ep.336 興(きょう)の章(完結):愛の檻と、消えたネギ
「...騎士さん。その言葉、本気ですか?」 膝をつく騎士に対し、サヨが頬を赤らめ、かつてないほど真面目な顔で問いかけた。アリスもまた、聖剣を下ろし、祈るように胸元に手を当てる。
「ええ...。私たちが求めていた真の正義...それは、憎しみ合うことではなく、こうして性別も立場も超えて、健やかな愛を育むことだったのですね」 二人の瞳から、百合的な熱情が消え、悟りを開いたような「純愛」の光が宿る。 「...騎士さん。私を、あなたの『家族』にしてください」
「は、はぁぁ!?」 騎士が一番驚愕する。百合の間に挟まれる「舞台装置」のつもりだったのに、まさかの「ガチな正常な恋愛」へのルート分岐。会場の富豪たちも「これは新しい!」「常識の破壊だ!」と、モニターを突き破る勢いで投げ銭を放り込む。
だが、その「健全すぎる愛」に一番耐えられなかったのは、プロデューサー・咲姫だった。
「にゃうにゃあああ! 違うのです! 私が見たかったのは、もっとこう、ドロドロの、尊い、女の子同士の絡みなのですー! 正常な恋愛なんて認めないのですー!!」
ガシャーーーン!! ついに我慢の限界を迎えた咲姫が、ホログラムではなく物理的に天井を突き破り、特注の「ハート型・愛の監獄(ピンク色の檻)」と共にステージに乱入した。
「全員まとめて、この檻の中で再教育なのですー!」 巨大な檻が騎士、サヨ、アリス、そしてうさちぁんを丸ごと飲み込む。
「あはは、狭いねぇ~。でも、檻の中で飲むお酒もオツだねぇ~」と、うさちぁんが笑う中、一人の影が動いた。
「...今だっ!」 混乱に乗じ、舞台の端で「民衆」を演じていた新人が、騎士が落とした「高級ネギ」を奪取。 「愛なんて知るかー! 僕は今日、このネギでお粥を食べるんだー!!」
新人は檻の外を全力疾走で逃走。咲姫は檻を降ろした反動で自分も檻に閉じ込められ、「にゃうにゃー! 出すのです! ネギを追うのですー!」と絶叫する。
こうして、再建を掲げた「興の章」は、愛とネギが複雑に絡み合ったまま、カオスな大団円(?)を迎えた。
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【興の章:完】
咲姫:自分が作った檻に自分で閉じ込められるという自業自得エンド。だが「檻の中の密着」に新たな萌えを見出し、カメラを回し続ける。
うさちぁん:檻の中で全員に酒を振る舞い、即席の「監獄バー」を開店。
サヤ:「ささっと」監獄からの脱出ゲームを新規コンテンツとして登録。
アリシア:「さらっと」今回のカオスを『NUC特別経営再建プログラム(前衛芸術編)』として黒字計上。
新人:ネギを確保し、今夜だけは時給55,000エトス時代の生活(ネギ入りお粥)を取り戻す。
騎士・サヨ・アリス:檻の中で、至って真面目に「今後の家族計画(健全)」について語り合い、咲姫を悶絶させる。
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