ホーム›麻雀食堂›第二話 メタの過去とチャーハン餃子
← 次の話目次前の話 →

第二話 メタの過去とチャーハン餃子


 メタさんがトッププロであると妹から情報が入ったがイマイチ信じられない。
 メタさんは黒縁メガネだ。黒縁メガネかけてる人の顔ってけっこうみんな同じに見えるし。ましてメタさんは太ってる。太ってる黒縁メガネの人はいよいよ皆同じに見えてくると思うのだが(言い過ぎか)。いや、過去動画のメタさんは痩せてるんだっけ......。

「あの、メタさん。つかぬことをお聞きしますが......」
「んぁ。なんだ?」
「メタさんって。昔、麻雀のトッププロだったりします?」
「あれ? 誰かに聞いた? そーそー、アルファで打ってたよ。『ミネルヴァ彩』ってチームのチームリーダーだった」
「本当なんだ! すごい!」
「ふっ、まあな」
「なーにが『ふっ、まあな』よ! 信じらんないくらい負けまくってクビになったくせにさ!」と、あやのさんが珍しくそんな事を言う。
「仕方ないだろぉ。そういうこともあるのが麻雀なんだから。ま、弱かったよ。あの時のおれは」

 あれ、2人の空気感。もしかして。

「あの、もしかしてだけどあやのさんのご主人って......」
「ああ、わかった? コレが私の亭主。メタこと『髙橋幸太郎』よ。まあいまは離婚してるけど」
「あれ、今離婚してたっけか」
「したわよ。あんたと3回結婚して3回離婚したでしょうが! ホント私もバカよね」
「そうか、もうどっちでも良くなってきてたな。ハハハ!」
「たくぅ、もうあんたとの結婚はいい加減こりごりよ。絶対次は違う男と結婚するって決めてるんだから! 例えばそこのイヌイさんとか。てことで私は今独身なの、シングルマザーでっす!」
「ちょい! イヌイくんはアタシに譲る約束でしょお!? アンタはまたメタでいいじゃん!」
「やーよ。こんな甲斐性なし。そんな約束した覚えないしぃ〜」

 3回結婚して3回離婚? そんな夫婦があるの? ケンカする度に離婚してるのかな。もうそれわざわざ離婚する必要なくないか?
 あやのさんが独身だということに少しホッとしたけど、いやこれ既婚とあんま変わらないだろ。とも思った。

「あっ、おとーさんだ。おかえりー」
「ああ、いのり。ただいま。ご飯は食べたのか」
「まだー、お母さんが待ってろって。でもいのりお腹すいてきちゃった」 
「はいはい、ごめんねいのり。今できたから、チャーハンと餃子! おかわりもあるからね」
「わぁい!」

 それはシンプルなチャーハンと餃子だった。だけど、とても美味しそう。特に餃子の焼き色がこんがりしてて俺の作るものとは明らかに違う。
 普通に中火で蒸し焼きをしただけではないはずだ。中火の蒸し焼きだけだとあんなに美味しそうな焼き色になった事がない。

「その、焼き色ってどうやってつけてるんですか」
「ああ、これは中火で蒸し焼きしたあと1分だけ蓋取って強火で焼くのよ。そうすると色も食感も良くなるから。あとはその焼き色つけた面を上にして皿に盛れば完成!」
「お兄ちゃんそんな事も知らないの〜? 私だって知ってたのに」
「おま、知ってんなら家で俺が餃子作ってるとき言えよな」
「いやよ。余計なこと言って怒られたくないし〜。作ってもらう側は文句なく食べるのみですー」

(それは、たしかに)

 しかし良いことを知った。今まで生餃子を買って食べることは何度もあったがいつも焼き色がお店みたいにならないのはこう言うことだったのかと納得した。

「ねー、そろそろ麻雀しようよ」
「そうだな。やろう」

 店の奥の住居スペースではいのりちゃんがザクザクといい音を出して焼き餃子を食べていた。


シェア
前の話 →
第一話 メタの正体
← 次の話
第三話 椎茸の肉詰めとジュンコさん
麻雀食堂作者:彼方
目次を見る
コメント0件
ログインしてコメントする
まだコメントがありません
ホーム›麻雀食堂›第二話 メタの過去とチャーハン餃子
← 前の話目次次の話 →

