ホーム›女はAカップ以下の世界で! 冒険、観光、ウマいメシ!›第十一話 魔導剣士ロイ、運命的な出会いをする? ―前編―
← 前の話目次次の話 →

第十一話 魔導剣士ロイ、運命的な出会いをする? ―前編―

 前回の冒険で手に入れたお宝のうち、巻物スクロール十巻と結構な量の宝石を貰った。ただこの巻物スクロール、魔法文字で何か書かれているし、魔力も感じるのだが、どう鑑定しても効果がわからない代物であり、かといって歴史的な価値もないということで、半ばジャンク扱いである。

 こんな得体の知れない物品を貰っても困るが、宝石の方は換金したら結構な額に化けた。やはり、遺跡は当たるとでかい。

 冒険者が金を手に入れたらやることと言えば、なんと言っても「贅沢」。何ぶん明日をも知れぬ身なので、後生大事に蓄財するという考えが薄い。帰ってきたらおしゃれな装備を発注して、夜は酒場の客に酒を奢おごって、大宴会に興じた。

 一週間ほどだらだら過ごしていたが、そろそろ仕事しないとまずいんじゃね? という自堕落かつ消極的な理由から、久しぶりに早朝の告知所にやって来た次第。

 ちなみに、ついに全員分の徽章きしょうも出来上がり、俺もサブ武装として銀製のかっこいいショートソードを誂あつらえた。他の皆も、ちょいと装備がレベルアップしている。

「さて、今回の依頼は......と」

 依頼票を眺めていくと、連続殺人の起きている村の事件を解決してほしい、という旨のものがあった。なんだかミステリーのかほり・・・がするじゃあないか。

 報酬が高いわけでもないが、なんとも気になる案件だ。他のもざっと見たところ、今日の案件は全体的に渋いようだし、これでどうだろうか? と言うと、わりとあっさり全員の承諾が得られた。

 アンデッド討伐依頼があったら、もっとこじれたかもしれない。

 旅支度を整えるため一旦宿に引き返したところ、「兄貴、ちょっと待ってほしいっス」と、義妹いもうとに呼び止められてしまった。

「へへへ。実はオレ、最近占いにハマってるんス。今日の運勢を占ってみるっス」

 あのサンが、なんとも乙女チックな趣味を身に着けたもんだ。様子を見守っていると、小袋からサイコロ五個を取り出してテーブルに勢いよくばら撒いた。

「むむむ......見えたっス!」

 彼女はしばらく、真剣な面持ちでサイコロを見つめていたが、面おもてを上げる。

「今日、オレらは運命的な出会いをするっス」

 自信満々に、サムズアップするサン。何だかすごい自信だが、ホントかね? まあ当たるも八卦、当たらぬも八卦って、異界でいうそうだしな。

 何やら大げさな占い結果が出たところで、現場に行くとしようかね。


 ◆ ◆ ◆


 昼下がりのこと、連続殺人が起きたというソノヘン村へ向かう途中の森で、か弱い犬の鳴き声が聞こえた気がした。

「何か、犬の鳴き声が聞こえませんか、ロイさん?」

 クコも気づいたようで、立ち止まって目をつぶり、耳に手を添えて聞き耳を働かせている。

「何だか、放置していくのも気になるな。ちょっと探してみよう」

 声の聞こえる方に藪やぶを掻き分けていくと、四肢をトラバサミに挟まれた、運のない犬......いや、狼が横たわっているじゃあないですか。

 うーむ、どうしたもんか。害獣駆除のために仕掛けたものなんだろうが、だからって見殺しにするのも、どうにも気分がよろしくない。

「よし、こいつを助けてやろう」

「やめておいた方がいいんじゃありません? この狼きっと、家畜荒らしなんでしょう」

「そう言われると気が引けるが、狼は食糧難でもなきゃ人里へ来ないもんだ。こいつは、ただの迷い狼なんじゃないかと思うぜ」

 フランが反対の意を示すが、構わず罠を外して狼を放ってやった。

「それに、サン大先生の占いによれば、運命的な出会いがあるそうだからな。こいつのことかも知れんぞ」

 足が自由になると、狼はこちらを一度振り返り、ひょこひょこと森の奥へ消えて行く。はて、そういえばあの狼、出血していなかったような? 気のせいか。


 ◆ ◆ ◆


 さらに少し歩いて村に到着すると、村人が農作業に勤しんでいるのが見えた。

「あの」

 干し藁を台車に積んでいた中年女性に背後から話しかけると、ひいっと声を上げて藁束を落としてしまった。そんなびびらなくても、いいじゃないか。

「何のご用でしょうか?」

 不審者を見る目つきで、俺たちをジロジロと眺めてくる。何だか感じ悪いな。

「依頼を受けに来た冒険者です。詳しい話を、聞かせてもらいたいのですが」

「例の件についてでしたら、あちらの村長様のお家で尋ねてください。詳しく教えていただけると思います」

 依頼票を見せながら説明すると、一転して安堵あんどの表情を見せる。ううむ。仕方ないことだが、村全体がかなりナーバスになっているようだ。
シェア
← 前の話
第十話 魔導剣士ロイ、愛を歌う ―後編―
次の話 →
第十二話 魔導剣士ロイ、運命的な出会いをする? ―中編―
女はAカップ以下の世界で! 冒険、観光、ウマいメシ!作者:みなはらつかさ
目次を見る
コメント0件
ログインしてコメントする
まだコメントがありません
ホーム›女はAカップ以下の世界で! 冒険、観光、ウマいメシ!›第十一話 魔導剣士ロイ、運命的な出会いをする? ―前編―
← 前の話目次次の話 →

