ホーム町の小さなお守り魔女と、言葉を紡ぐ金の犬〜不老幼女の大魔女、人間の言葉を喋る魔犬たちと暮らしていたら、魔法都市ができていました~第三十一話 「魔犬の酒」と、農犬ギルドの奮闘
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第三十一話 「魔犬の酒」と、農犬ギルドの奮闘

 霊峰ヴァルグヴェルドの深い山に佇む、大魔女モルガナの館。そこには人の言葉を解し、魔法を操る誇り高き『魔犬(クーシー)』たちが数百年の年月を共に暮らしていた。

 ある日、麓のベイスの町に住む、少年ノランと金の魔犬ブランが出会い、やがて故郷の町を守るため大魔女と契約を交わした少年レオンは、白銀の魔犬クゥとともに「町へ降りる魔犬たちの世話役」としての歩みを始める。

 宮廷で孤独を抱えていた第三王女エレアノーリエは、ノランやモルガナとの出会いを経て成長し、やがてノランと絆を結んでベイスの町の領主となり、人と魔犬が共に笑い合う「魔法都市」の礎を築いていく――。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ベイスの町が「魔法都市」としての産声を上げ、人間と魔犬の共生が当たり前の光景となってから、久しい月日が流れていた。

 町を歩けば、荷車を牽く力持ちの大型犬や、給仕を手伝う器用な子犬たちの姿があちこちで見られる。そして町の郊外に広がるのどかな田園地帯にも、人間たちの暮らしに寄り添い、精を出す魔犬たちの姿があった。


「よしっ、ここの区画の土起こしは完了だ! 次は南側の畑の風通しを良くするぞ!」

「シュパ、そっちの畝はもう少し土をふかふかに耕すんだぞ。土魔法の加減は優しくな!」


 農家に住み着き、農作業を手伝うようになった彼らは、いつしか自然発生的なネットワークを構築していた。それが『農犬(のうけん)ギルド』である。

 彼らは日頃から、どの畑の土質が良いか、明日の天候はどう変化するかといった情報交換を鼻を付き合わせて密に行い、収穫期には自慢の作物を持ち寄って「うちのトマトは今年よくできたんだ!少しあげるよ!」と「わりぃな!そんじゃあうちのジャガイモを交換しよう!」と楽しそうにおすそ分けをし合っていた。

 そんな農犬ギルドの代表格を務めるのが、淡い麦色の毛並みを持つ魔犬・コムギであった。

 コムギは非常に熱心で几帳面な性格であり、毎日の日誌付けや土壌チェックを欠かさない、まさに農犬たちの頼れるリーダーである。

 ある日の夕暮れ。農犬ギルドの集会所に、一包みの小さな荷物が持ち込まれた。

 それは、南方辺境伯である第二王子ラインハルトの治める「南の辺境伯地」を経由し、エレアノーリエが治めるコードリア領――ベイスの町へ、ごく少量のみもたらされた超高級品、異国の嗜好植物『アニス』であった。

 かつて山の館で、南の地で暮らす魔犬シアラグナから贈られ、魔犬たちをことごとく夢心地の宴へと誘った伝説の香草である。


「う、うわあぁ...! これがあのアニスか...!?」


 袋の口がわずかに開いた瞬間、ふわりと広がったのは、甘くスパイシーで、どこか懐かしく胸を揺さぶるエキゾチックな香りだった。

 集まっていた農犬たちが一斉に耳をピンと立て、鼻をヒクヒクとさせる。


「くぅ~ん...思い出すなぁ。あの、体が雲の上に乗ったみたいな幸せな気持ち...」

「人間の飲む『極上の酒』みたいなもんだろ? 僕たち犬にとっては最高の贅沢だよ...!」


 一嗅ぎしただけで、あちこちで「クゥ〜ン」と腰を抜かす者が続出する。

 しかし、コムギはきりりと表情を引き締めると、前脚でアニスの袋を慎重に閉じた。


「浮かれるのはまだ早い! このアニスは南の港町から遥々運ばれてきた超高級品。人間側の商人たちも必死に買い溜めしようとしているくらい、手に入らない代物なんだぞ!」

「えぇーっ、じゃあ僕たちはたまに匂いを嗅ぐだけで我慢しなきゃいけないの?」


 農犬ギルド犬の一匹シュパが、悲しそうに耳を垂らした。コムギは誇らしげに胸を張り、キリッとした瞳で仲間たちを見回した。


「だからこそさ! 僕たち農犬ギルドの出番ってもんよ!この貴重なアニスの種を山の館からこっそり分けてもらった。自分たちの手で栽培して自給自足できれば、仲間みんなで気兼ねなく、いつでもこの幸せを味わえるはずだ!」

