第二の人生を奇妙な奴らと歩む
そめちゃんがべらべら語り続けてる間に、いつの間にか床の魔法陣は消え、男は再びフードを被ってしまった。
「......もう止めてくれ」
「すみませんうちの担任が」
「俺もやっぱり化粧水ぐらい買おうかなあ!?どう思う吉田?吉田ー?」
受付のおじさんが吹き出した。フードの男はそちらをきっと睨み、おじさんは慌てて咳払いをした。
「クソッ、外見で判断する奴はこの街にはいなかったのに......!!」
「もしかしてだからフード被ってたの?なんか勿体無いですね」
「勿体......ないだと?意味が分からない」
「だって、綺麗な人なんて皆好きじゃないですか。行き過ぎたルッキズムは良くないけど、男だって綺麗な男には憧れますよ」
フード男は震え出し、手に持っていた杖はからん、と音を立てて床に倒れた。
「えっ、よ、吉田!!あの人泣いてる」
「......この見た目で生まれた時から忌み嫌われていたのに......何でだよ、何でお前らなんかが......」
男はそのまま膝から崩れ落ち、床にぽたぽたと大粒の雫が落ちる。
「そめちゃん、あの見た目で何で忌み嫌われなきゃいけないの?」
「うーん、この世界の外見の価値観は、俺たちの世界とは少し違うのかも知れないな。とは言え、俺が子供の頃はやっぱり男が髪が長いなんて!とか言われたし、化粧してる男なんて気持ち悪いって扱いだったよ?」
「ふーん、堅っ苦しいの。俺現代っ子で良かったわ」
男がいきなり顔を上げた。びびった。
「お前たちの世界って何だ!?髪が長くても、肌が白くても何も言われない世界があると言うのか!??」
「「あ、はい」」
「教えろ!教えてくれ!!!俺はそこに行く!!」
「落ち着いてください、俺たち帰れなくて困ってるんですって」
「教わるまでお前たちから離れないぞ俺は!!!お前、名を教えろ!!」
「吉田あおいです、こっちは染井先生」
男は俺の手をがし、と強く握りしめる。その手もまた白くて綺麗な手だ。
「俺はアストランティア......ティアでいい」
「いや、どういう流れですかこれ。仲間に加わるみたいになってますけど」
「仲間か......悪くないな。異世界で生まれ変わり、第二の人生を奇妙な奴らと歩む......ふふ......」
「一人じゃない時に独り言でかい声で言わないでくださいよ、俺の目を見て」
「吉田!!チャンスだ、魔法教えてもらえるんじゃないか!?ランクAだそ、快挙だ!!!」
「魔法か......良いだろう、異世界転生を狙うなら安いものだ......ふふ」