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 ビルから落ちた。

 なんとなく納得した。ああこうやって死んだのか。真横に先ほど見た私の死体が並んでいる。
 よいしょっと。立ち上がり、ほこりを払う仕草をする。
 死神が上からふわっと降りてくる。

「死んだばかりだ。まだ人に近い」
「の割には痛みとか無かったけど?」
「もう死んでるからな」
 なるほど、なるほど?
 
 原理は分からないがとりあえず分かった。

 今度こそ背中を押して、その場から離れた。


―――――


「で?あなたは何?私の担当か何か?」
 公園のベンチにふんぞり返るように座り、偉そうに問う。
 もう死んでるんだからどうせ罰も何もないでしょう。
 あれ?地獄とかあるのかな?いやでも生前の悪行に対してだったよな...。むしろそうであれ!
 ちょっと待てそれもまずい!蟻とか踏みつぶしまくったし、絶対見てないところで虫潰してる。ああ!昨日なんて蚊を三匹も叩いたわ!

「大体そんな感じだ」

 しっかしコイツ陰気臭いなぁ。
 もっと明るい死神もいないのかねぇ。ってそもそも明るい死神ってワード全然イメージと合わねぇ!

「それで、さっきのまだ人に近いって何?」
「人は死ぬと幽霊になるが、徐々に人から離れていく。
最初は人と変わらずにさまよう。だがそのうちに飛んだり、すり抜けたりするようになる」
「えっ、じゃあまだすり抜けられないってこと?」
「そうだ」

 ガーン!じゃあなんか悪さしたり、男湯覗いたり、独房に入って囚人ごっことかできないじゃん!

「あなただけ浮いたり、多分すり抜けたりできるんでしょ!ずるい!」
「ズルくない。大分時がたっただけだ」
「・・・?」

 えっと?ということは?

「死んだ人なの・・・?」

 そう考えると辻褄が合う。

「違う」

 んん?わからなくなってきた。

「死んだ、神だ」
「...え、それで死神ってこと?」
「そうだ」
「それがどうなってこんなことになったの?」

「生きた人は神をあがめる」
「それは分かる」
「死んだ人は何をよすがにしたらいいか」
「なるほど、それで死んだ神?死神って?いやぁトンチが利いてるねぇ!」
「だから死んだ神が死した人を導く。それが役目だ」

 そう言って死神は手元の刀を鞘ごと掲げる。

 おっなんだ、斬るのか?斬るんだな?

「いや、まだだ」

 心を読んだ!

「元、神だからな」

 今ちょっと勝ち誇ったように笑ったろ!絶対そうに違いない!
 えっじゃあ何?さっきの男湯覗くとかも聞こえてたってこと!!??
「ちゃんと聞いてたぞ」
「地獄行きだけはご勘弁をー!!」

 土下座する。
 頭を下げるだけで罪が軽くなるなら安いもんだぜ。いくらでも頭をこすりつけてやらぁ。
「聞こえてるぞ」

 ・・・もう全部声に出しちゃった方が良いな。



「地獄などない」
「へぇ?」
「四十九日が過ぎれば成仏するのみだ」
「そうなんだ?」

 四十九日ってそういう意味があるんだな~
 確かに、お墓に入るとかいうよね?

「みんな成仏するの?」
「基本的にはそうだ。考えても見ろ、そうでないとこの世が幽霊でいっぱいになってしまうと思わないか?」
「確かに」

 生きてる人より死んだ人の方が絶対多いもんなぁ~。
 あー空飛んでる人がいる。

 あれ絶対幽霊の先輩だわぁ。「お~い」全力で手を振る。
 気付いたようで手を振り返してくれる。
 いやぁ幽霊先輩。面倒だからゆうパイと呼ぼう。ゆうパイはさすが余裕度が違うわぁ。
 私なんて死にたてのほやほやでいっぱいいっぱいで。
 しかも担当がこんな根暗だし。

「元の性質だ、仕方ない」
「えっじゃあ、明るい死神もいる?」
「いるんじゃないか」
「そっちがよかったぁー!!」
「幽霊相手であるのをいいことに延々と話し続けるやつもいるぞ」
 前言撤回、この方でよかったです、はい。

「大体さ、神様っていうなら何の神だったのかい?」
 トイレとかうんこの神だったら精一杯なじってやろうと聞いてみた。
 いや、うんこの神が横に居続けるのは流石にこの私でも嫌だなぁ。ん?幽霊だから嗅覚はもうないか、いやいやそういう問題ではない、気分だよ気分。

「それか、アレかな?なんとかなんとかのなんとかの主とかそういうやつ!」

 なんか昔話で色々神様が子供を生んですっげえいっぱいになるやつ!
 あれ、でも神様の死ってなんなんだ?
 昔話だからそのうち死ぬんだろうけど、だとしたら寺でまつられてるのは一体何なんだ?
 それは死といえるのか?