『おおおーーーーっ!!』


 農犬ギルドの歓声が、夕暮れの畑に響き渡った。こうして、魔犬たちによる「アニス国産化プロジェクト」が静かに幕を開けたのだった。

――――――――――――――――――――――――――――――

 しかし、現実はそう甘くはなかった。


「大切なアニスを絶対に枯らすわけにはいかねぇぞ!」


 コムギの指揮のもと、農犬ギルドは持てる技術のすべてを注ぎ込んだ。

 農家たちに粘り強く交渉し、一番日当たりの良い超一流の特設畑を用意し。土魔法に長けた魔犬たちがふかふかの栄養満点な土壌を作り上げる。毎朝毎晩、決まった時間に水魔法で新鮮な水をたっぷり注ぎ込み、雑草一本見逃さない徹底管理を行った。

 人間以上の几帳面さと愛情を注ぎ、まさに至れり尽くせりの大名暮らしのような環境を整えたのである。

 ところが――。


「う、嘘だろ...芽が出たと思ったら、黄色く腐って倒れてる...!?」

「こっちの株は育ってるけど、香りが全然しない...ただの雑草みたいだ...」


 結果は無惨な連敗であった。

 芽吹いてもすぐに根腐れを起こすか、奇跡的に育ってもあの芳醇で甘い香りは欠片もなく、ひょろひょろとした弱々しい草にしかならないのだ。


「どうしてだ...あんなに毎日欠かさず水をやって、一番良い土を用意したのに...」


 数期が経過し、失敗続きで畑に伏せ込む農犬たち。いつもは気丈で男らしいコムギも耳を力無く垂らし、肩を落としていた。


「やっぱり、南の遠い異国の気候でしか育たない『幻の植物』なのかもしれん...俺たちの手には負えない代物ってわけだ...」


 そんな重苦しい雰囲気が漂う中、事件は起きた。

 農犬の一匹であるシュパが、他の農家の緊急の手伝い――大豊作となったジャガイモの収穫補助に追われ、自分が担当していた端っこの試作区画へ戻れなくなってしまったのだ。


「はっ...! や、やばい!!」


 数日後、作業を終えたシュパは青ざめた顔で試作畑へと駆け出した。


「どうしよう、どうしよう! 水やりを三日も忘れちゃった! コムギ代表に怒られる...いや、それよりアニスが枯れちゃうよ~! ごめんなさい、ごめんなさい...!」


 半ば泣きそうになりながら、カラカラに乾いた最悪の区画へ飛び込んだシュパ。

 しかし、そこで彼の足を止めたのは、怒声でも枯れ果てた茎でもなかった。


「...ん? なにこの、すごいいい匂い...?」


 風に乗って鼻腔を突いたのは、これまでの失敗作とは比べ物にならない、あまりにも濃密で甘く、力強いアニスの香りだった。

 シュパが目を見開いて足元を見ると、そこには水をもらえず放置され、土がひび割れるほど乾燥した場所で、青々と力強く葉を広げ、極上の香りを放つ見事なアニスが生い茂っていたのである!


「キャ、キャンッ!? コムギ代表ー! みんなー! 大変だーーっ!」


 シュパの悲鳴のような呼び出しで駆けつけた農犬ギルドの面々は、その光景に言葉を失った。


「な、なんだこれは...! 水分が全然ない土なのに、どうしてこんなに立派に...!?」


 コムギはハッと息を飲み、自身の知識とアニスの原産地――南方のさらに遠くにある乾燥地帯の情報を照らし合わせた。


「そうか...! アニスはもともと、雨が滅多に降らない厳しい乾燥地帯の植物だ! 俺たちは『大切だから』と過保護にしすぎて、水を与えすぎて根腐れさせていたんだよ!」

「過保護が原因だったなんて...! じゃあ、放置されたほうが元気に育つってこと!?」


 シュパが目を見開く。


「そうだ! 厳しく育てて水分量を極限まで絞ることで、植物自体が生き残ろうとして香りの成分をギュッと凝縮させるんだ!」


 勝因が判明した農犬ギルドの動きは迅速だった。

 水やりを最小限に抑え、水はけの良い砂交じりの土壌を再現。日光をたっぷりと当てる水分制限栽培法を確立した彼らは、ついにベイスの町でのアニス量産化に大成功を果たしたのである。

