ホーム町の小さなお守り魔女と、言葉を紡ぐ金の犬〜不老幼女の大魔女、人間の言葉を喋る魔犬たちと暮らしていたら、魔法都市ができていました~第二十八話 人間の兄弟と、魔犬の兄弟
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第二十八話 人間の兄弟と、魔犬の兄弟

 霊峰ヴァルグヴェルドの深い山に佇む、大魔女モルガナの館。そこには人の言葉を解し、魔法を操る誇り高き『魔犬(クーシー)』たちが数百年の年月を共に暮らしていた。

 ある日、麓のベイスの町に住む、少年ノランと金の魔犬ブランが出会い、やがて故郷の町を守るため大魔女と契約を交わした少年レオンは、白銀の魔犬クゥとともに「町へ降りる魔犬たちの世話役」としての歩みを始める。

 宮廷で孤独を抱えていた第三王女エレアノーリエは、ノランやモルガナとの出会いを経て成長し、やがてノランと絆を結んでベイスの町の領主となり、人と魔犬が共に笑い合う「魔法都市」の礎を築いていく――。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 爽やかな春風が駆け抜けるコードリア領主館の庭園には、今日も元気いっぱいの歓声が響き渡っていた。


「待ちなさいったら、カノン! そっちはバラのアーチがあるから危ないよ!」

「平気平気~! アスタお兄ちゃん、遅いぞーっ!」


 声を張り上げて走り回っているのは、今年で五歳になった領主の息子アスタ=コードリアだった。真面目で面倒見の良い彼は、額にほんのりと汗を浮かべながら、一歳年下の従妹の後ろ姿を追いかけている。

 その先を跳ねるように駆け抜けていくのは、レオンとミルカの間に生まれた双子の妹、四歳のカノンである。お転婆で無鉄砲な彼女は、赤いリボンを揺らしながら庭園の芝生を縦横無尽に駆け回っていた。


「わ、わわ...カノンちゃん、転んじゃうよ...っ」


 そんなふたりの後方から、自分と同じくらい大きな分厚い本を大切そうに抱えて、おろおろとついてくるのは、双子の兄であるオルタだ。極度の人見知りで本の虫な彼は、今日も胸元に『植物図鑑』をぎゅっと抱きしめている。

 アスタ、オルタ、カノンの三人は血縁上は従兄弟どうしであったが、生まれた時から同じ館の空気の中で育ち、まるで実の兄弟のように仲良く過ごしていた。


「ふおん」


 バタバタと騒がしい子供たちの足元を、優雅な足取りで追う一匹の魔犬がいた。

 青みがかった美しい灰色の毛並みを持ち、引き締まった体躯をした兄貴分の魔犬――「シオン」である。アスタが三歳の頃、両親であるノランとエレアノーリエと相談して決めたその名前を呼ばれるたび、シオンは誇らしげに尾を振るのだった。

 そして、シオンのほかにも、子供たちのすぐ側には二匹の小さな魔犬の姿があった。

 子供たちが生まれた直後、霊峰ヴァルグヴェルドの山の館では「赤ちゃんたちの生涯の友になりたい」と名乗りを上げた魔犬たちによる、厳粛かつ愛に満ちた選抜戦が行われていた。そこで選ばれた特別な相棒たちが、今もこうしてピタリと幼き主人たちに寄り添っているのだ。

 オルタの傍らにいるのは、純白の毛並みに一筋の気品ある紫の線が走った魔犬。どこか落ち着きがあり、オルタが図鑑を開くたびに隣でじっと誌面を見つめるような、知識欲の高い賢い子だった。

 対して、カノンの足元を「きゃんきゃん!」と楽しげに鳴きながら跳ね回っているのは、漆黒の毛並みに眩しい黄金の筋が入った魔犬だ。身体を動かすことが大好きで、カノンに負けず劣らずの元気いっぱいな性格をしている。

 テラスの奥、領主館の執務室の大きな窓からは、大人たちがそんな子供たちの賑やかな姿を温かな眼差しで見守っていた。


「ふふ、アスタもお兄ちゃんぶって大変そうね。ノラン様、少しは助けてあげたほうがよろしいのでは?」


「いえ、エレア様。子供同士で揉まれるのも大事な教育ですから。それに、シオンがついていてくれますからね」


 書類の手を休めた領主エレアノーリエと、その夫であるノランが微笑み交わす。その隣では、魔犬調停官としての仕事で立ち寄っていたレオンと、妻のミルカが温かい紅茶を口に含んでいた。


