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⑮ 妹たち

「ボクの妹」 一年十組 十番 真田雪村

 ボクには妹が二人居ます。一人は小学四年生の香子。もう一人は小学一年生の由理子です。

 香子は読書好きで思慮深く、時々難しい理屈を言うので、よくボクとケンカになります。
 
 多分、同じ理由で父とも母ともよくケンカしてます。

 でもそれは、早くから自立心を持っている証拠なのかもしれません。

 由理子はいつも朗らかでマイペースです。だから誰ともケンカしません

「他の人と話を合わせるのが上手いなあ」といつも思います。

 二人を比べると、香子が損をしているような気がしてなりません。

 でも、ボクは兄として、彼女に良いアドバイスをしてあげられる自信がありません。
 
 彼女以上の理屈を、考える力を持っていないからです。

 でも、先生、人生は理屈だけでは、解らないものですよね?

 ボクは時々、理屈では理解できない体験をしてきたので、そう思うようになりました。

 今度、香子にもそう言ってやろうと思います。

「もっと頭を柔らかくして、素直な気持ちで、色々な経験を楽しんだらいいよ」ってね。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ねえ、お兄ちゃん」
 ボクが、中学一年生になったある日、ふいに妹のカコが、ボクの部屋のドアを開けて、声をかけてきた。
「ノックをしろよ」とボク。

「時々お兄ちゃんに逢いに来る、あのお姉さんは誰?」
 どうやら、見られていたようだ。
「ああ、同級生のお友だちだよ」とボク。
「でもあの人、お兄ちゃんの学校と違う制服だよね?」
 なかなか鋭い着眼点だ。

「そうかなあ」
 なんとか誤魔化せないものか。
「それに、いつも、コソコソと内緒話ししているし......なんかアヤシイ」

「......実はボクの彼女なんだよ」
 もうこうなったら、コレでしのごう。
「彼女は、村田さんでしょ」
「違うよ」
「違うの?」
「......ええっと、うーん......」

「ねえ、誰なの?名前は?」
「誰だっていいだろ。お友だちだよ。カコには関係ない」

「ワタシも気になるなあ」
 カコの後ろから、小さなユッコも現れた。
 二人のコンビプレイは珍しい。それだけに、ボクは、かつて無い窮地に立たされていると言っていい。

「そのうち、ちゃんと紹介するから。だから今は、そっとしておいてくれないかな?頼むよ」
 ボクは、白旗を上げることにした。

「そのうちっていつ?」とユッコ。
「まあ、近いうちに」
「絶対だよ。約束する?」とカコ。
「ああ、必ず」

「もしも約束を破ったら、村田さんに、言いつけてやるからね」とカコ。
 コイツはホントに、ボクの弱点をよく解っているな。

「とにかく、勉強の邪魔だから、出てってくれ。母さんに言うぞ」
 ボクがそう言うと、二人はドアを閉めて渋々去って行った。

「そろそろ自己紹介しなきゃだね?」
 背後で雪子さんが囁いた。
「!?」
 ボクは、声が出そうになるのを、必死に飲み込んだ。

「安心して。さりげなく上手にやっておくから」
「......お任せします。ボクは自信が無い。特にカコは手強いんだ」
「任せて」と雪子さん。

「それより、勉強の方は順調に進んでる?」
「まるで自己暗示にかかったように、すこぶる順調......いや、ひょっとして、雪子さんがボクに暗示をかけたのかな?」

「私は幼いキミに、約束をさせただけよ。真面目なキミは、それを忠実に、守っているだけでしょ」
「......確かに」

「それに、このまま色々な勉強を続けて、知識を深めれば、近いうちに、私が何者か理解できるようになるわ」
「うん。それは知りたい」

「じゃあ、引き続き、中間テストの勉強、がんばって。」
「ありがとう」
 ボクがそう言うと、雪子さんはいつものように、煙のごとく消えてしまったのだった。
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晴れときどき悪意ところにより超能力者(セーラー服と雪女 第一部 ①)作者:サナダムシオ
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「ボクの妹」 一年十組 十番 真田雪村