――――――――――――――――――――――――――――――

「国産アニスの収穫だーーっ!」


 畑一面に広がる緑の葉と、町中に漂う甘い香りに、魔犬たちは大歓喜した。

 農犬ギルドはすぐさま、町や山で暮らす仲間たちの元へ収穫したアニスの配給を開始した。

 しかし、大成功の余韻に浸っていたコムギたちの元へ、意外な「現場の声」が届き始める。


「コムギ、このアニスも旨いんだが...ちょっと爽やかすぎる。俺ぁはもっと、こう...ガツンと鼻に来るような重くて熟成された香りが好きなんだよ」


 そう語ったのは、山奥で暮らす年配の渋い大型魔犬だった。


「えっ? 僕は逆だよ! 重すぎる香りはクラクラしちゃうから、すっきりフルーティーで、後味にほのかな甘みが残るくらいが一番好きなのに!」


 町のカフェで接客を手伝う若い魔犬は、そう主張する。さらに職人街で一日中ハンマーを振るっている鍛冶屋の魔犬たちからは、仕事の合間に頭をすっきりさせたいから甘さよりも目が覚めるようなシャープでスパイシーな乾燥葉が欲しい、という要望まで飛び出した。

 配給を進めるうちに判明したのは、魔犬たちの嗜好が驚くほど多種多様であるという事実だった。

 人間がお酒の銘柄や辛口・甘口にこだわるように、魔犬たちもまた、年齢や職種、その日の気分によってアニスの好みが全く異なっていたのである。


「みんな、せっかく自給自足できたのに、好みに合わないものを押し付けるわけにはいかない...」


 几帳面なコムギの職人魂に火がついた


「農犬ギルドの真価を見せるのはここからだ!あいつらの好みに合わせたオーダーメイド栽培、やってやろうじゃねぇか!」

 ここから、農犬たちの更なる変態的とも言える試行錯誤が始まった。

 彼らは栽培エリアを細分化し、日照時間を人工的に調整しながら、与える水の量を極小の単位で変化させた。さらに収穫後の加工工程に着目した彼らは、天日干しや日陰干し、さらには保管環境による熟成速度の違いを徹底的に研究し始める。

 燦々と降り注ぐ直射日光のもとで乾燥させた葉は、頭がシャキッとするような鋭くスパイシーな香りを生み出し、鍛冶屋などの職犬たちに重宝された。

 一方で、風通しの良い日陰でじっくりと時間をかけて干した葉は、ほのかな甘みとフルーティーな香気が残り、若い魔犬や初心者にも親しみやすい仕上がりとなった。

 そして、木樽に詰めて数ヶ月間保管し熟成させたアニスは、重厚で深みのある濃厚な香気を放ち、年配の魔犬たちがまるで極上のウイスキーを楽しむかのようにうっとりと嗜む逸品へと化けたのである。


