ホーム›絆光のステラ――抱きしめた温もりは、私たちがここにいた証だから。›第4話 新しい出会い――防衛管制室の囁き
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第4話 新しい出会い――防衛管制室の囁き

 講堂には整然と新入生たちが集まり、中断していた入学式が再び執り行われた。

「――諸君の入学を歓迎する。本日君たちが目撃した通り、ここは単なる学びの場ではない。国と人々の安寧を守る最前線だ」

 壇上に立つ女性教官の重厚な声が講堂に響き渡る。
 国費管理のステラ養成校という厳格な空気。
 つい先ほどまで死の恐怖に震えていた生徒たちも、背筋をピシッと伸ばし、真剣な眼差しで教官の言葉に耳を傾けていた。

――式典が無事に終了すると、新入生たちはそれぞれの学科の教室へと移動した。
 さくらたちが向かったのは、中庭を抜けた先に佇む三階建ての校舎。
 高等部一年生の教室は、最上階である三階にあった。
 窓からは美しく青く輝く市街地と瀬戸内の海が一望でき、自然と胸が躍る。
「わあ......すごい景色......!」
 教壇に立つ教官から今後の学校生活についての説明が淡々と進められたが、ホームルームが終わるや否や、教室の空気は一気に弛緩した。
「さっきのスクラップ凄かったね!」
「あの先輩たち格好よかった!」
 周りの生徒たちがガヤガヤと興奮冷めやらぬ様子で席を立っていく中、さくらはサッチェルバッグに荷物を収め、背中に背負った。
 そして、前の席に座る少女の背中へ、そっと歩み寄る。
「......えっと、そらさん、だっけ?」
 さくらは声をかけると、彼女はビクッと肩を揺らし、こちらを振り向いた。
 水色のエアリーミディに留められた、お気に入りのネイビーの大きなバレッタが揺れる。
 彼女はこくりと頷いた。
「う、うん......澄水川すみかわそら......」
「私は桃葉もものはさくら。そらちゃん、さっきは助けてくれてありがとう!」
 さくらがにっこりと笑ってストレートに感謝を伝えると、そらは小さく肩をすくめた。
「う、ううん......私、ただ、さくらちゃんが逃げ遅れてるのが見えて......身体が動いちゃって......」
「身体が、勝手に......?」
「あ、朝の校門前で目が合った子が、さくらちゃんだって気づいて......私は逃げちゃダメだ、って思ったの。あ、あの時は、その、体が勝手に動いちゃって......普段の私は、全然あんなのじゃなくて......」
 そらはサッチェルバッグをきゅっと抱きしめ、視線を泳がせながら消え入りそうな声で呟く。
 普通なら突然話しかけて戸惑っているのかな、と不安になるところだった。
 けれどさくらにはなぜか、彼女の胸の奥にある『気恥ずかしさと、私を助けられて嬉しいというピュアな喜び』が、まるで自分のことのように手取るように分かってしまった。
――ピコン。
 一生懸命に応えているところで、そらのスマホ鳴った。
 画面を覗き込んだそらは、「あ......」と小さく声を漏らし、さくらを上目遣いで見つめてくる。
「ねえ、さくらちゃん......もしよかったら、今から一緒にカフェテリアに行かない? さっきの、銃器科の二人が待ってて......」
「うん、良いよ! あの人たちにもお礼を言わなくっちゃ!」
 さくらは声を弾ませると、そらはほっとしたように立ち上がり、二人でカフェテリアへと向かった。

 カフェテリアへ続く渡り廊下。
 さくらとそらは並んで歩きながら、さくらは周囲の景色を見渡した。
「この学校、国立なのにおしゃれな建物だし、制服もすっごく可愛いよね」
「うん。ここ、昔は私立のお嬢様学校だったんだって。建物とか魔法科の制服は、その時のままステラ養成校に引き継がれたの」
「へぇー、そうなんだぁ。お嬢様学校を国営化するとか、ちょっと考えちゃうね」
 そんなたわいもない会話を交わしながら、さくらはそらの控えめで優しい性格を少しずつ理解始めていた。