第二話 メタの過去とチャーハン餃子


 メタさんがトッププロであると妹から情報が入ったがイマイチ信じられない。
 メタさんは黒縁メガネだ。黒縁メガネかけてる人の顔ってけっこうみんな同じに見えるし。ましてメタさんは太ってる。太ってる黒縁メガネの人はいよいよ皆同じに見えてくると思うのだが(言い過ぎか)。いや、過去動画のメタさんは痩せてるんだっけ......。

「あの、メタさん。つかぬことをお聞きしますが......」
「んぁ。なんだ?」
「メタさんって。昔、麻雀のトッププロだったりします?」
「あれ? 誰かに聞いた? そーそー、アルファで打ってたよ。『ミネルヴァ彩』ってチームのチームリーダーだった」
「本当なんだ! すごい!」
「ふっ、まあな」
「なーにが『ふっ、まあな』よ! 信じらんないくらい負けまくってクビになったくせにさ!」と、あやのさんが珍しくそんな事を言う。
「仕方ないだろぉ。そういうこともあるのが麻雀なんだから。ま、弱かったよ。あの時のおれは」

 あれ、2人の空気感。もしかして。

「あの、もしかしてだけどあやのさんのご主人って......」
「ああ、わかった? コレが私の亭主。メタこと『髙橋幸太郎』よ。まあいまは離婚してるけど」
「あれ、今離婚してたっけか」
「したわよ。あんたと3回結婚して3回離婚したでしょうが! ホント私もバカよね」
「そうか、もうどっちでも良くなってきてたな。ハハハ!」
「たくぅ、もうあんたとの結婚はいい加減こりごりよ。絶対次は違う男と結婚するって決めてるんだから! 例えばそこのイヌイさんとか。てことで私は今独身なの、シングルマザーでっす!」
「ちょい! イヌイくんはアタシに譲る約束でしょお!? アンタはまたメタでいいじゃん!」
「やーよ。こんな甲斐性なし。そんな約束した覚えないしぃ〜」

 3回結婚して3回離婚? そんな夫婦があるの? ケンカする度に離婚してるのかな。もうそれわざわざ離婚する必要なくないか?
 あやのさんが独身だということに少しホッとしたけど、いやこれ既婚とあんま変わらないだろ。とも思った。

「あっ、おとーさんだ。おかえりー」
「ああ、いのり。ただいま。ご飯は食べたのか」
「まだー、お母さんが待ってろって。でもいのりお腹すいてきちゃった」 
「はいはい、ごめんねいのり。今できたから、チャーハンと餃子! おかわりもあるからね」
「わぁい!」

 それはシンプルなチャーハンと餃子だった。だけど、とても美味しそう。特に餃子の焼き色がこんがりしてて俺の作るものとは明らかに違う。
 普通に中火で蒸し焼きをしただけではないはずだ。中火の蒸し焼きだけだとあんなに美味しそうな焼き色になった事がない。

「その、焼き色ってどうやってつけてるんですか」
「ああ、これは中火で蒸し焼きしたあと1分だけ蓋取って強火で焼くのよ。そうすると色も食感も良くなるから。あとはその焼き色つけた面を上にして皿に盛れば完成!」
「お兄ちゃんそんな事も知らないの〜? 私だって知ってたのに」
「おま、知ってんなら家で俺が餃子作ってるとき言えよな」
「いやよ。余計なこと言って怒られたくないし〜。作ってもらう側は文句なく食べるのみですー」

(それは、たしかに)

 しかし良いことを知った。今まで生餃子を買って食べることは何度もあったがいつも焼き色がお店みたいにならないのはこう言うことだったのかと納得した。

「ねー、そろそろ麻雀しようよ」
「そうだな。やろう」

 店の奥の住居スペースではいのりちゃんがザクザクといい音を出して焼き餃子を食べていた。


シェア
← 前の話
第一話 メタの正体
次の話 →
第三話 椎茸の肉詰めとジュンコさん
麻雀食堂作者:彼方
目次
コメント0件
ログインしてコメントする
まだコメントがありません