べた時のことを思い出しました。頭どころか歯も痛かった...。
「でも、食べたくなるんだよね。ごめんね、なんか。」
腕を引っ張って見上げる出井亜寧羅の笑顔。
可愛い...。
いちご味のかき氷を持って、二人は会場に座ります。アナウンスが流れて、花火が打ち上がりました。
どどーん! パチパチパチ...
大きな花火。
ととととど、ぱぱぱぱぱ...。
カラフルな連発花火。
「綺麗...。
前にいた国は花火なかったからね。
綺麗で、すごい!」
出井亜寧羅は花火に夢中です。打ち上がるたび、歓声を上げて喜びます。
「わぁー!
...ん?どうかした?」
空玲須は、そんな出井亜寧羅の横顔を見つめていました。
「あ、ええと。
...可愛いな、って。」
「可愛いじゃなくて、綺麗でしょ?
綺麗だよね、花火!
ん?
可愛い...?」
出井亜寧羅の喉がゴクリと鳴ります。
「それって...、」
「可愛いのは、出井亜寧羅。」
瞬間真っ赤になる出井亜寧羅。
急いでかき氷を口にかき込みます。
キーン...
「あ、頭が...。」
空玲須は、頭を押さえる出井亜寧羅の肩に手を置きました。
「ありがとう、もう大丈夫だよ。」
出井亜寧羅は、その手に自分の手を重ねます。
どどーーん!パッ!
パチパチパチ...。
最後の大きな花火が鳴り響きました。
「おかげで、楽しかったよ。」
空玲須は、手を繋いでの帰り道、出井亜寧羅に言いました。
出井亜寧羅は笑顔で答えます。
「うん、楽しかったし、綺麗だった!
...うん。」
何か続きがありそうですが、出井亜寧羅はそこで言葉を切りました。
「何か、やり残した?」
「う、ううん。
いいの。まだ...。」
空玲須は、繋いだ手をぎゅっと握りました。
「いたた...。
やったな!反撃だぁ!」
出井亜寧羅も空玲須の手を強く握り返します。
二人はそのまま手を繋いで会場を後にしました。
空玲須=ヘラクレスの青春は、まだまだ続いていくようです。
「青春ヘラクレス」完