ホーム›女はAカップ以下の世界で! 冒険、観光、ウマいメシ!›第六十話 魔導剣士ロイ、えらいことになる
← 前の話目次次の話 →

第六十話 魔導剣士ロイ、えらいことになる

 昨日は、なんだか安眠できなかったので、早く目が覚めてしまった。

 なんとも、暇だ。暇なので、いつぞやの遺跡でアー&ウーン兄貴たちからもらった、巻物スクロールとにらめっこしている。

 そして、魔が差した。読んで・・・みようと。

 とはいえ、爆発魔法なんか仕込まれてたら危ないし、動物に変化などしても困る。

 というわけで、「これから巻物の実験をする。もしも動物などになっていたら、師匠に相談してくれ」と書き残し、巻物一枚を手に、開けた場所に出た。

 とりあえず、この魔法文字自体は読めるんだ。ただ、そこから導き出されるものがわからない。ゆえのジャンクだ。

 文字を、読み上げていく。すると、なにやら俺の体が、柔らかな光に包まれた。

 ......これだけ?

 なんか、大仰な準備をした割に、しょっぱいな。

 さすがジャンク。こんなものか。

 ......と、これで終わればよかったのだが。


 ◆ ◆ ◆


「ないィィィィ!」

 「蒼い三日月亭」の厠の中で、黄色い悲鳴をあげる俺がいた!

 どうしよう? どうしたらいいんだ!?

 いや、どうしようも何も、当初の用事を済ませるほかない。

 要領は、大・と同じなんだ、うん。


 ◆ ◆ ◆


「ええーっ!」

 朝の食堂。皆が素っ頓狂な声を上げる。

「やー、これはこれは。ロイちゃん爆誕ですか」

 なぜか、ほくそ笑むクコ。こいつ、この状況を楽しんでやがる。

「しかし、外見はあまり変わってませんね。女性体型になってますけど、身長なんかはそのままです」

 パティが、顎に手を添え思案。兜のせいで、どんな表情をしてるのか、伺いしれないが。

「ていうか......イケメンですよね。イケメンガール!」

 大興奮のクコ。だから、なんでそんな嬉しそうなの?

「ロイくんが女の子になっても、お姉ちゃんの気持ちは変わらないからね」

 なんか、ナンシアに慰められた......というより、妙な宣言を受けた。気持ちは変わらないって、何が?

「オレもっす! 姉貴になっても、お慕いするっす!」

「お、おう......」

 変わらず接してくれるのはありがたいが、なんかもにょるな。

「解呪は試されましたの?」

 ごく当たり前の提案をする、フラン。

「やったやった。ダメだった」

 腕組みして、ため息を吐く。

「服もなあ。肩が余り気味だし、尻はきついしで......」

 それを聞き、なんかいい笑顔で顔を見合わせる一同。

「おニューの服を誂あつらえましょ!」

 女性陣......今じゃ、俺もその一員だが、まあ、そのお揃いの一言で、新しく衣服を買うことになってしまった。

 やれやれ。


 ◆ ◆ ◆


「言っておくが、女装はせんからな」

 店に到着して、開口一番釘を刺す。

「えー?」

 なんで、そんな不満そうな声を上げるんだ、クコ。

「あ、でも男装の麗人ってのも、アリアリのアリですね!」

 しょげたかと思えば、今度はいい笑顔で人差し指を立てる。ほんとにこいつは......。

 とりあえず入店し、上着とズボンを見繕う。冒険用だから、丈夫さと機能性重視だ。

「いまいち、可愛くないですね......」

 ゴツいアーマーで、身を固めてる君に言われてもな、パティ。

「どうしよう......。ロイくんに、可愛い服着せたいわ......」

「絶対に断る」

 ナンシアまで、おかしなことを......。

「ロイさん、ロイさん。さすがにこればかりは、女装が必要ですよねえ?」

 ニンマリして、クコが指差す先は......。

 下 着 売 り 場 。

「ぐ......」

 たしかに、こればかりは。こればかりはなあ......。

「くっ、殺せ......」

 観念して、下着を買い込むのであった。


 ◆ ◆ ◆


「もー、ロイさん、もっと可愛い下着、いっぱいあったじゃないですかー」

 帰り道。あくまでもシンプルなのを買い込んだので、クコは不服そうだ。

「嫌だ。だいたい、なんでそんな楽しそうなんだお前は」

「わたしの脳内、知りたいです?」

「......遠慮しておく」

 肩を落とし、とぼとぼと歩く。ああ、女物がフィットするあたり、ほんとに女になってしまったんだなあ、などと考えながら。

 その晩、部屋に侵入してきたクコに、「いざという時は、女ならではのやり方・・・教えますからね。なんなら、今、実践も......」と言われ、ゲンコツを入れてお帰りいただいた。

 鍵、きちんと閉めとこう......。
シェア
← 前の話
第五十九話 魔導剣士ロイ、デエトする
次の話 →
第六十一話 魔導剣士ロイ、己を売る
女はAカップ以下の世界で! 冒険、観光、ウマいメシ!作者:みなはらつかさ
目次を見る
コメント0件
ログインしてコメントする
まだコメントがありません