 ボクには妹が二人居ます。一人は小学四年生の香子。もう一人は小学一年生の由理子です。

 香子は読書好きで思慮深く、時々難しい理屈を言うので、よくボクとケンカになります。
 
 多分、同じ理由で父とも母ともよくケンカしてます。

 でもそれは、早くから自立心を持っている証拠なのかもしれません。

 由理子はいつも朗らかでマイペースです。だから誰ともケンカしません

「他の人と話を合わせるのが上手いなあ」といつも思います。

 二人を比べると、香子が損をしているような気がしてなりません。

 でも、ボクは兄として、彼女に良いアドバイスをしてあげられる自信がありません。
 
 彼女以上の理屈を、考える力を持っていないからです。

 でも、先生、人生は理屈だけでは、解らないものですよね?

 ボクは時々、理屈では理解できない体験をしてきたので、そう思うようになりました。

 今度、香子にもそう言ってやろうと思います。

「もっと頭を柔らかくして、素直な気持ちで、色々な経験を楽しんだらいいよ」ってね。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ねえ、お兄ちゃん」
 ボクが、中学一年生になったある日、ふいに妹のカコが、ボクの部屋のドアを開けて、声をかけてきた。
「ノックをしろよ」とボク。

「時々お兄ちゃんに逢いに来る、あのお姉さんは誰?」
 どうやら、見られていたようだ。
「ああ、同級生のお友だちだよ」とボク。
「でもあの人、お兄ちゃんの学校と違う制服だよね?」
 なかなか鋭い着眼点だ。

「そうかなあ」
 なんとか誤魔化せないものか。
「それに、いつも、コソコソと内緒話ししているし......なんかアヤシイ」

「......実はボクの彼女なんだよ」
 もうこうなったら、コレでしのごう。
「彼女は、村田さんでしょ」
「違うよ」
「違うの?」
「......ええっと、うーん......」

「ねえ、誰なの?名前は?」
「誰だっていいだろ。お友だちだよ。カコには関係ない」

「ワタシも気になるなあ」
 カコの後ろから、小さなユッコも現れた。
 二人のコンビプレイは珍しい。それだけに、ボクは、かつて無い窮地に立たされていると言っていい。

「そのうち、ちゃんと紹介するから。だから今は、そっとしておいてくれないかな?頼むよ」
 ボクは、白旗を上げることにした。

「そのうちっていつ?」とユッコ。
「まあ、近いうちに」
「絶対だよ。約束する?」とカコ。
「ああ、必ず」

「もしも約束を破ったら、村田さんに、言いつけてやるからね」とカコ。
 コイツはホントに、ボクの弱点をよく解っているな。

「とにかく、勉強の邪魔だから、出てってくれ。母さんに言うぞ」
 ボクがそう言うと、二人はドアを閉めて渋々去って行った。

「そろそろ自己紹介しなきゃだね?」
 背後で雪子さんが囁いた。
「!?」
 ボクは、声が出そうになるのを、必死に飲み込んだ。

「安心して。さりげなく上手にやっておくから」
「......お任せします。ボクは自信が無い。特にカコは手強いんだ」
「任せて」と雪子さん。

「それより、勉強の方は順調に進んでる?」
「まるで自己暗示にかかったように、すこぶる順調......いや、ひょっとして、雪子さんがボクに暗示をかけたのかな?」

「私は幼いキミに、約束をさせただけよ。真面目なキミは、それを忠実に、守っているだけでしょ」
「......確かに」

「それに、このまま色々な勉強を続けて、知識を深めれば、近いうちに、私が何者か理解できるようになるわ」
「うん。それは知りたい」

「じゃあ、引き続き、中間テストの勉強、がんばって。」
「ありがとう」
 ボクがそう言うと、雪子さんはいつものように、煙のごとく消えてしまったのだった。
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晴れときどき悪意ところにより超能力者(セーラー服と雪女 第一部 ①)作者:サナダムシオ
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