第十一話 魔導剣士ロイ、運命的な出会いをする? ―前編―

 前回の冒険で手に入れたお宝のうち、巻物スクロール十巻と結構な量の宝石を貰った。ただこの巻物スクロール、魔法文字で何か書かれているし、魔力も感じるのだが、どう鑑定しても効果がわからない代物であり、かといって歴史的な価値もないということで、半ばジャンク扱いである。

 こんな得体の知れない物品を貰っても困るが、宝石の方は換金したら結構な額に化けた。やはり、遺跡は当たるとでかい。

 冒険者が金を手に入れたらやることと言えば、なんと言っても「贅沢」。何ぶん明日をも知れぬ身なので、後生大事に蓄財するという考えが薄い。帰ってきたらおしゃれな装備を発注して、夜は酒場の客に酒を奢おごって、大宴会に興じた。

 一週間ほどだらだら過ごしていたが、そろそろ仕事しないとまずいんじゃね? という自堕落かつ消極的な理由から、久しぶりに早朝の告知所にやって来た次第。

 ちなみに、ついに全員分の徽章きしょうも出来上がり、俺もサブ武装として銀製のかっこいいショートソードを誂あつらえた。他の皆も、ちょいと装備がレベルアップしている。

「さて、今回の依頼は......と」

 依頼票を眺めていくと、連続殺人の起きている村の事件を解決してほしい、という旨のものがあった。なんだかミステリーのかほり・・・がするじゃあないか。

 報酬が高いわけでもないが、なんとも気になる案件だ。他のもざっと見たところ、今日の案件は全体的に渋いようだし、これでどうだろうか? と言うと、わりとあっさり全員の承諾が得られた。

 アンデッド討伐依頼があったら、もっとこじれたかもしれない。

 旅支度を整えるため一旦宿に引き返したところ、「兄貴、ちょっと待ってほしいっス」と、義妹いもうとに呼び止められてしまった。

「へへへ。実はオレ、最近占いにハマってるんス。今日の運勢を占ってみるっス」

 あのサンが、なんとも乙女チックな趣味を身に着けたもんだ。様子を見守っていると、小袋からサイコロ五個を取り出してテーブルに勢いよくばら撒いた。

「むむむ......見えたっス!」

 彼女はしばらく、真剣な面持ちでサイコロを見つめていたが、面おもてを上げる。

「今日、オレらは運命的な出会いをするっス」

 自信満々に、サムズアップするサン。何だかすごい自信だが、ホントかね? まあ当たるも八卦、当たらぬも八卦って、異界でいうそうだしな。

 何やら大げさな占い結果が出たところで、現場に行くとしようかね。


 ◆ ◆ ◆


 昼下がりのこと、連続殺人が起きたというソノヘン村へ向かう途中の森で、か弱い犬の鳴き声が聞こえた気がした。

「何か、犬の鳴き声が聞こえませんか、ロイさん?」

 クコも気づいたようで、立ち止まって目をつぶり、耳に手を添えて聞き耳を働かせている。

「何だか、放置していくのも気になるな。ちょっと探してみよう」

 声の聞こえる方に藪やぶを掻き分けていくと、四肢をトラバサミに挟まれた、運のない犬......いや、狼が横たわっているじゃあないですか。

 うーむ、どうしたもんか。害獣駆除のために仕掛けたものなんだろうが、だからって見殺しにするのも、どうにも気分がよろしくない。

「よし、こいつを助けてやろう」

「やめておいた方がいいんじゃありません? この狼きっと、家畜荒らしなんでしょう」

「そう言われると気が引けるが、狼は食糧難でもなきゃ人里へ来ないもんだ。こいつは、ただの迷い狼なんじゃないかと思うぜ」

 フランが反対の意を示すが、構わず罠を外して狼を放ってやった。

「それに、サン大先生の占いによれば、運命的な出会いがあるそうだからな。こいつのことかも知れんぞ」

 足が自由になると、狼はこちらを一度振り返り、ひょこひょこと森の奥へ消えて行く。はて、そういえばあの狼、出血していなかったような? 気のせいか。


 ◆ ◆ ◆


 さらに少し歩いて村に到着すると、村人が農作業に勤しんでいるのが見えた。

「あの」

 干し藁を台車に積んでいた中年女性に背後から話しかけると、ひいっと声を上げて藁束を落としてしまった。そんなびびらなくても、いいじゃないか。

「何のご用でしょうか?」

 不審者を見る目つきで、俺たちをジロジロと眺めてくる。何だか感じ悪いな。

「依頼を受けに来た冒険者です。詳しい話を、聞かせてもらいたいのですが」

「例の件についてでしたら、あちらの村長様のお家で尋ねてください。詳しく教えていただけると思います」

 依頼票を見せながら説明すると、一転して安堵あんどの表情を見せる。ううむ。仕方ないことだが、村全体がかなりナーバスになっているようだ。
シェア
← 前の話
第十話 魔導剣士ロイ、愛を歌う ―後編―
次の話 →
第十二話 魔導剣士ロイ、運命的な出会いをする? ―中編―
女はAカップ以下の世界で! 冒険、観光、ウマいメシ!作者:みなはらつかさ
目次
コメント0件
ログインしてコメントする
まだコメントがありません