第肆話 軍神
やっと、分かった。
『軍神・志都那』,1937年、日中戦争初期。擬神人≪志那都比古神≫を用い、数々の地上戦に参加した男。志那都比古神が参加した地上戦で、日本が負けたことは,一度もない。
「久美子、こいつ誰じゃ」
久美子が、手を上下に振りながら言う。
「ほら~、前話した車やら持ち上げたり投げられはる人」
志都那は、バーカウンターの椅子を、進清の近くまで蹴り飛ばした。
「ねまれや...早よや...早よねまれ!!」
進清は慌てたように椅子に座る。大柄な進清ですら、縮こまる迫力だった。
志都那は、奥へ上がる。このバー内では異質な座布団に、胡座をかいた。
「率直に言う。お前、擬神在月に入らっしゃい」
そもそも、擬神在月とは何なのか。
通り抜けられる棚に、困惑が止まらないまま、進清は口を開く。
「擬神在月って、カラクリニンギョウ狩りのことか...ですか?」
志都那が、悔しそうに言う。
「今はそう呼ばれとる。ワシらには擬神在月っつう名前があんのに」
「でぇ、入るか? 入らんのか? 復讐したないんか?」
進清が口を開く。
「日本異能人っちゅうんは、日本国民を守るもんで。日本国民を守るカラクリニンギョウをめぐ上に、壊すなんて...」
久美子が少しバカにするように言う
「妖怪様と戦うてる時に、カラクリニンギョウの邪魔すんな! って罵倒されたやろ。カラクリニンギョウ出るまでは、流石! 凄い! って言われとったのに」
「そういや、アンはんテレビ出とったやんなぁ? まぁその内容は、カラクリニンギョウは凄いって宣伝するためやったけど」
「なぁアレ本気とちがうやろ? だってアンはん車やら持ち上げたり投げることできんのに、テレビやと持ち上げられるだけ。カラクリニンギョウは持ち上げて投げられとったけど。知ってるんやで~、アンはんが車を、カラクリニンギョウよろ遠くに投げられんねんの」
「あぁ言うのって、ヤラセって言うんやろ~?」
進清は拳を握りじめ、黙り込んでいる。
「効いとるやん」
「分かるで~。悔しいよなぁ? 自分の神様をエンタメなんかに使われて、言われたようにしてみんなに笑われて」
志都那が、口を開く。
「更に最近は、擬神人、神様の力なんていらん。と考える若者も出て来とる。そんな考えはだちかん。わしゃ気に入らん」
「復讐したい気持ちがあるが、それよりも、日本異能人が優遇されて、神を大事にさせたい。そのためには...」
「...建国や。日本に新しい国を作る必要がある」
「お前の神様【天手力男神】を使いたい」