「オルタもカノンも、アスタのことが大好きだからなぁ。本当の三兄弟みたいだ」

「ええ。ですが、カノンの暴走にアスタちゃんが振り回されすぎていないか、少し心配ですけれど」


 ミルカがクスリと微笑む中、庭園では新たな波乱の芽が萌芽しようとしていた。

 芝生の上にドサリと座り込んだカノンは、自分の足元でゴロゴロと転がっている黒と金の魔犬の頭をなで回しながら、ふと首を傾げた。


「ねえ、アスタお兄ちゃん。シオンにはかっこいいお名前があるのに、どうしてこの子たちにはまだお名前がないの?」

「えっ? それは...おじさんやおばさんが、ぴったりなお名前をじっくり考えているからだよ」

「それじゃ遅いわ!」


カノンはバッと立ち上がると、腰に両手を当てて胸を張った。


「シオンみたいに、かっこよくて可愛くて、最高の名前をつけてあげなきゃダメだわ! そうだ...いまからみんなで、町へお名前を探しに行きましょう!」

「えぇっ!? ま、町に行くの!?」


アスタは驚いて声を裏返した。真面目な彼はすぐにブンブンと首を横に振る。


「ダメだよカノン! 勝手に領主館を出たら、母上や父上にすっごく怒られるんだから! お名前なら、ここでお話しして決めれば――」

「なーんだ。アスタお兄ちゃんは怖がりなんだ」

「こ、怖がりじゃないよ! 僕はお兄ちゃんだから、正しいことを言ってるんだ!」

「じゃあ、いっしょに来てくれるわよね? お兄ちゃんなんだから!」

「うぐっ...!」


 ニシシと悪戯っぽく笑うカノンの勢いに押され、アスタは完全に言葉を詰まらせてしまった。

 後ろでおろおろしていたオルタも、カノンにぐいっと手首を引っ張られる。


「オルタも行くわよ! その図鑑も役に立つかもしれないでしょ!」

「え、ええ...? ぼ、僕も...?カノンちゃんたちだけ行けばいいじゃないか...」


 横で見ていたシオンが「やれやれ」と大きく溜息をつくように鼻を鳴らした。

「ゥゥーーゥワンッ!」
『ったく、お転婆お姫様には参るぜ。おい、お前ら、主人の側を離れるなよ』

 シオンが二匹の弟分・妹分に目配せすると、「わふっ!」「ワンッ!」と元気よく応えた。

 こうして、男の子たちは無鉄砲なカノンにまんまとねじ伏せられ、大人たちの目を盗んで領主館の裏門を抜け出し、ベイスの町へと繰り出すことになってしまったのだった。

――――――――――――――――――――――――――――――

 石畳の街道に出ると、秋の陽光に包まれたベイスの町は活気に溢れていた。

 職人たちが鎚を打つ音が心地よく響き、色とりどりの屋台が立ち並んでいる。


「わあ~っ! おもしろそうなものがたくさんあるわ!」

「カノン、走ったらダメだってば! シオン、僕たちから離れないでね...っ」

「ひ、人がいっぱい...だから来たくなかったのに...」


 不安そうに周囲を警戒するアスタと、シオンの頼もしい佇まい。そしてオルタは図鑑を胸に抱えたまま、人ごみから隠れるようにアスタの服の裾をぎゅっと掴んでいる。


「よし、まずはお名前のヒントを探すわよ!」


 カノンが最初に突撃したのは、色とりどりの果物が山積みにされた果物屋の店先だった。

 真っ赤なリンゴ、艶やかな紫色のブドウ、黄金色に輝く柑橘類。


「うーん...紫色の筋が入っているから...『ブドウ』! こっちは黄色いから『ミカン』はどうかしら!?」

「それじゃそのまんま食べたものの名前じゃないか! ダメだよ!」


 アスタが即座につっこみを入れ、オルタの友犬も少し困ったように耳を伏せた。食べ物の名前は少し格好がつかないらしい。

 次に立ち寄ったのは、香ばしい焼き立ての小麦の匂いが漂う街角のパン屋だった。店主の老職人と帽子をかぶったお手伝い魔犬が、楽しそうにパンを並べている。


「わあ、美味しそう! じゃあ『クロワッサン』と『コロッケ』は!?」

「カノン、君がお腹空いてるだけじゃないか!」

「わふう...」
『オレたちは揚げ物やパンじゃないぞ...』

 カノンの友犬も首を横に振る。美味しそうな名前だが、一生呼ばれ続ける名前としては少々コミカルすぎた。

 さらに、3人と3匹は風が心地よく吹き抜ける中央広場へと移動した。

 噴水の周りでは、子供たちが元気に走り回り、町魔犬たちがのんびりと日向ぼっこをしている。


「うーん...果物もパンもダメなら...『カゼ』とか『ホシ』はどうかしら!?」


 カノンが広場の中央でくるりと回ると、漆黒に金の筋の魔犬は「ワンワンッ!」と大喜びで駆け回り、カノンの周りをぐるぐると旋回した。体を動かすのが大好きなこの子にとって、広場で走ること自体が楽しくてたまらないのだ。

