ep.392 和の温もり、泥からの救済
「にゃうにゃあ! 諸君、今日までの過酷な生活は、すべて私の演出...『壮大なドッキリ』だったのです! これからが、この星系スタジオの本当の姿なのですー!!」
星系全域のスピーカーから響く咲姫の宣言。それは、絶望の淵にいた者たちへの、信じがたい福音だった。
湿地帯の泥の中に沈み、「せめて...屋根が...」とうわ言を漏らしていた超新人の上に、最新鋭の建設ドローンが舞い降りる。泥を吸い出し、瞬く間に白砂を敷き詰め、そこには一軒の優雅な日本家屋が建ち上がった。
「...さらっと。超新人様、お迎えにあがりました。これ以降、泥の中での生活は禁止されます。咲姫様より、映画村エリアに『自動ネギ栽培機能付き和風離れ』を用意するよう仰せつかっております」
モニター越しに冷徹な、しかしどこか慈悲深い声で告げるのは、秘書兼メイドのアリシアだ。彼女の手元の端末により、超新人のNkQ残高が猛烈な勢いで書き換えられていく。
「...え? 預言者、これは天国からの迎えなのですか...?」
一方、沈島(水没エリア)でバケツを持ち、冷たい海水に浸かっていた猫二の前には、豪華な屋形船が現れた。船の先端では、執事のわんわんが尾を振りながら、黄金の盆を捧げ持っている。
「ワン! 猫二部長、お待たせいたしましたワン! 総務部長に相応しい、映画村のスイートルームへご案内するワン。宿代は10日で5NkQ。部長の新しい時給なら、数秒働くだけで1年分払えるワン!」
「あはは、部長さん、そんなに震えちゃって。ほら、まずはこの温かいおしぼりを使って?」
メイドのサヤが、ふかふかのタオルと、湯気の立つ炊き立ての白米を差し出した。
「あ、暖かいニャ...。時給5,000NkQなら、僕の借金(10万NkQ)は...わずか20時間で完済? 嘘だと言ってくれニャ、こんなの極楽すぎるニャ...!!」
二人は映画村の美しい庭園で、これまで経験したことのない「安らかな眠り」につこうとしていた。うさちぁんがカツアゲに来ることも、22時に無理やり消灯されることもない。ただ、穏やかな風が和洋折衷の美しい街並みを吹き抜けていく。
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猫二(入浴中): スイートルームのヒノキ風呂で「極楽だニャ...」と溶けている。
超新人(試食中): ネギの天ぷらが並ぶ豪華な食事を前に、本気で神(咲姫)に感謝している。
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