 中二階メザニンのある、広々として開放感あふれるカフェテリア。
 ここには無人の購買部やウォーターサーバー、ティーパックも常備されており、生徒同士の憩いの談話スペースとなっている。
「おーい、こっちこっちー!」
 二人に気づいた紅葉が、メザニンの柵から身を乗り出して大きく手を振っていた。
 階段を上ると、四人用のソファ席に、先ほどの銃器科の生徒――瑠璃るりと紅葉もみじが腰を並べて座っていた。
 さくらはそわそわしながら、そらに促されるままテーブルを挟んで向かいのソファに腰を下ろした。
 自己紹介を手短に済ませ、さくらは居住まいを正して頭を下げた。
「あの......さっきは本当に、ありがとうございました!」
 すると、瑠璃はふふっと上品に微笑みながら口を開いた。
「そんなにかしこまらなくていいのよ? もしかして上級生だと思ってた? 私たち、さくらさんと同じ高等部一年生なのよ。そらと同じ、中等部からの内部進学組なの」
「......そ、そっかぁ。三人とも、私と同じ一年生だったんだね......」
 さくらは驚きつつも、ふと胸の奥に冷たい風が吹くのを感じた。
 改めて正面から向き合うと、戦闘中には気づかなかった彼女たちの等身大の姿が目に入る。

 魔法科の制服とは違う、紺色のブレザーに灰色のプリーツスカート、そして胸元には赤地に細い白と金の斜めのストライプ柄のスクールネクタイ。
 瑠璃はその名の通り、瑠璃色に切れ長の瞳を持ち、上品に小首を傾げた拍子に、灰色のプリーツスカートから黒いサイハイソックスに包まれた白い太もも――いわゆる『絶対領域』が眩しく覗く。
「あはは、そんなにジロジロ見られると照れるじゃん」
 ボーイッシュに笑いながら、ワインレッドの瞳を輝かせる紅葉。
 長い足を組み替える彼女は、陸上部出身らしく引き締まった健康美を放っていた。

(みんな、さっきからスマホを頻繁に触ってるな......やっぱり内部生同士のグループメッセージとかがあって、外部生の私とはまだ壁があるのかな......)
 同じ一年生だと分かっても、すでに完成された絆を持つ三人を前に、無意識の壁を感じていた。
 倍率二十倍の試験を突破したとはいえ、自分はこの学校で本当にやっていけるのだろうか。
 しかし、さくらが俯きかけたそのとき、三人はさくらの目の前でこっそりと「歓迎サプライズをどのタイミングで仕掛けるか」、作戦会議のメッセージを送り合っていたのだ。
(準備はいいかしら?)
 瑠璃が目配せすると、 三人はすっと立ち上がり、さくらの前に横一列に並んだ。
「せーのっ!」
 息を合わせ、三人の声が重なる。