 だが、アスタは腕を組んでうーんと唸った。


「悪くはないけど...なんか、しっくりこない気がするなあ。もっと、この子たちの毛皮とか、性格にぴったり合う特別な名前が良いと思うんだ」

「むぅ...特別な名前ぇ...」


 あちこちの店や広場を巡り歩いているうちに、空は徐々に茜色へと染まり始めていた。
お昼過ぎから歩き詰めだった小さな子供たちの足取りは、次第にとぼとぼと重くなっていく。


「ふあぁ...なんだか、お腹が空いて足が重くなってきたわ...」

「だから言ったじゃないか...。もう夕暮れだよ、早く帰らないと本当に父上たちに叱られるよ...」


 アスタも疲労で肩を落とし、オルタに至っては大きな図鑑の重みで今にも倒れそうだった。

3人と3匹は、賑やかな中心街を抜け、静かな町外れの住宅街の路地を、とぼとぼと歩いていた。

――――――――――――――――――――――――――――――

 町外れの静かな路地には、古い石畳が続いていた。


「もうダメ...歩けない...」


 カノンがへたり込もうとした、その時だった。

 カノンの友犬が、ピクリと耳を立てた。鼻先をひくひくさせると、何か愛おしい匂いを見つけたかのように、日当たりの良い古い石垣の隅へとトコトコと走っていく。


「あ、待ってよー!」


 カノンたちが後を追うと、そこは路地の片隅にある小さな手作りの花壇だった。

 石畳の隙間、あたたかな夕日を浴びる土の上に、ふたつの可憐な野の花がひっそりと、けれど力強く咲いていた。

 ひとつは、深みのある鮮やかさと品格を漂わせた「紫色の花」

 もうひとつは、太陽の光をそのまま閉じ込めたように、元気に開いた「黄色の花」


「わぁ...キレイなお花...」


 カノンが目を輝かせると、オルタの隣にいた純白の魔犬が、そっと前足を出した。賢そうな瞳でオルタを見つめ、前足の爪先で、オルタが抱えている『植物図鑑』の表紙をポンポンと叩いた。


「オルタ、あの花調べてみて」

「...え? 図鑑で...?う、うんわかった」


 オルタは頷くと、石畳の上に腰を下ろし、分厚い図鑑のページを丁寧にめくり始めた。純白に紫の筋の魔犬は、オルタの肩にちょこんと顎を乗せ、一緒に誌面を覗き込む。

 ページをめくるパサリ、パサリという音だけが静かな路地に響く。

 やがて、あるページで魔犬が「わふ」と短く鳴き、爪先でひとつのイラストを指し示した。その隣の花の写真と、目の前の小さな花を見比べたオルタの目が、丸く見開かれる。


「...あ。これだ...」


 オルタは小さな、けれどハッキリとした声で教えてくれた。


「紫の花は...『スミレ』控えめで、品があって、静かに咲く花...。黄色い花は...『タンポポ』太陽に向かって、元気に強く咲く花って...書いてある」


 その言葉を聞いた瞬間、アスタの脳裏に電撃が走った。


「それだ...! オルタ、すごいよ!」

「え...?」


 アスタは興奮気味に、二匹の魔犬を見つめた。


「見なさいよ! この白の毛並みに、綺麗な紫色の筋...! 静かで賢くて、本が大好きなこの子に、ぴったりだよ!」


 アスタに促され、オルタはおずおずと、自分の相棒である魔犬の目を覗き込んだ。


「...『スミレ』君のお名前...『スミレ』はどう...?」


 そう問われた魔犬は、瞳をキラキラと輝かせると、「わふっ!」と嬉しそうに甲高くて愛らしい声をあげた。そして、オルタの頬に擦り寄るようにして、温かな鼻先をぴたりと寄せてきたのである。


「ふふ...あたたかい...。スミレ...よろしくね」


 オルタの口元に、普段の人見知りが嘘のような、心からの優しい微笑みが浮かんだ。

 それを見たカノンが、跳ね起きるように立ち上がった。


「じゃあ! 漆黒の毛並みに走る、お日様みたいな黄金の筋! 走るのが大好きで元気いっぱいなあなたは...『タンポポ』ね!!」


 カノンが両手を広げて叫ぶと、魔犬は「ワンワンワンッ!」とちぎれんばかりに尻尾を振り乱した。そのまま弾丸のような勢いでカノンの胸元へと飛びつき、顔中をベロベロとなめ回す。