「コレだ」

 私の担当死神が見せてきたのはそのずっと持っている刀だった。

「これ?モノじゃん?」
「モノにも人が祀れば神は宿る。祀られなくなった時、神は死ぬ」
「そっかー死んじゃったんだーつらいね~、わたしと一緒だね~」

 私流慰め術その一、明るく同意をするようにして心を解きほぐす。うん、完璧。

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 ビルから落ちた。

 なんとなく納得した。ああこうやって死んだのか。真横に先ほど見た私の死体が並んでいる。
 よいしょっと。立ち上がり、ほこりを払う仕草をする。
 死神が上からふわっと降りてくる。

「死んだばかりだ。まだ人に近い」
「の割には痛みとか無かったけど?」
「もう死んでるからな」
 なるほど、なるほど?
 
 原理は分からないがとりあえず分かった。

 今度こそ背中を押して、その場から離れた。


―――――


「で?あなたは何?私の担当か何か?」
 公園のベンチにふんぞり返るように座り、偉そうに問う。
 もう死んでるんだからどうせ罰も何もないでしょう。
 あれ?地獄とかあるのかな?いやでも生前の悪行に対してだったよな...。むしろそうであれ!
 ちょっと待てそれもまずい!蟻とか踏みつぶしまくったし、絶対見てないところで虫潰してる。ああ!昨日なんて蚊を三匹も叩いたわ!

「大体そんな感じだ」

 しっかしコイツ陰気臭いなぁ。
 もっと明るい死神もいないのかねぇ。ってそもそも明るい死神ってワード全然イメージと合わねぇ!

「それで、さっきのまだ人に近いって何?」
「人は死ぬと幽霊になるが、徐々に人から離れていく。
最初は人と変わらずにさまよう。だがそのうちに飛んだり、すり抜けたりするようになる」
「えっ、じゃあまだすり抜けられないってこと?」
「そうだ」

 ガーン!じゃあなんか悪さしたり、男湯覗いたり、独房に入って囚人ごっことかできないじゃん!

「あなただけ浮いたり、多分すり抜けたりできるんでしょ!ずるい!」
「ズルくない。大分時がたっただけだ」
「・・・?」

 えっと?ということは?

「死んだ人なの・・・?」

 そう考えると辻褄が合う。

「違う」

 んん?わからなくなってきた。

「死んだ、神だ」
「...え、それで死神ってこと?」
「そうだ」
「それがどうなってこんなことになったの?」

「生きた人は神をあがめる」
「それは分かる」
「死んだ人は何をよすがにしたらいいか」
「なるほど、それで死んだ神?死神って?いやぁトンチが利いてるねぇ!」
「だから死んだ神が死した人を導く。それが役目だ」

 そう言って死神は手元の刀を鞘ごと掲げる。

 おっなんだ、斬るのか?斬るんだな?

「いや、まだだ」

 心を読んだ!

「元、神だからな」

 今ちょっと勝ち誇ったように笑ったろ!絶対そうに違いない!
 えっじゃあ何?さっきの男湯覗くとかも聞こえてたってこと!!??
「ちゃんと聞いてたぞ」
「地獄行きだけはご勘弁をー!!」

 土下座する。
 頭を下げるだけで罪が軽くなるなら安いもんだぜ。いくらでも頭をこすりつけてやらぁ。
「聞こえてるぞ」

 ・・・もう全部声に出しちゃった方が良いな。



「地獄などない」
「へぇ?」
「四十九日が過ぎれば成仏するのみだ」
「そうなんだ?」

 四十九日ってそういう意味があるんだな~
 確かに、お墓に入るとかいうよね?

「みんな成仏するの?」
「基本的にはそうだ。考えても見ろ、そうでないとこの世が幽霊でいっぱいになってしまうと思わないか?」
「確かに」

 生きてる人より死んだ人の方が絶対多いもんなぁ~。
 あー空飛んでる人がいる。

 あれ絶対幽霊の先輩だわぁ。「お~い」全力で手を振る。
 気付いたようで手を振り返してくれる。
 いやぁ幽霊先輩。面倒だからゆうパイと呼ぼう。ゆうパイはさすが余裕度が違うわぁ。
 私なんて死にたてのほやほやでいっぱいいっぱいで。
 しかも担当がこんな根暗だし。

「元の性質だ、仕方ない」
「えっじゃあ、明るい死神もいる?」
「いるんじゃないか」
「そっちがよかったぁー!!」
「幽霊相手であるのをいいことに延々と話し続けるやつもいるぞ」
 前言撤回、この方でよかったです、はい。

「大体さ、神様っていうなら何の神だったのかい?」
 トイレとかうんこの神だったら精一杯なじってやろうと聞いてみた。
 いや、うんこの神が横に居続けるのは流石にこの私でも嫌だなぁ。ん?幽霊だから嗅覚はもうないか、いやいやそういう問題ではない、気分だよ気分。

「それか、アレかな?なんとかなんとかのなんとかの主とかそういうやつ!」

 なんか昔話で色々神様が子供を生んですっげえいっぱいになるやつ!
 あれ、でも神様の死ってなんなんだ?
 昔話だからそのうち死ぬんだろうけど、だとしたら寺でまつられてるのは一体何なんだ?
 それは死といえるのか?

「コレだ」

 私の担当死神が見せてきたのはそのずっと持っている刀だった。

「これ?モノじゃん?」
「モノにも人が祀れば神は宿る。祀られなくなった時、神は死ぬ」
「そっかー死んじゃったんだーつらいね~、わたしと一緒だね~」

 私流慰め術その一、明るく同意をするようにして心を解きほぐす。うん、完璧。

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