森本 凛

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2026年9月から活動中

はじめまして。ラノベ〜純文学まで幅広く執筆しております。 【受賞歴】 デジタルノベルコンテストVol.1 大賞 X-BEYOND原作募集コンテスト 大賞 Vlogドラマ賞 優秀賞 第2回1話だけ大賞野いちご会場 部門賞 執筆応援キャンペーン 佳作 超・妄想コンテスト 佳作×3 優秀作品×7 【最終候補】 第1回文コロ短編賞 怪奇宴投稿グランプリ短編部門 怪奇宴投稿グランプリ長編部門 第2回1話だけ大賞ノベマ会場 ryo (supercell)×MECRE賞

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文芸長編完結
世界を加速させる爆薬
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北陸の山間部、トンネル工事現場で働く発破技士・柊一成、三十五歳。十五年間、彼は毎朝四時半に起き、装薬し、結線し、発破する。〇・三秒の爆発だけが、彼にとって唯一の「現在」だった。それ以外の時間は、彼にとってすべて空白に過ぎない。同僚たちとの会話も、食事も、妻との結婚生活さえも、爆発の合間を埋める余白でしかなかった。 ある発破の日、装薬孔に紛れ込んだ動物の死骸の処理に手間取り、作業に遅れが生じる。急いだ結線の末、一本の雷管が不発となる。若手技士・田代とともに不発処理を終えた直後、田代は無断で切羽面に戻り、遅発した古い雷管と再点火された新しい雷管がほぼ同時に爆発、田代は右腕を失う。見舞いに訪れた病室で、田代は「爆発を近くで見たかった」「後悔していない」と語り、その目に一成自身と同じ渇望を見る。この出来事をきっかけに、一成の内側で眠っていた何かが目を覚ましてしまう。 以来、一成は装薬量を無断で増やし始める。一・五倍、二倍。切羽面に危険な亀裂が走り、会社から懲戒を受け、産業医のカウンセリングも拒み、ついに自ら退職する。折しも妻・聡子とは正式に離婚が成立し、彼を繋ぎ止めるものは何もなくなっていた。 次に流れ着いたのは、老朽化したダムの解体現場だった。そこで出会うのが、五十年のキャリアを持つベテラン発破技士・戸川。戸川もまた爆発に魅了された男であり、若い頃の事故で仲間三人を失った過去を語り、一成に「爆発に飲み込まれるな」と忠告する。だが一成は再び規則を破って装薬量を増やし、危うく死者を出しかけて解雇される。その直後、戸川は現場で心臓発作により急逝する。 人手不足から一成は再びダムに呼び戻され、ダム本体を完全に破壊する最終発破を任される。彼は密かに装薬量をさらに増やし、そして誰にも告げず、退避せずに爆心近くに留まるという自殺的な選択をする。目前で炸裂する一・六五トンの爆薬。爆発の中に「入りたい」という長年の渇望が、ついに現実のものとなる。 奇跡的に一成は生き延びるが、聴力を完全に失い、発破技士の免許も永久に剥奪される。すべてを失った彼は、二十年間帰らなかった故郷へと向かう。そこには、石工だった亡き父の朽ちた作業場が残されていた。ハンマーと楔で石を割る、爆発とは正反対の、時間のかかる緩やかな労働。父がかつて何を石に見出していたのか、その輪郭に触れながら、一成は少しずつ自分の内側と向き合っていく。父を知る民宿の老婆の言葉を通じて、寡黙だった父の人柄と、生前語っていた「石は生きている」という言葉を知る。 だが、時間をかけて石と向き合う経験を経てもなお、一成は瞬間の破壊への渇望を手放すことができない。父の道具を故郷の作業場に置いたまま、彼は海を渡ることを選ぶ。目指すのは東南アジアの鉱山――そこにもまた、彼を待つ爆発がある。音の届かない世界で、それでも彼はなお光を、轟音を、世界が変容する瞬間を探し続ける。
文芸長編完結
天窓の魚
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亡き正一が遺した一冊の古いノート。そこには、天を仰ぐような独特の目を持つ珍しい金魚「頂天眼」の繁殖と飼育に関する、緻密で深い記録が記されていた。正一の息子である「ムラさん」からそのノートと想いを受け継いだ隼人は、そこに記された金魚に「マブイ」と名付け、自らの手で育て上げることを決意する。 ​しかし、特殊な生態を持つ頂天眼の飼育は一筋縄ではいかない。手探りの試行錯誤に頭を悩ませる隼人を支えたのは、クラスメイトの美咲だった。二人は放課後の時間を使い、水質管理やエサやり、日々の微細な観察を重ねていく。そして正一の息子であるムラさんもまた、父が遺した知恵をそっと教えながら、どこまでも温かい眼差しで隼人たちの挑戦を優しく見守り、導いていくのだった。マブイを育てる日々は、隼人と美咲、そしてムラさんの心をゆったりと繋いでいく。 ​そして迎えた、観賞魚品評会・地方予選の当日。早朝の澄んだ空気の中、隼人は大切にマブイを抱えて会場の市民公民館へと向かう。各地から熱心な愛好家が集まり、豪華絢爛な金魚たちが並ぶ会場で、天を仰ぐ異彩の金魚・マブイは静かにひれを揺らす。美咲の手際よいサポートを受け、無事に展示水槽へとマブイを移し替えた隼人は、胸に込み上げる深い感慨を覚えていた。 ​正一がノートに託した情熱、それを優しく繋いでくれたムラさん、そして美咲と積み重ねてきた愛おしい放課後の時間。そのすべてを小さな水槽に満たし、隼人と美咲はいよいよ審査と研究発表の晴れ舞台へと臨む——。
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はじめまして。ラノベ〜純文学まで幅広く執筆しております。 【受賞歴】 デジタルノベルコンテストVol.1 大賞 X-BEYOND原作募集コンテスト 大賞 Vlogドラマ賞 優秀賞 第2回1話だけ大賞野いちご会場 部門賞 執筆応援キャンペーン 佳作 超・妄想コンテスト 佳作×3 優秀作品×7 【最終候補】 第1回文コロ短編賞 怪奇宴投稿グランプリ短編部門 怪奇宴投稿グランプリ長編部門 第2回1話だけ大賞ノベマ会場 ryo (supercell)×MECRE賞