「すごい...収穫の仕方や乾かし方を少し変えるだけで、香りも効き目も全く違うものになる...!」


 シュパたちも目を輝かせながら、一株一株丁寧に仕分けを行っていく。

 こうして農犬ギルドは、ただの農業お手伝い集団を超え、魔犬たちの好みを熟知した極上アニス栽培チームへと進化を遂げたのであった。

――――――――――――――――――――――――――――――

「...ふふふっこれは確かに...凄い大儲けの予感がするね!」


 農犬ギルドの集会所に、ぬかりない足取りで現れたのは、首に上質なシルクのバンダナを巻いた魔犬――『商犬(しょうけん)ギルド』の代表四匹であった。

 商犬ギルドとは、ベイスの町の市場や流通に精通し、人間側の商人とも対等に渡り合う、ビジネス感度の極めて高い魔犬たちの組織である。


「ハルコ屋の四兄弟か...商犬ギルドが僕たちの畑に何か用かい?」

 警戒気味に尋ねるコムギに対し、商犬の代表はふりふりと尻尾を振って、四匹で代わる代わる話してみせた。

「コムギさん、素晴らしい栽培技術だね!でも、せっかくの最高の品も、ただ配るだけじゃ『市場』の混乱を招くってもんだよ」

「噂を聞きつけた人間側の商人や、投機目的の奴らが買い占めようと狙っているのを知っているかい?」


「なっ...! 僕たちのアニスを奪おうとしているのか!?」


「そうなんだよ...!南からの輸入はとっても少ない。国産アニスの価値は人間にとっても金以上の重みがあるんだ。」

「だからこそ提案だよ!オイラたち商犬ギルドと手を組んで、このアニスを魔犬たちの健全な文化・娯楽として守ろうじゃないか!」


 商犬ギルドの提示した戦略は、きわめて合理的で隙のないものだった。

 まず彼らは、単なる乾燥葉として無造作に流通させるのではなく、香りや効能ごとに名称を設けてブランド化した。

 爽やかな朝の目覚めに相応しいスパイシーな品には『できる犬の嗜みブレンド』、休日ののどかな時間に寄り添う優しい香りには『爽やかな朝焼けブレンド』、そして熟成された重厚な香りで贅沢な酔いをもたらす逸品には『幸せの夕陽熟成ブレンド』といった具合である。

 さらに、魔犬たちがどこへでも持ち歩けるように工夫を凝らした。可愛い布製の袋に香りを閉じ込めた専用サシェや、作業の合間に噛み締めることでじわじわと甘みと効能が広がるスティック状の加工品を開発し、共同で製品化を進めたのだ。

 そして何より重要だったのが、市場の管理と外部流出の防波堤となることだった。

 商犬ギルドは、魔犬たちが日常のお手伝いで得る僅かな報酬でも無理なく手に入るよう適正価格を設定し、人間側の商人が介入して価格を吊り上げたり、買い占めたりできないように厳重な流通ルートを構築したのである。


「オイラたちが流通と買占め防止の壁になるよ!農犬ギルドの皆は、美味しいアニスの栽培だけに集中してくれ!」

 商犬の言葉に、コムギは力強く頷いた。

「頼もしい! よろしく頼む!」


 農犬ギルドの圧倒的な生産技術と、商犬ギルドの鋭い商才。二つのギルドが手を取り合ったことで、高嶺の花だったアニスは、外部の欲望から完全に守られた「魔犬たちの平和な文化」として確立されたのである。

――――――――――――――――――――――――――――――

 その頃、ベイスの町にある人間側の『商人ギルド本部』の一室では、重苦しいため息が落ちていた。


「...で? 例の『アニス』の件はどうなったんだ?」


 立派な髭を蓄えた商人ギルドの幹部の一人が、デスクを叩きながら部下に問い詰める。


「は、はい...。南の領地から入ってくる少量のアニスを我がギルドで高値で買い占め、それを切り札にして魔犬たちに『欲しいなら我々の言い値で労働を提供しろ』と優位な交渉を進める計画でしたが...」

「でしたが、なんだ!?」

「す、すでに魔犬たちが自分たちの畑で国内栽培に成功しており...しかも、商犬ギルドの手によって完璧な流通ルートと管理体制が敷かれておりました...!」

「な、なんだと気!? あの熱帯の香草を、ベイスの気候で栽培したというのか!?」


 幹部は目を見開いて絶句した。


「ええ...なんでも水分制限栽培とかいう独自のノウハウを確立したそうで...。さらに彼らは、個体ごとの好みに合わせたブレンドサシェや噛みエゴマスティックまで商品化しており、人間側が介入する隙など、一微塵もございません...!」


 同じ頃、領主館の執務室でも――。


「...はぁ。またしても、あの子たちにやられてしまいましたわね」


 領主エレアノーリエは、報告書を手に持ちながら、可笑しそうに、そしてちょっぴり悔しそうに溜息をついていた。


「エレア様、アニスの独占失敗ですか?」


 お茶を運んできたノランが尋ねると、エレアノーリエは口元を綻ばせた。


「ええ。南のラインハルト兄様から入るアニスの利権を少し分けてもらい、他領との交渉で優位に立とうと企んでいたのですが...」

「いえ、魔犬たちにも一定量確保するつもりでしたのよ?しかし、輸入品の希少性確保どころか...魔犬たちの方が質の良いものを大量に持っている今、人間同士の交渉も空虚になるますわね」