「きゃははっ! くすぐったい! タンポポ、タンポポ! だーい好き!」


 夕暮れの路地に、子供たちの弾けたような歓声と、魔犬たちの喜びの鳴き声が響き渡った。


「やったね、オルタ、カノン。良いお名前が決まったね!」

「うん...! 『スミレ』、かっこいい...」

「『タンポポ』も一番かわいいわ!」


 アスタ、オルタ、カノンの三人は、シオン、スミレ、タンポポの三匹を真ん中に挟んで、ぎゅっと抱き合った。

 誇らしげに胸を張るシオン。オルタに体を寄せて満足そうに目を細めるスミレ。カノンの膝の上でゴロゴロと転がるタンポポ。

 それは、人と魔犬の幼き絆が、確かな形となった最高の瞬間だった。

――――――――――――――――――――――――――――――

「――カノン!!! アスタ! オルタ!!」


 静かな路地に、響き渡る怒声と、荒い息遣いが聞こえてきた。

 振り返ると、そこには息を大きく乱した大人たちが駆け込んできたところだった。

 ノラン、エレアノーリエ、レオン、ミルカの四人である。子供たちが館から姿を消したことに気づき、生きた心地もしないまま、ベイスの街中を必死で探し回っていたのだ。


「お母様...おば様...」


ミルカとエレアノーリエの凄まじい仁王立ちに、アスタは思わず縮み上がった。


「カノン!! どれだけ心配したと思っているの!? 勝手に街へ出て、もし怪我でもしたらどうするのですか!!」


 ミルカの雷が落ちる。カノンはビクッと肩を揺らし、一瞬で涙目になった。

 アスタもキュッと唇を噛み締め、おずおずと前に進み出た。


「ごめんなさい...僕がお兄ちゃんなのに、ふたりを止められなくて...勝手についていっちゃいました...」


 今にも泣き出しそうに俯くアスタの頭に、ぽんと大きな手が置かれた。
 
 ノランだった。ノランは深くため息をつきつつも、安心したように目を細めてアスタの頭を優しく撫でた。


「怪我がないなら、まずはよかった。...でもね、アスタ。お兄ちゃんだからこそ、危険なときは大人を頼らなきゃダメだぞ。次からは絶対に勝手に出ちゃダメだ」


「...はい! ごめんなさい、父上...!」


 ミルカに怒られて半泣きになっていたカノンだったが、ぐっと涙を拭うと、両手でタンポポの体を抱え上げて前に突き出した。


「で、でもねっ...お母様! お名前が決まったの! この子は『タンポポ』で、オルタのは『スミレ』よ!」

「...え?」


 ミルカとエレアノーリエは一瞬呆気にとられ、それから子供たちの足元と、そこにいる二匹の魔犬を見つめた。

 純白の毛並みに、気品ある紫の筋。穏やかで賢そうな瞳をした魔犬――『スミレ』
 
 漆黒の毛並みに、太陽のような黄金の筋。元気に尻尾を振る魔犬――『タンポポ』

 二匹の毛皮の模様と、それぞれの性格。そして路地の隅に咲く野の花を見比べた大人たちは、ハッと息を呑み、次いで顔を見合わせたた。


「...スミレと、タンポポ...」


レオンがぽつりと呟き、それから破顔した。


「ふっ...あはは! 参ったな、ピッタリの名前じゃないか!俺たちも考えてたってのに!」

「本当に...。毛色にも、その子の雰囲気にも、よく似合っていますわね」


 エレアノーリエも呆れ顔から一転、苦笑いを浮かべて優しく微笑んだ。

 ミルカも目角を緩め、しゃがみ込んでカノンとタンポポの頭をまとめて撫でまわした。


「全く、手のかかるおてんば娘ですこと。でも...とっても素敵な名前ね、カノン、オルタ」

「...うん!」


 お説教の嵐が去り、子供たちの顔にパッと明るい笑顔が戻った。

――――――――――――――――――――――――――――――

 帰り道、ベイスの街道はすっかり美しいオレンジ色の夕焼けに染まっていた。

 アスタは父ノランと手を繋ぎ、その反対側には誇らしげにあるく友犬シオンがぴったりと寄り添っている。

 オルタは母ミルカの手を握りながら、大事そうに抱えた図鑑の隣で歩く友犬スミレと、時折目を合わせて小さな微笑みを交わしていた。

 そしてカノンは、父レオンの肩の上に首を回して抱っこされながら、下を元気に追いかけてくる友犬タンポポに向かって楽しそうに話しかけている。


「ねえタンポポ! 明日からはもっと遠くまで走るわよ!」

「わふんっ!」
『俺たちならどこまでも行けるなっ!』

「あっ!すごい!犬の言葉がわかったわ!」


 賑やかな子供たちの声と、魔犬たちの頼もしい鳴き声が、夕暮れの街並みに溶けていく。

 人間の兄弟と、魔犬の兄弟。

 まだ小さく愛おしい彼らの足跡は、これからも共に寄り添い合いながら、この温かな魔法都市の中に、どこまでも深く刻まれていくのだった。

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町の小さなお守り魔女と、言葉を紡ぐ金の犬〜不老幼女の大魔女、人間の言葉を喋る魔犬たちと暮らしていたら、魔法都市ができていました~作者:あづみ
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第二十八話 人間の兄弟と、魔犬の兄弟

