うちは酒場なんだよ
おばさ......ルドさんに、無事に登録が終わったことを報告すると、おばさんは怪訝な顔をした。
「それは良かった...んだけど、その男だか女だか分かんない奴は誰だい」
「アストランティアです、おかみ。いつもご馳走様です」
「あ!?ティア!?ティアなのかい!いつも偉そうで独り言がバカでかくて、魔法の腕が出鱈目に強い......」
「ルドさんそのぐらいにしたげて、この人ちょっと震えちゃってるから」
ティアさんとやらは声がでかい人が苦手っぽい。すっかり萎縮してしまっている。
「ルドさん、俺たちこの人に魔法教わることにした」
「そりゃいいねえ!最高の師範じゃないか」
「おかみ、俺は異世界で生まれ変わる。その日までこいつらに世話になるから、ここで働かせてくれ」
「あんたもかい」
おばさんが迷惑そうに顔をしかめる。酒場『ルド』が一躍人気の職場になりつつあった。
その時、ノックもなく勢いよくドアが開いた。
「あんた、開店前だよ。帰っとくれ」
「かーちゃーーーん!!!全部返して、謝ってきた!!!なんか皆優しかったよ、かーちゃんのお陰かな!!」
「またあんたかい」
ピンクのモヒカンのチンピラだ。ここで働くのを諦めてなかったようだ。
「ここで!働かせて!くださァい!!!」
「何ッ、先客がいたのか!?おかみ、こいつより俺のが絶対役に立つ!働かせてください!」
「人は足りてんだよ、帰んな」
「「お願いします!!!」」
チンピラとキラキライケメンが揃ってお辞儀をする様を、俺とそめちゃんは呆気に取られて見ていた。この世界の人って変わってんなあ。
「俺は自慢じゃねえが腕は立つ!ゴブリンなんざ俺の一撃でイチコロよ!」
「俺はAランクの魔法使いだ!!ドラゴンだって倒してみせる!!」
「悪いけどうちは酒場なんだよ」
「......ルドさん、儲かれば雇ってもいい、よね......?」
「どういうことだいアオイ」
ティアさんには魔法を教わりたい。チンピラ(名前忘れた)には魔物の撃退方法を教わりたい。俺は考えた。
「客寄せ方法を思いついたんだ」