ep.342 地獄の披露宴、あるいは聖なる集金
「あはは、喧嘩するくらいならみんなで共有すれば解決だよぉ~。これぞハーレム主人公物語の黄金律、お約束だねぇ~」 うさちぁんの放った無責任な一言により、破壊された廊下はそのまま「披露宴会場」へと作り変えられた。
仲人を務めるのは、なぜかタキシード姿でしれっと現れたサヤ。 「はいはい、皆様お並びください。今から『NUC合同・愛の共有の誓い』を執り行います。...あ、騎士様、ここに指印をお願いしますね。あ、こっちは『離婚時全財産譲渡契約書』ですので気にしないでください」
「...サヤ、お前まで俺を売るのか...」 騎士が絶望の淵で震えていると、うさちぁんが虹色の巨大な瓶をポンッと開けた。 「はい、お祝いの『聖なる門出酒』だよぉ! 一杯で一生の思い出になるからねぇ。...あ、お代は定価の6.7倍だけど、ご祝儀だと思えば安いもんだよねぇ~」
「高いのですー!! 経費で落ちないのですー!!」 咲姫が領収書を見て白目を剥くが、それ以上に目の前の光景が彼女を苦しめていた。 「にゃうにゃああ! サヨさんがアリスさんの肩を抱き、アリスさんが騎士さんの腕を組み、怪獣が騎士さんの背中を叩く...。この『全方位・過密密着状態』、百合の美学が完全に家族愛という名の雑炊に溶けて消えていくのですー!!」
尊さの欠片もない「物理的な密室愛」に、咲姫は鼻血を流しながら悶絶した。
そこへ、空気を切り裂くような冷徹な足音が響く。 「...さらっと失礼。おめでたい場ですが、現実は非情です」 アリシアが眼鏡を光らせて登場。手には厚い請求書の束が握られていた。 「『披露宴会場(廊下)使用料』『騒音対策費』および『独身税の還付キャンセル料』合計額は...あ、騎士様。あなたが今から作る家族全員の給与、30年分を前借り扱いで相殺させていただきますね」
「...死なせてくれ。もういっそ、このまま消えてなくなりたい...」 騎士の魂が、うさちぁんの酒のアルコールと共に蒸発していく。
一方その頃。 「...あれ、僕の席、なくない?」 新人は、盛り上がる「家族」の輪から数メートル離れた場所で、一人ポツンと立ち尽くしていた。 「みんなで家族」と言ったうさちぁんも、仲人のサヤも、自分を呼ぶ気配が一切ない。 「...まあ、いいや。家族になったら、時給16エトスから家族サービス代とか引かれそうだし。僕は、この焦げたネギと一緒に生きるよ」
新人の背中を、廊下の隙間風が冷たく撫でていった。
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【転の章:進捗状況 6/8】
咲姫:あまりの「雑多な愛」に脳がショート。悶絶しながらも、うさちぁんに高額な酒代を請求され、物理的にも精神的にも破滅寸前。
うさちぁん:祝い酒(6.7倍価格)を売り捌き、一人だけボロ儲け。「家族になれば、財布も一つだねぇ~(私のものだけど)」と不敵に笑う。
騎士:サヨとアリスの「正常な愛」に挟まれ、アリシアに「30年分の給与」を差し押さえられた。人生の詰み。
新人:しれっと家族枠から除外されている。しかし、本人はネギ一本の自由を選んだ。
サヤ:仲人として場を仕切りつつ、ご祝儀(現金)を「ささっと」回収して自分の懐へ。
怪獣リーダー:親戚のおじさんポジションを確立。「騎士、今日から俺のことは『義理の兄貴』と呼べや!」と、さらに騎士を追い詰める。
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