「ははは...流石はモルガナ様に育てられた魔犬たちですね。たくましいなぁ」

「本当ですわ。誰に似たのかしら、あんなに賢くて抜け目がないなんて!」


 エレアノーリエはプンプンと可愛らしく怒ってみせたが、その表情はどこか誇らしげでもあった。

 ぽかぽかと暖かい、午後の日差しが注ぐベイスの町の広場。

 芝生の上では、職人街での仕事を終えた大型犬や、農作業の合間に休憩を取る農犬たちが、思い思いに日向ぼっこを楽しんでいた。


「ふぅ...今日の仕事終わりの『幸せの夕陽ブレンド』は最高だ...」


 若犬は、自分用にオーダーメイドされた専用サシェを前脚で大事そうに抱え込み、鼻先を寄せてフシューッと深く息を吸い込んだ。


「...くぅ~ん...」


 次の瞬間、とろんと目が揺れ、ふにゃふにゃと幸せそうに芝生の上をゴロゴロと転がり始める。

 隣では、渋い老魔犬が熟成樽仕込みのアニススティックを優雅に噛み締めながら、「む...今日の仕上がりは実に深いな」と満足げに目を細めていた。


「コムギ代表、大成功だったね!」

「おう!みんながこんなに喜んでくれて、頑張った甲斐があったってもんだ!」


 遠くからその光景を眺めながら、コムギとシュパは嬉しそうに尻尾を振った。

 人間側が企んでいた大人の都合や利権の争いなど、彼らにはどこ吹く風。

 自分たちの手で育て上げた小さな緑の葉は、今日もしあわせな香りを漂わせながら、人と魔犬が暮らす温かな街角を、優しく包み込んでいくのであった。

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第三十二話 魔犬郵便駐在犬と、背伸びな嗜み
町の小さなお守り魔女と、言葉を紡ぐ金の犬〜不老幼女の大魔女、人間の言葉を喋る魔犬たちと暮らしていたら、魔法都市ができていました~作者:あづみ
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第三十一話 「魔犬の酒」と、農犬ギルドの奮闘

 霊峰ヴァルグヴェルドの深い山に佇む、大魔女モルガナの館。そこには人の言葉を解し、魔法を操る誇り高き『魔犬(クーシー)』たちが数百年の年月を共に暮らしていた。

 ある日、麓のベイスの町に住む、少年ノランと金の魔犬ブランが出会い、やがて故郷の町を守るため大魔女と契約を交わした少年レオンは、白銀の魔犬クゥとともに「町へ降りる魔犬たちの世話役」としての歩みを始める。

 宮廷で孤独を抱えていた第三王女エレアノーリエは、ノランやモルガナとの出会いを経て成長し、やがてノランと絆を結んでベイスの町の領主となり、人と魔犬が共に笑い合う「魔法都市」の礎を築いていく――。

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 ベイスの町が「魔法都市」としての産声を上げ、人間と魔犬の共生が当たり前の光景となってから、久しい月日が流れていた。

 町を歩けば、荷車を牽く力持ちの大型犬や、給仕を手伝う器用な子犬たちの姿があちこちで見られる。そして町の郊外に広がるのどかな田園地帯にも、人間たちの暮らしに寄り添い、精を出す魔犬たちの姿があった。


「よしっ、ここの区画の土起こしは完了だ! 次は南側の畑の風通しを良くするぞ!」

「シュパ、そっちの畝はもう少し土をふかふかに耕すんだぞ。土魔法の加減は優しくな!」


 農家に住み着き、農作業を手伝うようになった彼らは、いつしか自然発生的なネットワークを構築していた。それが『農犬(のうけん)ギルド』である。

 彼らは日頃から、どの畑の土質が良いか、明日の天候はどう変化するかといった情報交換を鼻を付き合わせて密に行い、収穫期には自慢の作物を持ち寄って「うちのトマトは今年よくできたんだ!少しあげるよ!」と「わりぃな!そんじゃあうちのジャガイモを交換しよう!」と楽しそうにおすそ分けをし合っていた。

 そんな農犬ギルドの代表格を務めるのが、淡い麦色の毛並みを持つ魔犬・コムギであった。

 コムギは非常に熱心で几帳面な性格であり、毎日の日誌付けや土壌チェックを欠かさない、まさに農犬たちの頼れるリーダーである。

 ある日の夕暮れ。農犬ギルドの集会所に、一包みの小さな荷物が持ち込まれた。

 それは、南方辺境伯である第二王子ラインハルトの治める「南の辺境伯地」を経由し、エレアノーリエが治めるコードリア領――ベイスの町へ、ごく少量のみもたらされた超高級品、異国の嗜好植物『アニス』であった。

