第弐話 金山毘古神
「おにい、その力、擬神人やろ」「なんの神様かいな?」
女は我に返ったように「あ、ちゃう、それより話があってな。ちょいだけ路地裏でお話しまへんか」。
黙って聞いていた進清は、口を開く。
「それより誰じゃ?」
女は手を合わせ。
「そうやった、名乗ってへんかったな。すんまへん」「アタシ、毘山久美子言います」
ため息をつく進清。
「で、毘山さん、今は機嫌が悪い。後にしてくれ」
久美子は進清の腕を掴む。
「そないな固いこと言わへんで、聞いてくれぇや」
苛立ちを隠しきれぬまま、「分かった、少しだけじゃ」と進清は言った。
路地裏に入り。
久美子が口を開く。
「ほな、進清はん。ついてきてほしいねんけど」
進清は後ずさりする。
「は、なんで俺の名前知ってんだ」
久美子は自分の頭をポカポカと叩きながら言う。
「やっぱそうなるか~。実力行使は男っぽおして嫌やねんけどなぁ」
そう言い、片腕を前に出した。
「≪金山毘古神≫」
前に出した指先から、ビリッ、ビリッと電流が流れる。
進清の両隣の壁のパイプが折れ曲がり、手首に巻き付いたかと思うと、そのまま手首ごと地面に突き刺り。衝撃で膝から崩れ落ちる。
進清は目を見開き。
「は?」
進清は声を荒げる。
「おめぇ、なにしやがった!!」
「≪天手力男神≫」
金属がボコッ、ボコッと曲がっていく音が響く。
久美子は、あざ笑うように言った。
「なに、男が女しばくん? しかも擬神人使うて」「今のうちに捕まえとこ」
パイプが折れ曲がっては巻き付き、壁からは鉄筋が現れては、進清の体に絡みついていく。
鉄筋が、首に巻き付く。
「ほな、眠ろか」
締まり気絶する。
男が数人がかりで俺を持ち上げ、車に乗せていくのが見えた。
「ほな、後はよろしゅう」
久美子は助手席に座り、振り返りもせずに言った。
「ほな、行こか」