 霊峰ヴァルグヴェルドの深い山に佇む、大魔女モルガナの館。そこには人の言葉を解し、魔法を操る誇り高き『魔犬(クーシー)』たちが数百年の年月を共に暮らしていた。

 ある日、麓のベイスの町に住む、少年ノランと金の魔犬ブランが出会い、やがて故郷の町を守るため大魔女と契約を交わした少年レオンは、白銀の魔犬クゥとともに「町へ降りる魔犬たちの世話役」としての歩みを始める。

 宮廷で孤独を抱えていた第三王女エレアノーリエは、ノランやモルガナとの出会いを経て成長し、やがてノランと絆を結んでベイスの町の領主となり、人と魔犬が共に笑い合う「魔法都市」の礎を築いていく――。

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 爽やかな春風が駆け抜けるコードリア領主館の庭園には、今日も元気いっぱいの歓声が響き渡っていた。


「待ちなさいったら、カノン! そっちはバラのアーチがあるから危ないよ!」

「平気平気~! アスタお兄ちゃん、遅いぞーっ!」


 声を張り上げて走り回っているのは、今年で五歳になった領主の息子アスタ=コードリアだった。真面目で面倒見の良い彼は、額にほんのりと汗を浮かべながら、一歳年下の従妹の後ろ姿を追いかけている。

 その先を跳ねるように駆け抜けていくのは、レオンとミルカの間に生まれた双子の妹、四歳のカノンである。お転婆で無鉄砲な彼女は、赤いリボンを揺らしながら庭園の芝生を縦横無尽に駆け回っていた。


「わ、わわ...カノンちゃん、転んじゃうよ...っ」


 そんなふたりの後方から、自分と同じくらい大きな分厚い本を大切そうに抱えて、おろおろとついてくるのは、双子の兄であるオルタだ。極度の人見知りで本の虫な彼は、今日も胸元に『植物図鑑』をぎゅっと抱きしめている。

 アスタ、オルタ、カノンの三人は血縁上は従兄弟どうしであったが、生まれた時から同じ館の空気の中で育ち、まるで実の兄弟のように仲良く過ごしていた。


「ふおん」


 バタバタと騒がしい子供たちの足元を、優雅な足取りで追う一匹の魔犬がいた。

 青みがかった美しい灰色の毛並みを持ち、引き締まった体躯をした兄貴分の魔犬――「シオン」である。アスタが三歳の頃、両親であるノランとエレアノーリエと相談して決めたその名前を呼ばれるたび、シオンは誇らしげに尾を振るのだった。

 そして、シオンのほかにも、子供たちのすぐ側には二匹の小さな魔犬の姿があった。

 子供たちが生まれた直後、霊峰ヴァルグヴェルドの山の館では「赤ちゃんたちの生涯の友になりたい」と名乗りを上げた魔犬たちによる、厳粛かつ愛に満ちた選抜戦が行われていた。そこで選ばれた特別な相棒たちが、今もこうしてピタリと幼き主人たちに寄り添っているのだ。

 オルタの傍らにいるのは、純白の毛並みに一筋の気品ある紫の線が走った魔犬。どこか落ち着きがあり、オルタが図鑑を開くたびに隣でじっと誌面を見つめるような、知識欲の高い賢い子だった。

 対して、カノンの足元を「きゃんきゃん!」と楽しげに鳴きながら跳ね回っているのは、漆黒の毛並みに眩しい黄金の筋が入った魔犬だ。身体を動かすことが大好きで、カノンに負けず劣らずの元気いっぱいな性格をしている。

 テラスの奥、領主館の執務室の大きな窓からは、大人たちがそんな子供たちの賑やかな姿を温かな眼差しで見守っていた。


「ふふ、アスタもお兄ちゃんぶって大変そうね。ノラン様、少しは助けてあげたほうがよろしいのでは?」


「いえ、エレア様。子供同士で揉まれるのも大事な教育ですから。それに、シオンがついていてくれますからね」


 書類の手を休めた領主エレアノーリエと、その夫であるノランが微笑み交わす。その隣では、魔犬調停官としての仕事で立ち寄っていたレオンと、妻のミルカが温かい紅茶を口に含んでいた。


