第三話 椎茸の肉詰めとジュンコさん
『ゲーム、スタート』
卓を起動させたら電子音声で卓が開始を促してくる。ゲームスタートだと。俺たちはまだ各々の席に飲み物を運んだりと準備をしてる。
「ところでさ、最初にここに来た時に麻雀してた年配の女性はもう来ないの? 常連じゃなかったとか?」と俺は気になっていたことを聞いてみた。
「誰だっけ? キミコさん?」
「いや、イヌイが初来店した日に来てたのはジュンコさんだな。そういやあれ以来こなくなったかもしれない。ま、ジュンコさんは忙しい人だからな、仕事が入るとピタッと来なくなるのはいつもの事だ。そのうちまた来だすだろう――」と話をしていたら
ガラガラガラ
「なんか私の話してませんでしたか?」
「ジュンコさん!」
「いらっしゃいませ!」
「メタくんのデカい声が外まで聞こえるんだけど。いま私の話してたでしょう?」
「話してたけど悪口言ってたわけじゃないですからね?」
「あ、そう? ほんとかなー」
そう言ってジュンコさんはカウンターに腰掛けた。
「なんか今日のオススメとかありますか?」
「そうですねぇ。今日は立派な椎茸があるから椎茸の肉詰めでも作りましょうか」
「やったあ! それ、絶対私の好きなやつ!」
(椎茸の......肉詰め? ピーマンとかナスじゃなくて?)
どうやって詰めるんだろ? と思ったけど椎茸を見たら納得した。
あやのさんが冷蔵庫から取り出したのはそれはそれは肉厚な椎茸だった。これなら軸を取って逆さにすれば『皿』になる。そこに塩コショウで味付けした挽き肉を詰めるわけだ。片栗粉を使えば肉をある程度固定できるので椎茸から外れにくくなるし。
フライパンで火を通したら完成! これは簡単で、しかも美味しそうだ!! 家でもやってみよう。
「イヌイさんもお家でやってみてね。簡単だから。表面にスライスチーズを乗せて肉を固定して蒸し焼きでもいいわよ。なんなら電子レンジで作ってもいいし。少し醤油かけるのが私は好きだけど、まあ、最後の味付けはしてもしなくてもいいわ。塩コショウはかけてあるし、そこはお好みで」
「あっ、この子はいつだかの。妹まで連れて来て、よっぽど気に入ってくれたんだねぇ」とジュンコさんが俺と美咲に気付いた。美咲は顔そっくりだから『妹です』って紹介省けるの本当に楽でいい。
「こんにちは」
「こんにちは、はじめまして。見ての通り妹の『美咲』です」
「はじめまして。私は左田純子よ。よろしくね」
「ま、とりあえずやろっか」
来たばかりで食事がまだなジュンコさんは抜きで、とりあえず先に俺たち4人(俺、美咲、犬飼、メタ)で麻雀をやり始めた。