つぶらな瞳のチンピラ
異世界二日目の朝、おばさんに起こされて朝食の作り方を教わりながら、酒屋の開店準備だ。
「あんた手際いいねえ」
「吉田、タマゴってどうやって割るの...??握りしめればいい感じ?」
「ねえ嘘でしょそめちゃん」
「だって俺、実家出たことないもん......」
「そっちの小太り男は役に立たないねえ」
ふと、入り口のドアに人の気配を感じて顔を上げる。わずかな隙間から何者かが覗いていた。
「あんた、開店前だよ。帰っておくんな」
「......いや、そこの男に用があって......」
ドアから顔を出したのは昨日のチンピラだった。
そめちゃんは反射的に身をすくませた。
「俺、あんた達についていきてェ」
「俺たち行く先なんてないよ、金なくてここに住まわせてもらってんだもん」
「じゃあ俺も住む!」
「「帰れ」」
「ここで働かせてください!お願いしャす!!」
おばさんが訳が分からなくて混乱している。
「あんた、アオイ?一体何をやったんだい」
「ただ洗濯の注意点教えただけなんだけど...」
チンピラがす、と前に出てくる。
「なあ、どうしたらかーちゃんに褒めてもらえると思う?俺、何をしたらいい?」
「俺かーちゃんじゃねーし、......あんた、昨日みたいな追い剥ぎ繰り返してたんなら、まず盗んだモノ返してきたら」
チンピラが目を輝かせた。つぶらな瞳のチンピラはちょっと気味が悪い。
「そうだな!!!俺、返して謝ってくる」
「行ってらっしゃい」
(もう来んなよ)
ぼそっと呟いたそめちゃんに吹き出す。本音漏らすな。
「俺、アリッサムつーんだ!!!すぐ戻ってくっからここにいてよ!!かーちゃん!!」
「誰がかーちゃんだ」
「よよよ吉田!!すぐ引っ越そう!今がチャンスだ!!」
「金ないのに?どこへ?」
おばさんがやれやれ、とため息をつく。
「そうだね、ずっとここにいる訳にもいくまいね。金が貯まったら、まずギルドに行くんだ」
「ギルドキターーー!!!それで、俺たちは格付けの魔核が魔物の冒険者で」
「そめちゃん鼻息熱苦しい。ギルドに行って何をすればいいの、おばさん」
「あたしゃルド、って立派な名前があるんだよ。この酒場の名前でもある。ギルドに行ったら、名前を登録しておいで。あそこには仕事がたらふくある、規模も報酬も大小様々あるが、ま、食うには困らないだろ」
「単発バイトみたいなやつかな?吉田」
「だから何で俺に聞くのそめちゃん」
それで、大事なことをおば...ルドさんに聞かなければいけない。
「ルドさん、俺たち剣も魔法も使ったことないけど、練習すれば使えるようになるかな?」
ルドさんは小首を傾げ、答えた。
「逆に、練習して出来ないことなんてあるのかい?」
「そうだぞ吉田!努力して出来ないことなんてない!」
「そめちゃんこう言う時だけ教師ヅラしないで」