ep.384 水中都市の深淵、あるいは猫二の「社宅」
「にゃうにゃあ! 陸、空、水の次は、水中なのです! 誰もが想像するような豪華客船や海底基地なんて、普通すぎて反吐が出るのですー!!」
咲姫が湖の中央で指を差した先。そこには、餡子熊王の浮島邸宅とは対照的に、水面ギリギリに天を仰ぐ奇妙な構造物があった。
「...さらっと。本星系第二の重要拠点、『水中都市・狂気の館』の建設を開始します。
構造: 浮島の逆転発想である『沈島(ちんとう)』形式。
立地: 天井が水面ギリギリに位置し、常に波の音が脳内に響き渡る設計。
コンセプト: 圧迫感と湿気、そしていつ沈んでもおかしくないスリル」
アリシアが図面を広げた瞬間、総務部長・猫二が嫌な予感に尻尾を逆立てた。
「にゃうにゃあ! 猫二、喜ぶのです!貴方はギルドの要、総務部長! 功労者の貴方には、この『沈島』の一角を『社宅』としてプレゼントするのですー!!」
「プ、プレゼント...!? 嘘ニャ、咲姫様がそんな慈悲深いわけないニャ! しかも『沈島』って、名前からして縁起が悪すぎるニャーー!!」
猫二の悲鳴を余所に、建設作業は容赦なく進む。「やぁやぁ猫二さん! 水中から見上げる太陽もオツなものですよ! 最高のロケーションですね!」ポジティブ兎のぽぷらんが、浸水しかけた一室に嬉々として家具を運び込む。その横では、猫獣人の女性が「ここ、絶対にお魚に覗かれるニャ...」と窓の外を回遊する淡水魚を見て震えていた。
「あはは、素敵な新居だねぇ~。はい、これ入居祝い。『強力除湿魔法のスクロール』さぁ。特別価格で 金貨1枚(10,000NkQ)でいいよぉ~。特殊依頼報酬と同じ値段だけど、猫二さんの健康に免じて、ツケ(利息2.1倍)で売ってあげるよぉ~」うさちぁんが、パン1個=1NkQ(木貨)の世界で、猫二にさらなる「死の負債」を積み上げる。
「金貨1枚!?武官の平均給与(500NkQ)20ヶ月分ニャ!湿気を取るだけで破産するニャーー!!」
「...ふむ。水中の猫。これまた演出的に『極(Kiwami)』だ。...ズズッ」 浮島から餡子を啜りながら眺める餡子熊王の視線の先で、猫二の「念願の自宅(沈島)」は、20時の日没と共に冷たい湖の底へとその影を沈めていった。
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咲姫(総監修):「普通」を嫌い、水面ギリギリの狂気都市をプロデュース。猫二を社宅(沈島)に幽閉する。
猫二(総務部長):念願の自宅(社宅)を手に入れるも、実態は 金貨級の維持費 がかかる水没寸前の館。
うさちぁん: 特殊依頼報酬(10,000NkQ)クラスのアイテムを売りつけ、猫二の負債をさらに加速させる。
超新人: 時給3NkQ で水中都市の配管工事に従事。水圧に耐えかねて「酒(3NkQ)を飲ませろー!」と叫ぶ。
ぽぷらん(兎):沈島を「水族館付きの豪邸」と解釈。天然鷲獣人と共に、西洋区画からレンガを運び込む。
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