ep.321 時給10,000エトスの誘惑と、地獄のラジオ体操第二
「いいかニャ!次の『腕を振って回す運動』には、銀河の誕生と終焉、そして愛が込められていなきゃダメニャ!フォルティッシモだニャ!」
黄金の丘の上では、芸術監督として完全に仕上がった猫二が指揮棒を振り回し、100体の怪獣が血を吐きながら交響曲を奏でていた。
55,000エトスの新人は、時給に見合う「銀河的覚醒」を強いられ、もはや指先から謎の光線(オーラ)を出しながら『ラジオ体操第二』の予習に励んでいた。その音圧たるや、周囲の時空が歪み始めるほど。
その光景を見ていた時給1,200エトスのモブ冒険者たちが、ついにギルド本部へ押し寄せた。
「ふざけるな!俺たちは泥水を啜ってパトロールしてるのに、あいつは豪華伴奏で踊ってるだけかよ!ストライキだ!革命だ!」
殺気立つ現場に、モニター越しに咲姫が「にゃうにゃ!」と降臨した。
「うるさいのです!ヒーローは愚痴を言わないのです!...でも、そんなに10,000エトスが欲しいなら、咲姫を満足させてみるのです。咲姫が『かっこいい!』って感動するシーンを見せてくれたら、その瞬間に時給を10,000エトスに跳ね上げるのです!」
一瞬、荒野のような沈黙が流れた。
「...10,000?今の8倍以上...?どうせ10エトスくらいしか上がらないブラックだと思ってたのに...」
モブAが涙を拭い、狂気に満ちた目で拳を天に突き上げた。「やらせてください!今日から俺は、咲姫様が泣いて喜ぶ『世界一苦労するヒーロー』になってみせます!」
一方、楽器を持たされた武闘派怪獣たちは、隙を見てストライキを企んでいたが、背後に立つサヤの冷徹な眼光に凍りついた。
「...逃げたら、一生『白パンの耳』すら食べられないわよ。吹きなさい。叩きなさい。...ささっと、ね」「ギギギ...(涙の演奏継続)」
怪獣たちの反乱は、パンの権利を盾に一瞬で鎮圧された。
【進捗状況5/12】
・咲姫:
10,000エトスという餌で「最高の見世物」が見られる予感に、ポップコーンを用意。
・うさちぁん:
狂ったように働くモブたちに、エナジードリンク(アルコール90%)を売りつける。
・サヤ:
「ささっと」給与支払機を「10,000エトスモード」に設定。ただし判定基準は咲姫の気分。
・アリシア:
「さらっと」「時給1万に伴う、装備品のアップグレード・強制ローン契約書」を用意。
・わんわん:
「さくっと」モブたちが「苦労」を演出するための、さらに足場の悪い崖を造成。
・果林:
「くいっと」1万エトスを目指して血眼になる若者を見て「これだから人間は...」と呆れる。
・猫二:
ラジオ体操第二の演出に没頭。「次はレーザー照明を追加するニャ!」