「入学おめでとう、さくらちゃん! そしてようこそ、翠嶺漣女学院すいれいさざなみじょがくいんへ!」

 さくらは突然のことに、きょとんとした表情のまま完全にフリーズした。
「え、えっ、えぇっ......?」
 瑠璃は包み込むような笑顔で告げる。
「入学初日にこんな素敵な出会いがあったんだもの。外部生とか気にしてたんでしょう? そんなの関係ないわ。さくらさんはもう、私たちと同じ『ステラ』なのだから」
 紅葉とそらも、身を乗り出して言葉を続ける。
「そうそう、そんな堅っ苦しいことなんて無しにしてさっ!」
「さくらちゃん......その、今日から仲良くしようね......」
 さくらの胸の奥で張り詰めていた不安の糸が、プツンと切れた。
 様々な感情が一気にあふれ出し、視界がじんわりと滲む。
「みんな......ありがとう......っ!」
 感極まるさくらを見て、紅葉が待ってましたと言わんばかりに音頭をとる。
「ほらほら、泣かないの! ささ、今日はお祝いパーティだよ!」
 そう言うや否や、紅葉は無人購買部へ猛ダッシュした。
 そらはサッチェルバッグからいちご大福を取り出して緑茶を淹れ始め、瑠璃はみんなの好みを察して選んでいたクッキーの詰め合わせを綺麗に取り分け、紅茶を淹れる。
「これ、みんなでシェアしましょう? さくらさんも遠慮せずに、ね?」
「ひゃっほー! これこれ! 期間限定の濃厚ストロベリーカップアイス! 残ってて良かったぁ」
 紅葉は光の速さで戻ってきて、テーブルの上はあっという間にお菓子でいっぱいになった。
 さくらの目の前にあった見えない壁は、いつの間にか完全に解け落ちていた。
「うん......みんな、ありがとう! いただきます!」
 入学初日、絶望の淵から救われ、こんな素敵な出会いに恵まれた。

(私、この学校に入れて、本当に幸せ......)

 憧れを現実のものにしたさくらは、期待と温かな絆を胸に、ステラとしての学校生活を力強く歩みだしたのだった。

――同じ頃、防衛管制室では元ステラである司令の女性が、モニターに映し出された二つのデータを深刻な顔で見比べていた。
 一つは、今日入学したばかりの『桃葉さくら』のルミナス波形データ。
 もう一つは『ある人物』の極秘データ。
「......信じられん。見間違いではないな?」
 傍らに立つオペレーターの女性が、息を呑んで囁くように答えた。
「はい。彼女のルミナスの波形、長年空位だったあの伝説の称号『ステラ・ノヴァ』の見込みがあった彼女と、ほぼ完全に一致しています。もしかして桃葉さくらは......」
 さくらの持つルミナス、そして『ステラ・ノヴァ』の称号、過去のある人物とは一体――
 少女たちの過酷な運命の歯車は、静かに回り始めていた。

【第一章 完】
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第3話 風と銃声の三重奏(テツェット)――届かない背中
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絆光のステラ――抱きしめた温もりは、私たちがここにいた証だから。作者:中原はじめ
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第4話 新しい出会い――防衛管制室の囁き

 講堂には整然と新入生たちが集まり、中断していた入学式が再び執り行われた。

「――諸君の入学を歓迎する。本日君たちが目撃した通り、ここは単なる学びの場ではない。国と人々の安寧を守る最前線だ」

 壇上に立つ女性教官の重厚な声が講堂に響き渡る。
 国費管理のステラ養成校という厳格な空気。
 つい先ほどまで死の恐怖に震えていた生徒たちも、背筋をピシッと伸ばし、真剣な眼差しで教官の言葉に耳を傾けていた。