「オルタもカノンも、アスタのことが大好きだからなぁ。本当の三兄弟みたいだ」

「ええ。ですが、カノンの暴走にアスタちゃんが振り回されすぎていないか、少し心配ですけれど」


 ミルカがクスリと微笑む中、庭園では新たな波乱の芽が萌芽しようとしていた。

 芝生の上にドサリと座り込んだカノンは、自分の足元でゴロゴロと転がっている黒と金の魔犬の頭をなで回しながら、ふと首を傾げた。


「ねえ、アスタお兄ちゃん。シオンにはかっこいいお名前があるのに、どうしてこの子たちにはまだお名前がないの?」

「えっ? それは...おじさんやおばさんが、ぴったりなお名前をじっくり考えているからだよ」

「それじゃ遅いわ!」


カノンはバッと立ち上がると、腰に両手を当てて胸を張った。


「シオンみたいに、かっこよくて可愛くて、最高の名前をつけてあげなきゃダメだわ! そうだ...いまからみんなで、町へお名前を探しに行きましょう!」

「えぇっ!? ま、町に行くの!?」


アスタは驚いて声を裏返した。真面目な彼はすぐにブンブンと首を横に振る。


「ダメだよカノン! 勝手に領主館を出たら、母上や父上にすっごく怒られるんだから! お名前なら、ここでお話しして決めれば――」

「なーんだ。アスタお兄ちゃんは怖がりなんだ」

「こ、怖がりじゃないよ! 僕はお兄ちゃんだから、正しいことを言ってるんだ!」

「じゃあ、いっしょに来てくれるわよね? お兄ちゃんなんだから!」

「うぐっ...!」


 ニシシと悪戯っぽく笑うカノンの勢いに押され、アスタは完全に言葉を詰まらせてしまった。

 後ろでおろおろしていたオルタも、カノンにぐいっと手首を引っ張られる。


「オルタも行くわよ! その図鑑も役に立つかもしれないでしょ!」

「え、ええ...? ぼ、僕も...?カノンちゃんたちだけ行けばいいじゃないか...」


 横で見ていたシオンが「やれやれ」と大きく溜息をつくように鼻を鳴らした。

「ゥゥーーゥワンッ!」
『ったく、お転婆お姫様には参るぜ。おい、お前ら、主人の側を離れるなよ』

 シオンが二匹の弟分・妹分に目配せすると、「わふっ!」「ワンッ!」と元気よく応えた。

 こうして、男の子たちは無鉄砲なカノンにまんまとねじ伏せられ、大人たちの目を盗んで領主館の裏門を抜け出し、ベイスの町へと繰り出すことになってしまったのだった。

――――――――――――――――――――――――――――――

 石畳の街道に出ると、秋の陽光に包まれたベイスの町は活気に溢れていた。

 職人たちが鎚を打つ音が心地よく響き、色とりどりの屋台が立ち並んでいる。


「わあ~っ! おもしろそうなものがたくさんあるわ!」

「カノン、走ったらダメだってば! シオン、僕たちから離れないでね...っ」

「ひ、人がいっぱい...だから来たくなかったのに...」


 不安そうに周囲を警戒するアスタと、シオンの頼もしい佇まい。そしてオルタは図鑑を胸に抱えたまま、人ごみから隠れるようにアスタの服の裾をぎゅっと掴んでいる。


「よし、まずはお名前のヒントを探すわよ!」


 カノンが最初に突撃したのは、色とりどりの果物が山積みにされた果物屋の店先だった。

 真っ赤なリンゴ、艶やかな紫色のブドウ、黄金色に輝く柑橘類。


「うーん...紫色の筋が入っているから...『ブドウ』! こっちは黄色いから『ミカン』はどうかしら!?」

「それじゃそのまんま食べたものの名前じゃないか! ダメだよ!」


 アスタが即座につっこみを入れ、オルタの友犬も少し困ったように耳を伏せた。食べ物の名前は少し格好がつかないらしい。

 次に立ち寄ったのは、香ばしい焼き立ての小麦の匂いが漂う街角のパン屋だった。店主の老職人と帽子をかぶったお手伝い魔犬が、楽しそうにパンを並べている。


「わあ、美味しそう! じゃあ『クロワッサン』と『コロッケ』は!?」

「カノン、君がお腹空いてるだけじゃないか!」

「わふう...」
『オレたちは揚げ物やパンじゃないぞ...』

 カノンの友犬も首を横に振る。美味しそうな名前だが、一生呼ばれ続ける名前としては少々コミカルすぎた。

 さらに、3人と3匹は風が心地よく吹き抜ける中央広場へと移動した。

 噴水の周りでは、子供たちが元気に走り回り、町魔犬たちがのんびりと日向ぼっこをしている。


「うーん...果物もパンもダメなら...『カゼ』とか『ホシ』はどうかしら!?」


 カノンが広場の中央でくるりと回ると、漆黒に金の筋の魔犬は「ワンワンッ!」と大喜びで駆け回り、カノンの周りをぐるぐると旋回した。体を動かすのが大好きなこの子にとって、広場で走ること自体が楽しくてたまらないのだ。

