ep.340 ネギの福音と、ガテンの咆哮
「...にゃうにゃ!? 誰が誰を捕まえたのですかー!?」 ピンクの煙が薄れる中、咲姫が叫びながらレンズを覗き込む。
そこには、サヨとアリスに両腕をガッチリとロックされ、魂が口から半分ほど抜けかけている騎士の姿があった。
「観念するニャ! 逃げれば逃げるほど、結婚式のオプションが増えるだけだニャ!」 猫二が、いつの間にかサヤから渡された「披露宴の見積書(特急料金込み)」を突きつける。
「笑わせるな! 現場のマネージャーを家庭なんかに縛り付けさせんぞ!」 怪獣リーダーが騎士の襟足を掴んで引き戻そうとするが、女子二人の「正常な愛」による重力は、15エトスの地獄特訓で鍛えられた騎士の体をもってしてもビクともしない。
「あはは、これぞ究極の綱引きだねぇ~。どっちに転んでも、騎士くんの安らぎは泡となって消える運命だよぉ~」 うさちぁんがご機嫌で解説していると、廊下の突き当たりから香ばしい匂いが漂ってきた。
そこには、騒動を完全に無視して、廊下の隅で「七輪」を囲む新人の姿があった。一本のネギを、それこそ聖剣を扱うかのような真剣な眼差しで焼き上げている。
「あ、騎士さん。ちょうどいいところに。...このネギ、半分あげますよ。その代わり、僕の時給を16エトスに上げてください」 新人のあまりにも現実的で、世俗的な「1エトスの賃上げ交渉」に、その場の時間が止まった。
「...にゃうにゃあああ! ムードが台無しなのです! 正常な愛も、ガテンな絆も、全部一株のネギに負けたのですー!!」 咲姫がスモークマシンを地面に叩きつけて地団駄を踏む。
「ガハハ! 1エトスの賃上げ交渉か! その図太い根性、気に入った! 騎士、こいつを今日から『ネギ特攻隊長』に任命するぞ!」 怪獣リーダーが笑い飛ばし、新人の「16エトス」がその場で確定した。
「...みんな...好きにしてくれ...」 騎士はついに泡を吹いて完全停止。サヨとアリスは「気絶した騎士さんも素敵...」と、そのまま介抱(という名の連行)を続けようとする。
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【転の章:進捗状況 4/8】
咲姫:愛憎劇が「賃上げ交渉」にすり替わったことに絶望。しかし、新人のネギを齧る姿に「食の貧困が生む美学」という新ジャンルを見出そうと必死。
うさちぁん:新人の焼いたネギを勝手に奪い、「お醤油かけるとさらにお酒が進むねぇ~」と、カオスな状況を最高のツマミに変えて宴会を開始。
騎士:女子二人の「正常攻勢」と、怪獣の「現場愛」と、新人の「現実的な交渉」の板挟みになり、脳が強制終了。
新人:16エトスへの昇給を勝ち取り、NUC史上最も「食」に執着するヒーローとしての地位を確立。
猫二:混乱に乗じて「ご祝儀」という名の寄付金を怪獣たちから徴収中ニャ。
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