――式典が無事に終了すると、新入生たちはそれぞれの学科の教室へと移動した。
 さくらたちが向かったのは、中庭を抜けた先に佇む三階建ての校舎。
 高等部一年生の教室は、最上階である三階にあった。
 窓からは美しく青く輝く市街地と瀬戸内の海が一望でき、自然と胸が躍る。
「わあ......すごい景色......!」
 教壇に立つ教官から今後の学校生活についての説明が淡々と進められたが、ホームルームが終わるや否や、教室の空気は一気に弛緩した。
「さっきのスクラップ凄かったね!」
「あの先輩たち格好よかった!」
 周りの生徒たちがガヤガヤと興奮冷めやらぬ様子で席を立っていく中、さくらはサッチェルバッグに荷物を収め、背中に背負った。
 そして、前の席に座る少女の背中へ、そっと歩み寄る。
「......えっと、そらさん、だっけ?」
 さくらは声をかけると、彼女はビクッと肩を揺らし、こちらを振り向いた。
 水色のエアリーミディに留められた、お気に入りのネイビーの大きなバレッタが揺れる。
 彼女はこくりと頷いた。
「う、うん......澄水川すみかわそら......」
「私は桃葉もものはさくら。そらちゃん、さっきは助けてくれてありがとう!」
 さくらがにっこりと笑ってストレートに感謝を伝えると、そらは小さく肩をすくめた。
「う、ううん......私、ただ、さくらちゃんが逃げ遅れてるのが見えて......身体が動いちゃって......」
「身体が、勝手に......?」
「あ、朝の校門前で目が合った子が、さくらちゃんだって気づいて......私は逃げちゃダメだ、って思ったの。あ、あの時は、その、体が勝手に動いちゃって......普段の私は、全然あんなのじゃなくて......」
 そらはサッチェルバッグをきゅっと抱きしめ、視線を泳がせながら消え入りそうな声で呟く。
 普通なら突然話しかけて戸惑っているのかな、と不安になるところだった。
 けれどさくらにはなぜか、彼女の胸の奥にある『気恥ずかしさと、私を助けられて嬉しいというピュアな喜び』が、まるで自分のことのように手取るように分かってしまった。
――ピコン。
 一生懸命に応えているところで、そらのスマホ鳴った。
 画面を覗き込んだそらは、「あ......」と小さく声を漏らし、さくらを上目遣いで見つめてくる。
「ねえ、さくらちゃん......もしよかったら、今から一緒にカフェテリアに行かない? さっきの、銃器科の二人が待ってて......」
「うん、良いよ! あの人たちにもお礼を言わなくっちゃ!」
 さくらは声を弾ませると、そらはほっとしたように立ち上がり、二人でカフェテリアへと向かった。

 カフェテリアへ続く渡り廊下。
 さくらとそらは並んで歩きながら、さくらは周囲の景色を見渡した。
「この学校、国立なのにおしゃれな建物だし、制服もすっごく可愛いよね」
「うん。ここ、昔は私立のお嬢様学校だったんだって。建物とか魔法科の制服は、その時のままステラ養成校に引き継がれたの」
「へぇー、そうなんだぁ。お嬢様学校を国営化するとか、ちょっと考えちゃうね」
 そんなたわいもない会話を交わしながら、さくらはそらの控えめで優しい性格を少しずつ理解始めていた。

 中二階メザニンのある、広々として開放感あふれるカフェテリア。
 ここには無人の購買部やウォーターサーバー、ティーパックも常備されており、生徒同士の憩いの談話スペースとなっている。
「おーい、こっちこっちー!」
 二人に気づいた紅葉が、メザニンの柵から身を乗り出して大きく手を振っていた。
 階段を上ると、四人用のソファ席に、先ほどの銃器科の生徒――瑠璃るりと紅葉もみじが腰を並べて座っていた。
 さくらはそわそわしながら、そらに促されるままテーブルを挟んで向かいのソファに腰を下ろした。
 自己紹介を手短に済ませ、さくらは居住まいを正して頭を下げた。
「あの......さっきは本当に、ありがとうございました!」
 すると、瑠璃はふふっと上品に微笑みながら口を開いた。
「そんなにかしこまらなくていいのよ? もしかして上級生だと思ってた? 私たち、さくらさんと同じ高等部一年生なのよ。そらと同じ、中等部からの内部進学組なの」
「......そ、そっかぁ。三人とも、私と同じ一年生だったんだね......」
 さくらは驚きつつも、ふと胸の奥に冷たい風が吹くのを感じた。
 改めて正面から向き合うと、戦闘中には気づかなかった彼女たちの等身大の姿が目に入る。

 魔法科の制服とは違う、紺色のブレザーに灰色のプリーツスカート、そして胸元には赤地に細い白と金の斜めのストライプ柄のスクールネクタイ。
 瑠璃はその名の通り、瑠璃色に切れ長の瞳を持ち、上品に小首を傾げた拍子に、灰色のプリーツスカートから黒いサイハイソックスに包まれた白い太もも――いわゆる『絶対領域』が眩しく覗く。
「あはは、そんなにジロジロ見られると照れるじゃん」
 ボーイッシュに笑いながら、ワインレッドの瞳を輝かせる紅葉。
 長い足を組み替える彼女は、陸上部出身らしく引き締まった健康美を放っていた。