 だが、アスタは腕を組んでうーんと唸った。


「悪くはないけど...なんか、しっくりこない気がするなあ。もっと、この子たちの毛皮とか、性格にぴったり合う特別な名前が良いと思うんだ」

「むぅ...特別な名前ぇ...」


 あちこちの店や広場を巡り歩いているうちに、空は徐々に茜色へと染まり始めていた。
お昼過ぎから歩き詰めだった小さな子供たちの足取りは、次第にとぼとぼと重くなっていく。


「ふあぁ...なんだか、お腹が空いて足が重くなってきたわ...」

「だから言ったじゃないか...。もう夕暮れだよ、早く帰らないと本当に父上たちに叱られるよ...」


 アスタも疲労で肩を落とし、オルタに至っては大きな図鑑の重みで今にも倒れそうだった。

3人と3匹は、賑やかな中心街を抜け、静かな町外れの住宅街の路地を、とぼとぼと歩いていた。

――――――――――――――――――――――――――――――

 町外れの静かな路地には、古い石畳が続いていた。


「もうダメ...歩けない...」


 カノンがへたり込もうとした、その時だった。

 カノンの友犬が、ピクリと耳を立てた。鼻先をひくひくさせると、何か愛おしい匂いを見つけたかのように、日当たりの良い古い石垣の隅へとトコトコと走っていく。


「あ、待ってよー!」


 カノンたちが後を追うと、そこは路地の片隅にある小さな手作りの花壇だった。

 石畳の隙間、あたたかな夕日を浴びる土の上に、ふたつの可憐な野の花がひっそりと、けれど力強く咲いていた。

 ひとつは、深みのある鮮やかさと品格を漂わせた「紫色の花」

 もうひとつは、太陽の光をそのまま閉じ込めたように、元気に開いた「黄色の花」


「わぁ...キレイなお花...」


 カノンが目を輝かせると、オルタの隣にいた純白の魔犬が、そっと前足を出した。賢そうな瞳でオルタを見つめ、前足の爪先で、オルタが抱えている『植物図鑑』の表紙をポンポンと叩いた。


「オルタ、あの花調べてみて」

「...え? 図鑑で...?う、うんわかった」


 オルタは頷くと、石畳の上に腰を下ろし、分厚い図鑑のページを丁寧にめくり始めた。純白に紫の筋の魔犬は、オルタの肩にちょこんと顎を乗せ、一緒に誌面を覗き込む。

 ページをめくるパサリ、パサリという音だけが静かな路地に響く。

 やがて、あるページで魔犬が「わふ」と短く鳴き、爪先でひとつのイラストを指し示した。その隣の花の写真と、目の前の小さな花を見比べたオルタの目が、丸く見開かれる。


「...あ。これだ...」


 オルタは小さな、けれどハッキリとした声で教えてくれた。


「紫の花は...『スミレ』控えめで、品があって、静かに咲く花...。黄色い花は...『タンポポ』太陽に向かって、元気に強く咲く花って...書いてある」


 その言葉を聞いた瞬間、アスタの脳裏に電撃が走った。


「それだ...! オルタ、すごいよ!」

「え...?」


 アスタは興奮気味に、二匹の魔犬を見つめた。


「見なさいよ! この白の毛並みに、綺麗な紫色の筋...! 静かで賢くて、本が大好きなこの子に、ぴったりだよ!」


 アスタに促され、オルタはおずおずと、自分の相棒である魔犬の目を覗き込んだ。


「...『スミレ』君のお名前...『スミレ』はどう...?」


 そう問われた魔犬は、瞳をキラキラと輝かせると、「わふっ!」と嬉しそうに甲高くて愛らしい声をあげた。そして、オルタの頬に擦り寄るようにして、温かな鼻先をぴたりと寄せてきたのである。


「ふふ...あたたかい...。スミレ...よろしくね」


 オルタの口元に、普段の人見知りが嘘のような、心からの優しい微笑みが浮かんだ。

 それを見たカノンが、跳ね起きるように立ち上がった。


「じゃあ! 漆黒の毛並みに走る、お日様みたいな黄金の筋! 走るのが大好きで元気いっぱいなあなたは...『タンポポ』ね!!」


 カノンが両手を広げて叫ぶと、魔犬は「ワンワンワンッ!」とちぎれんばかりに尻尾を振り乱した。そのまま弾丸のような勢いでカノンの胸元へと飛びつき、顔中をベロベロとなめ回す。