第六十話 魔導剣士ロイ、えらいことになる

 昨日は、なんだか安眠できなかったので、早く目が覚めてしまった。

 なんとも、暇だ。暇なので、いつぞやの遺跡でアー&ウーン兄貴たちからもらった、巻物スクロールとにらめっこしている。

 そして、魔が差した。読んで・・・みようと。

 とはいえ、爆発魔法なんか仕込まれてたら危ないし、動物に変化などしても困る。

 というわけで、「これから巻物の実験をする。もしも動物などになっていたら、師匠に相談してくれ」と書き残し、巻物一枚を手に、開けた場所に出た。

 とりあえず、この魔法文字自体は読めるんだ。ただ、そこから導き出されるものがわからない。ゆえのジャンクだ。

 文字を、読み上げていく。すると、なにやら俺の体が、柔らかな光に包まれた。

 ......これだけ?

 なんか、大仰な準備をした割に、しょっぱいな。

 さすがジャンク。こんなものか。

 ......と、これで終わればよかったのだが。


 ◆ ◆ ◆


「ないィィィィ!」

 「蒼い三日月亭」の厠の中で、黄色い悲鳴をあげる俺がいた!

 どうしよう? どうしたらいいんだ!?

 いや、どうしようも何も、当初の用事を済ませるほかない。

 要領は、大・と同じなんだ、うん。


 ◆ ◆ ◆


「ええーっ!」

 朝の食堂。皆が素っ頓狂な声を上げる。

「やー、これはこれは。ロイちゃん爆誕ですか」

 なぜか、ほくそ笑むクコ。こいつ、この状況を楽しんでやがる。

「しかし、外見はあまり変わってませんね。女性体型になってますけど、身長なんかはそのままです」

 パティが、顎に手を添え思案。兜のせいで、どんな表情をしてるのか、伺いしれないが。

「ていうか......イケメンですよね。イケメンガール!」

 大興奮のクコ。だから、なんでそんな嬉しそうなの?

「ロイくんが女の子になっても、お姉ちゃんの気持ちは変わらないからね」

 なんか、ナンシアに慰められた......というより、妙な宣言を受けた。気持ちは変わらないって、何が?

「オレもっす! 姉貴になっても、お慕いするっす!」

「お、おう......」

 変わらず接してくれるのはありがたいが、なんかもにょるな。

「解呪は試されましたの?」

 ごく当たり前の提案をする、フラン。

「やったやった。ダメだった」

 腕組みして、ため息を吐く。

「服もなあ。肩が余り気味だし、尻はきついしで......」

 それを聞き、なんかいい笑顔で顔を見合わせる一同。

「おニューの服を誂あつらえましょ!」

 女性陣......今じゃ、俺もその一員だが、まあ、そのお揃いの一言で、新しく衣服を買うことになってしまった。

 やれやれ。


 ◆ ◆ ◆


「言っておくが、女装はせんからな」

 店に到着して、開口一番釘を刺す。

「えー?」

 なんで、そんな不満そうな声を上げるんだ、クコ。

「あ、でも男装の麗人ってのも、アリアリのアリですね!」

 しょげたかと思えば、今度はいい笑顔で人差し指を立てる。ほんとにこいつは......。

 とりあえず入店し、上着とズボンを見繕う。冒険用だから、丈夫さと機能性重視だ。

「いまいち、可愛くないですね......」

 ゴツいアーマーで、身を固めてる君に言われてもな、パティ。

「どうしよう......。ロイくんに、可愛い服着せたいわ......」

「絶対に断る」

 ナンシアまで、おかしなことを......。

「ロイさん、ロイさん。さすがにこればかりは、女装が必要ですよねえ?」

 ニンマリして、クコが指差す先は......。

 下 着 売 り 場 。

「ぐ......」

 たしかに、こればかりは。こればかりはなあ......。

「くっ、殺せ......」

 観念して、下着を買い込むのであった。


 ◆ ◆ ◆


「もー、ロイさん、もっと可愛い下着、いっぱいあったじゃないですかー」

 帰り道。あくまでもシンプルなのを買い込んだので、クコは不服そうだ。

「嫌だ。だいたい、なんでそんな楽しそうなんだお前は」

「わたしの脳内、知りたいです?」

「......遠慮しておく」

 肩を落とし、とぼとぼと歩く。ああ、女物がフィットするあたり、ほんとに女になってしまったんだなあ、などと考えながら。

 その晩、部屋に侵入してきたクコに、「いざという時は、女ならではのやり方・・・教えますからね。なんなら、今、実践も......」と言われ、ゲンコツを入れてお帰りいただいた。

 鍵、きちんと閉めとこう......。
シェア
次の話第六十一話 魔導剣士ロイ、己を売る
女はAカップ以下の世界で! 冒険、観光、ウマいメシ!作者:みなはらつかさ
目次
コメント0件
ログインしてコメントする
まだコメントがありません