第2話 女鹿蘭〜獅子夫の呼び出し
流れる黒髪。すらりとした足。ミニスカートの制服。
となりの庭から門を開けた美少女に、空玲須は目を奪われました。
「おはよう。」
美少女は空玲須に微笑みかけます。どこかで見たことがあるような...。
表札には「女鹿」。母の言う蘭ちゃんはこの子のことか...。女鹿蘭...メガラ...。
「何ぼぅっとしてるの?空玲須らしくないわね。バス遅れるよ?」
女鹿蘭に促されて、空玲須は「バス停」に向かいました。
「バス」という窓のある木馬に乗って、空玲須は、白く四角い城のふもとに着きました。同じく乗ってきたみんなは、その城に向かって歩きます。
「そういえば、今日だよね。」
女鹿蘭は空玲須に言いました。
「今日、何かあったっけ?」
空玲須の返事がとぼけたように聞こえて、女鹿蘭は眉根を寄せました。
「根奴啊の裏山で、獅子夫と決着をつけるって言ってたじゃない。
...全く、男って強いとか弱いとか、そういうことばっかりだよね。」
...根奴啊、獅子?ネメアの獅子?
空玲須は、軽い頭痛を覚えながら、女鹿蘭と一緒に城へと歩いていきます。
授業。
何を言っているのかは全然わからない。この「教科書」というものに記されている言葉の意味もわからない...。
椅子に座ったまま、時が過ぎます...。
昼休み。
騒がしい少年たちがやってきました。
「空玲須ってのはどいつだ?
獅子夫さまがお呼びだぞォ!」
周りの生徒たちは、関わらないようになるべくそちらを見ないようにしています。
空玲須は立ち上がって、言いました。
「オレのことか。」
少年たちは挑発的ないやらしい笑みを浮かべて、空玲須を取り囲みました。
「よし、ついて来いよ。」
そして、横にいた女鹿蘭の腕をつかみます。
「こいつは人質だ。...逃げるなよ。」
「ちょっと、何するのよ!
離せッ!」
女鹿蘭はふりほどこうとしますが、少年たちは離しません。仕方なくついて行く空玲須と女鹿蘭。
学校は根奴啊という地域にあります。その裏山で待つ獅子夫の元へ、空玲須たちは連れて来られました。
「今日こそ、どちらが最強か。
決着をつける。」
取り巻きの少年たちは、女鹿蘭を捕まえたたまま、距離を置いて見ています。
「今日の俺は、ちょっと違うぜッ!」
言った途端、獅子夫から黄金色の毛が生えて、みるみる身体を覆っていきました。さながら、黄金色のライオンのようになった獅子夫。
「ネメアの獅子...。」
空玲須はつぶやいて、改めて獅子夫を見ました。