ep.378 誇大の火種と、鮮やかなる夜逃げ(ロケハン)
虚飾と誇張で塗り固められたエトスフェリアの狂騒は、物理的な引火と経済的な搾取の極地へ。そして、嵐を呼ぶ一行は、嵐が去る前に姿を消します。
「にゃうにゃあ! 熱いのです! 街全体が、私たちが作り出した『誇り』の熱量で燃え上がっているのですー!!」
パレードの熱気は限界を超えた。空中に撒かれた高濃度の「しっぽの泥」が、興奮した市民の放つ静電気(または猫二への怒りの熱)に反応し、街のあちこちで青白いアルコールの炎が上がり始めた。だが、咲姫はそれを「聖なるかがり火」と呼び、カメラを回し続ける。
「あはは、最高潮だねぇ~。みんな、この歴史的瞬間の味を忘れないように、今すぐ『誇大記念酒・エトス・フレア』を買いなよぉ~。記念価格で、定価の2.1倍だよぉ~!」 うさちぁんが、なぜか記念価格なのに釣り上げられた謎の値段設定でボトルを投げ売りする。混乱と興奮の極致にある市民たちは、思考停止状態でそのボトルを奪い合い、さらに街の火力を強めていった。
「...さらっと。撮影データ、および売上金の回収を完了しました。治安維持部隊の到着まで残り180秒。...咲姫監督、潮時です」 アリシアの冷徹なカウントダウンが響く。
「にゃうにゃあ! エトスフェリアの『誇り』は撮りきったのです! 次なる『全盛』の画は、ここにはないのです! 全員、撤収――!!」
咲姫の号令一閃。 神輿から飛び降りた超新人、名刺を撒き散らしていた猫二総務部長、ネギ玉串で暴徒をいなしていた騎士神主、そして酒樽を抱えた雷電とハヤテ。 一行は、炎上する街と熱狂する群衆を置き去りにし、うさちぁんが用意した裏ルートの超高速輸送船へと、煙のように吸い込まれていった。
数分後。 サイレンを鳴らし、重武装の治安維持部隊がパレード会場へ突入した。しかし、そこにあったのは、目が赤くなった市民たちと、空に浮かぶ「英雄(の残像)」、そして定価の2.1倍で買わされた空瓶の山だけだった。
「...誰もいない。...犯人たちは、どこへ消えたんだ!?」
エトスフェリアの空、ドローンのホログラムが消える寸前、咲姫のいたずらっぽい声だけがスピーカーから流れた。 『次は、もっと遠くで、もっと誇らしい嘘をつくのです。お達者で、なのですー!』
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咲姫(総監修):街をパニックに陥れ、その光景を「最高のエンディング」として持ち去る。
うさちぁん:2.1倍という謎価格で完売させ、治安維持部隊が来る前に財布をパンパンにして逃走。
猫二(総務部長):自分のファン(暴徒)に別れを告げる間もなく船へ押し込まれ、「僕の全盛期は短かったニャ...」と落胆。
超新人:時給22エトスの契約書だけは肌身離さず持ち、次の職場(戦場)を夢見る。
騎士(聖者):ようやく「神主」から「騎士」に戻れることに安堵し、深く座席に腰を下ろす。
治安維持部隊:到着したときには「燃える街」と「猫二の名刺」しか残されておらず、虚無感に包まれる。
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