「きゃははっ! くすぐったい! タンポポ、タンポポ! だーい好き!」


 夕暮れの路地に、子供たちの弾けたような歓声と、魔犬たちの喜びの鳴き声が響き渡った。


「やったね、オルタ、カノン。良いお名前が決まったね!」

「うん...! 『スミレ』、かっこいい...」

「『タンポポ』も一番かわいいわ!」


 アスタ、オルタ、カノンの三人は、シオン、スミレ、タンポポの三匹を真ん中に挟んで、ぎゅっと抱き合った。

 誇らしげに胸を張るシオン。オルタに体を寄せて満足そうに目を細めるスミレ。カノンの膝の上でゴロゴロと転がるタンポポ。

 それは、人と魔犬の幼き絆が、確かな形となった最高の瞬間だった。

――――――――――――――――――――――――――――――

「――カノン!!! アスタ! オルタ!!」


 静かな路地に、響き渡る怒声と、荒い息遣いが聞こえてきた。

 振り返ると、そこには息を大きく乱した大人たちが駆け込んできたところだった。

 ノラン、エレアノーリエ、レオン、ミルカの四人である。子供たちが館から姿を消したことに気づき、生きた心地もしないまま、ベイスの街中を必死で探し回っていたのだ。


「お母様...おば様...」


ミルカとエレアノーリエの凄まじい仁王立ちに、アスタは思わず縮み上がった。


「カノン!! どれだけ心配したと思っているの!? 勝手に街へ出て、もし怪我でもしたらどうするのですか!!」


 ミルカの雷が落ちる。カノンはビクッと肩を揺らし、一瞬で涙目になった。

 アスタもキュッと唇を噛み締め、おずおずと前に進み出た。


「ごめんなさい...僕がお兄ちゃんなのに、ふたりを止められなくて...勝手についていっちゃいました...」


 今にも泣き出しそうに俯くアスタの頭に、ぽんと大きな手が置かれた。
 
 ノランだった。ノランは深くため息をつきつつも、安心したように目を細めてアスタの頭を優しく撫でた。


「怪我がないなら、まずはよかった。...でもね、アスタ。お兄ちゃんだからこそ、危険なときは大人を頼らなきゃダメだぞ。次からは絶対に勝手に出ちゃダメだ」


「...はい! ごめんなさい、父上...!」


 ミルカに怒られて半泣きになっていたカノンだったが、ぐっと涙を拭うと、両手でタンポポの体を抱え上げて前に突き出した。


「で、でもねっ...お母様! お名前が決まったの! この子は『タンポポ』で、オルタのは『スミレ』よ!」

「...え?」


 ミルカとエレアノーリエは一瞬呆気にとられ、それから子供たちの足元と、そこにいる二匹の魔犬を見つめた。

 純白の毛並みに、気品ある紫の筋。穏やかで賢そうな瞳をした魔犬――『スミレ』
 
 漆黒の毛並みに、太陽のような黄金の筋。元気に尻尾を振る魔犬――『タンポポ』

 二匹の毛皮の模様と、それぞれの性格。そして路地の隅に咲く野の花を見比べた大人たちは、ハッと息を呑み、次いで顔を見合わせたた。


「...スミレと、タンポポ...」


レオンがぽつりと呟き、それから破顔した。


「ふっ...あはは! 参ったな、ピッタリの名前じゃないか!俺たちも考えてたってのに!」

「本当に...。毛色にも、その子の雰囲気にも、よく似合っていますわね」


 エレアノーリエも呆れ顔から一転、苦笑いを浮かべて優しく微笑んだ。

 ミルカも目角を緩め、しゃがみ込んでカノンとタンポポの頭をまとめて撫でまわした。


「全く、手のかかるおてんば娘ですこと。でも...とっても素敵な名前ね、カノン、オルタ」

「...うん!」


 お説教の嵐が去り、子供たちの顔にパッと明るい笑顔が戻った。

――――――――――――――――――――――――――――――

 帰り道、ベイスの街道はすっかり美しいオレンジ色の夕焼けに染まっていた。

 アスタは父ノランと手を繋ぎ、その反対側には誇らしげにあるく友犬シオンがぴったりと寄り添っている。

 オルタは母ミルカの手を握りながら、大事そうに抱えた図鑑の隣で歩く友犬スミレと、時折目を合わせて小さな微笑みを交わしていた。

 そしてカノンは、父レオンの肩の上に首を回して抱っこされながら、下を元気に追いかけてくる友犬タンポポに向かって楽しそうに話しかけている。


「ねえタンポポ! 明日からはもっと遠くまで走るわよ!」

「わふんっ!」
『俺たちならどこまでも行けるなっ!』

「あっ!すごい!犬の言葉がわかったわ!」


 賑やかな子供たちの声と、魔犬たちの頼もしい鳴き声が、夕暮れの街並みに溶けていく。

 人間の兄弟と、魔犬の兄弟。

 まだ小さく愛おしい彼らの足跡は、これからも共に寄り添い合いながら、この温かな魔法都市の中に、どこまでも深く刻まれていくのだった。

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町の小さなお守り魔女と、言葉を紡ぐ金の犬〜不老幼女の大魔女、人間の言葉を喋る魔犬たちと暮らしていたら、魔法都市ができていました~作者:あづみ
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