最終話-a 女鹿蘭編〜花火大会
花火大会、当日。
空玲須は、玄関を出て女鹿蘭を待ちます。
「空玲須!」
玄関を出た途端に声をかけられました。どうやら、空玲須の方が遅かったみたいです。
振り向いた空玲須の目に映る浴衣姿。薄桃色の花柄。普段の女鹿蘭が身につけない色。
「似合ってるよ、女鹿蘭。」
空玲須は、思わず口に出しました。
「う、うん。ありがとう。」
女鹿蘭は、頬を赤らめてうつむきます。
「じゃあ、行こう。」
空玲須は女鹿蘭の手を取って、歩き出しました。
どどーん! パチパチパチ...
大きな花火。
ととととど、ぱぱぱぱぱ...。
カラフルな連発花火。
「楽しかったね。サマースクール。」
「ああ。水鉄砲では、酷い目にあったけどな...。」
「あはは。思い出しちゃった。
あんなにかけられて、大変だったよね。」
「...でも、女鹿蘭が楽しそうだったから。
オレも楽しかった。」
女鹿蘭は、空玲須を見つめます。
「みんながね、『空玲須は変わった』って言うの。
わたし、ずっとよくわからなかった。
空玲須は空玲須で、変わってないって思ってたから。」
空玲須も女鹿蘭を見つめ返しました。
「オレ、実は...。」
女鹿蘭は、首を振ります。
「きっとね、変わりたくなかったんだ。
...わたしが。」
そう言って、きゅっと、空玲須の手を握りました。
「女鹿蘭...。」
空玲須も、きゅっと手を握り返します。
「空玲須。
わたし、変わってもいいのかな...。
幼なじみじゃなくても、いい?」
女鹿蘭は、空玲須の瞳の奥をのぞきます。
どどーーん!パッ!
パチパチパチ...。
最後の大きな花火が鳴り響きました。
二人は手を繋いだまま、微笑み合います。
空玲須=ヘラクレスの青春は、まだまだ続いていくようです。
「青春ヘラクレス」完