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北陸の山間部、トンネル工事現場で働く発破技士・柊一成、三十五歳。十五年間、彼は毎朝四時半に起き、装薬し、結線し、発破する。〇・三秒の爆発だけが、彼にとって唯一の「現在」だった。それ以外の時間は、彼にとってすべて空白に過ぎない。同僚たちとの会話も、食事も、妻との結婚生活さえも、爆発の合間を埋める余白でしかなかった。 ある発破の日、装薬孔に紛れ込んだ動物の死骸の処理に手間取り、作業に遅れが生じる。急いだ結線の末、一本の雷管が不発となる。若手技士・田代とともに不発処理を終えた直後、田代は無断で切羽面に戻り、遅発した古い雷管と再点火された新しい雷管がほぼ同時に爆発、田代は右腕を失う。見舞いに訪れた病室で、田代は「爆発を近くで見たかった」「後悔していない」と語り、その目に一成自身と同じ渇望を見る。この出来事をきっかけに、一成の内側で眠っていた何かが目を覚ましてしまう。 以来、一成は装薬量を無断で増やし始める。一・五倍、二倍。切羽面に危険な亀裂が走り、会社から懲戒を受け、産業医のカウンセリングも拒み、ついに自ら退職する。折しも妻・聡子とは正式に離婚が成立し、彼を繋ぎ止めるものは何もなくなっていた。 次に流れ着いたのは、老朽化したダムの解体現場だった。そこで出会うのが、五十年のキャリアを持つベテラン発破技士・戸川。戸川もまた爆発に魅了された男であり、若い頃の事故で仲間三人を失った過去を語り、一成に「爆発に飲み込まれるな」と忠告する。だが一成は再び規則を破って装薬量を増やし、危うく死者を出しかけて解雇される。その直後、戸川は現場で心臓発作により急逝する。 人手不足から一成は再びダムに呼び戻され、ダム本体を完全に破壊する最終発破を任される。彼は密かに装薬量をさらに増やし、そして誰にも告げず、退避せずに爆心近くに留まるという自殺的な選択をする。目前で炸裂する一・六五トンの爆薬。爆発の中に「入りたい」という長年の渇望が、ついに現実のものとなる。 奇跡的に一成は生き延びるが、聴力を完全に失い、発破技士の免許も永久に剥奪される。すべてを失った彼は、二十年間帰らなかった故郷へと向かう。そこには、石工だった亡き父の朽ちた作業場が残されていた。ハンマーと楔で石を割る、爆発とは正反対の、時間のかかる緩やかな労働。父がかつて何を石に見出していたのか、その輪郭に触れながら、一成は少しずつ自分の内側と向き合っていく。父を知る民宿の老婆の言葉を通じて、寡黙だった父の人柄と、生前語っていた「石は生きている」という言葉を知る。 だが、時間をかけて石と向き合う経験を経てもなお、一成は瞬間の破壊への渇望を手放すことができない。父の道具を故郷の作業場に置いたまま、彼は海を渡ることを選ぶ。目指すのは東南アジアの鉱山――そこにもまた、彼を待つ爆発がある。音の届かない世界で、それでも彼はなお光を、轟音を、世界が変容する瞬間を探し続ける。
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亡き正一が遺した一冊の古いノート。そこには、天を仰ぐような独特の目を持つ珍しい金魚「頂天眼」の繁殖と飼育に関する、緻密で深い記録が記されていた。正一の息子である「ムラさん」からそのノートと想いを受け継いだ隼人は、そこに記された金魚に「マブイ」と名付け、自らの手で育て上げることを決意する。 ​しかし、特殊な生態を持つ頂天眼の飼育は一筋縄ではいかない。手探りの試行錯誤に頭を悩ませる隼人を支えたのは、クラスメイトの美咲だった。二人は放課後の時間を使い、水質管理やエサやり、日々の微細な観察を重ねていく。そして正一の息子であるムラさんもまた、父が遺した知恵をそっと教えながら、どこまでも温かい眼差しで隼人たちの挑戦を優しく見守り、導いていくのだった。マブイを育てる日々は、隼人と美咲、そしてムラさんの心をゆったりと繋いでいく。 ​そして迎えた、観賞魚品評会・地方予選の当日。早朝の澄んだ空気の中、隼人は大切にマブイを抱えて会場の市民公民館へと向かう。各地から熱心な愛好家が集まり、豪華絢爛な金魚たちが並ぶ会場で、天を仰ぐ異彩の金魚・マブイは静かにひれを揺らす。美咲の手際よいサポートを受け、無事に展示水槽へとマブイを移し替えた隼人は、胸に込み上げる深い感慨を覚えていた。 ​正一がノートに託した情熱、それを優しく繋いでくれたムラさん、そして美咲と積み重ねてきた愛おしい放課後の時間。そのすべてを小さな水槽に満たし、隼人と美咲はいよいよ審査と研究発表の晴れ舞台へと臨む——。
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