第3話 「怪化」
空玲須は、飛びかかってくる獅子夫の顔面に拳を一発。しかし獅子夫は怯むこともなく、空玲須に殴りかかってきた。痛みを感じていないらしい。
「今の俺は、毛皮に守られているからなあ!」
獅子夫の反撃で吹っ飛ぶ空玲須。かすかな頭痛と共に、頭の中にひらめくイメージ...。
「なるほど。『あの獅子』か。」
空玲須は、さらに突進してくる獅子夫を避けて、その首に逞しい腕を回した。
一気に締め上げる。
ぎぎ...。
叫び声をあげる間もなく、獅子夫は意識を失った。
黒い影が、獅子夫の身体から抜けて宙に浮いています。
「獅子夫様あ。」
ボスの敗北に驚く少年たち。空玲須がキッとにらむと、女鹿蘭を置いて散り散りに逃げ去っていきました。
「なんともないか?女鹿蘭?」
空玲須は女鹿蘭の手を取ります。
「...なんで、苗字ごと呼ぶの?」
女鹿蘭は、照れ隠しに不満を言いました。
「なんとなく、メガラって呼び慣れてる気がして。」
女鹿蘭は、ふっと笑って、そして言いました。
「...いいわ。
助けてくれてありがとう。」
「というか、巻き込んだのはこっちの方みたいだからな。」
空玲須は言いながら、獅子夫の身体から出てきた黒い影を見ました。
「なんだろね、これ。
...とりあえず、袋に入れとく?」
女鹿蘭はポケットからレジ袋を取り出して、空中の黒い影をすくいとりました。
「その袋は?」
校舎へ戻りながら、空玲須は女鹿蘭に聞きました。
「レジ袋じゃん。エコバッグはかさばるから、私はレジ袋常備派なんだよね。」
意味がわからない言葉はあるけれど、わかってないと恥ずかしい系の物言いをされるので、空玲須はそれ以上聞くのをやめました。
「あら、あなたたち?」
校舎の近くで、空玲須と女鹿蘭は呼び止められました。
「駅土奈先生...。」
女鹿が言って、立ち止まります。
「それ、どこでゲットしたの?」
駅土奈先生は、女鹿蘭のレジ袋を指差しました。
「その子たちはね、ちょっと間違えてこの世に出てしまったのよ。
...先生に渡してくれない?」
駅土奈先生は、美しいけれど怪しい笑みを浮かべて空玲須に言いました。
「駅土奈先生。これ、獅子夫から出てきたんです。...もしかして、知ってる?」
女鹿蘭が駅土奈先生に聞くと、
「もちろん。この子たちは私の子供よ。
迷い出てしまったから、きちんと元の世界に戻さなくては。」
と、駅土奈先生は、受け取った黒い影を胸にしまいながら言いました。
駅土奈...、エキドナ!
「まだ、他にもいるんですか?」
空玲須は、駅土奈先生に聞きます。
「ええ。平米の計らいで、あと何人か。
『怪化』と、でも名付けましょうか。
人に取り憑いて、力を表すようですよ。」
...平米。へーべ?聞いたことがあるような...。
「空玲須ちゃん、とりあえず今回みたいなのがいたら、私のところまで連れてきてちょうだい。
サービスしちゃうわよ❤️」
駅土奈先生は、そう言って、豊満な胸を強調しました。
「じゃあ、先生。また後で。」
女鹿蘭は、不機嫌そうに空玲須の手を引いて校舎に戻りました。
「...色気ババア...。」