(みんな、さっきからスマホを頻繁に触ってるな......やっぱり内部生同士のグループメッセージとかがあって、外部生の私とはまだ壁があるのかな......)
 同じ一年生だと分かっても、すでに完成された絆を持つ三人を前に、無意識の壁を感じていた。
 倍率二十倍の試験を突破したとはいえ、自分はこの学校で本当にやっていけるのだろうか。
 しかし、さくらが俯きかけたそのとき、三人はさくらの目の前でこっそりと「歓迎サプライズをどのタイミングで仕掛けるか」、作戦会議のメッセージを送り合っていたのだ。
(準備はいいかしら?)
 瑠璃が目配せすると、 三人はすっと立ち上がり、さくらの前に横一列に並んだ。
「せーのっ!」
 息を合わせ、三人の声が重なる。

「入学おめでとう、さくらちゃん! そしてようこそ、翠嶺漣女学院すいれいさざなみじょがくいんへ!」

 さくらは突然のことに、きょとんとした表情のまま完全にフリーズした。
「え、えっ、えぇっ......?」
 瑠璃は包み込むような笑顔で告げる。
「入学初日にこんな素敵な出会いがあったんだもの。外部生とか気にしてたんでしょう? そんなの関係ないわ。さくらさんはもう、私たちと同じ『ステラ』なのだから」
 紅葉とそらも、身を乗り出して言葉を続ける。
「そうそう、そんな堅っ苦しいことなんて無しにしてさっ!」
「さくらちゃん......その、今日から仲良くしようね......」
 さくらの胸の奥で張り詰めていた不安の糸が、プツンと切れた。
 様々な感情が一気にあふれ出し、視界がじんわりと滲む。
「みんな......ありがとう......っ!」
 感極まるさくらを見て、紅葉が待ってましたと言わんばかりに音頭をとる。
「ほらほら、泣かないの! ささ、今日はお祝いパーティだよ!」
 そう言うや否や、紅葉は無人購買部へ猛ダッシュした。
 そらはサッチェルバッグからいちご大福を取り出して緑茶を淹れ始め、瑠璃はみんなの好みを察して選んでいたクッキーの詰め合わせを綺麗に取り分け、紅茶を淹れる。
「これ、みんなでシェアしましょう? さくらさんも遠慮せずに、ね?」
「ひゃっほー! これこれ! 期間限定の濃厚ストロベリーカップアイス! 残ってて良かったぁ」
 紅葉は光の速さで戻ってきて、テーブルの上はあっという間にお菓子でいっぱいになった。
 さくらの目の前にあった見えない壁は、いつの間にか完全に解け落ちていた。
「うん......みんな、ありがとう! いただきます!」
 入学初日、絶望の淵から救われ、こんな素敵な出会いに恵まれた。

(私、この学校に入れて、本当に幸せ......)

 憧れを現実のものにしたさくらは、期待と温かな絆を胸に、ステラとしての学校生活を力強く歩みだしたのだった。

――同じ頃、防衛管制室では元ステラである司令の女性が、モニターに映し出された二つのデータを深刻な顔で見比べていた。
 一つは、今日入学したばかりの『桃葉さくら』のルミナス波形データ。
 もう一つは『ある人物』の極秘データ。
「......信じられん。見間違いではないな?」
 傍らに立つオペレーターの女性が、息を呑んで囁くように答えた。
「はい。彼女のルミナスの波形、長年空位だったあの伝説の称号『ステラ・ノヴァ』の見込みがあった彼女と、ほぼ完全に一致しています。もしかして桃葉さくらは......」
 さくらの持つルミナス、そして『ステラ・ノヴァ』の称号、過去のある人物とは一体――
 少女たちの過酷な運命の歯車は、静かに回り始めていた。

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