 かつて山の館で、南の地で暮らす魔犬シアラグナから贈られ、魔犬たちをことごとく夢心地の宴へと誘った伝説の香草である。


「う、うわあぁ...! これがあのアニスか...!?」


 袋の口がわずかに開いた瞬間、ふわりと広がったのは、甘くスパイシーで、どこか懐かしく胸を揺さぶるエキゾチックな香りだった。

 集まっていた農犬たちが一斉に耳をピンと立て、鼻をヒクヒクとさせる。


「くぅ~ん...思い出すなぁ。あの、体が雲の上に乗ったみたいな幸せな気持ち...」

「人間の飲む『極上の酒』みたいなもんだろ? 僕たち犬にとっては最高の贅沢だよ...!」


 一嗅ぎしただけで、あちこちで「クゥ〜ン」と腰を抜かす者が続出する。

 しかし、コムギはきりりと表情を引き締めると、前脚でアニスの袋を慎重に閉じた。


「浮かれるのはまだ早い! このアニスは南の港町から遥々運ばれてきた超高級品。人間側の商人たちも必死に買い溜めしようとしているくらい、手に入らない代物なんだぞ!」

「えぇーっ、じゃあ僕たちはたまに匂いを嗅ぐだけで我慢しなきゃいけないの?」


 農犬ギルド犬の一匹シュパが、悲しそうに耳を垂らした。コムギは誇らしげに胸を張り、キリッとした瞳で仲間たちを見回した。


「だからこそさ! 僕たち農犬ギルドの出番ってもんよ!この貴重なアニスの種を山の館からこっそり分けてもらった。自分たちの手で栽培して自給自足できれば、仲間みんなで気兼ねなく、いつでもこの幸せを味わえるはずだ!」

『おおおーーーーっ!!』


 農犬ギルドの歓声が、夕暮れの畑に響き渡った。こうして、魔犬たちによる「アニス国産化プロジェクト」が静かに幕を開けたのだった。

――――――――――――――――――――――――――――――

 しかし、現実はそう甘くはなかった。


「大切なアニスを絶対に枯らすわけにはいかねぇぞ!」


 コムギの指揮のもと、農犬ギルドは持てる技術のすべてを注ぎ込んだ。

 農家たちに粘り強く交渉し、一番日当たりの良い超一流の特設畑を用意し。土魔法に長けた魔犬たちがふかふかの栄養満点な土壌を作り上げる。毎朝毎晩、決まった時間に水魔法で新鮮な水をたっぷり注ぎ込み、雑草一本見逃さない徹底管理を行った。

 人間以上の几帳面さと愛情を注ぎ、まさに至れり尽くせりの大名暮らしのような環境を整えたのである。

 ところが――。


「う、嘘だろ...芽が出たと思ったら、黄色く腐って倒れてる...!?」

「こっちの株は育ってるけど、香りが全然しない...ただの雑草みたいだ...」


 結果は無惨な連敗であった。

 芽吹いてもすぐに根腐れを起こすか、奇跡的に育ってもあの芳醇で甘い香りは欠片もなく、ひょろひょろとした弱々しい草にしかならないのだ。


「どうしてだ...あんなに毎日欠かさず水をやって、一番良い土を用意したのに...」


 数期が経過し、失敗続きで畑に伏せ込む農犬たち。いつもは気丈で男らしいコムギも耳を力無く垂らし、肩を落としていた。


「やっぱり、南の遠い異国の気候でしか育たない『幻の植物』なのかもしれん...俺たちの手には負えない代物ってわけだ...」


 そんな重苦しい雰囲気が漂う中、事件は起きた。

 農犬の一匹であるシュパが、他の農家の緊急の手伝い――大豊作となったジャガイモの収穫補助に追われ、自分が担当していた端っこの試作区画へ戻れなくなってしまったのだ。


「はっ...! や、やばい!!」


 数日後、作業を終えたシュパは青ざめた顔で試作畑へと駆け出した。


「どうしよう、どうしよう! 水やりを三日も忘れちゃった! コムギ代表に怒られる...いや、それよりアニスが枯れちゃうよ~! ごめんなさい、ごめんなさい...!」


 半ば泣きそうになりながら、カラカラに乾いた最悪の区画へ飛び込んだシュパ。

 しかし、そこで彼の足を止めたのは、怒声でも枯れ果てた茎でもなかった。


「...ん? なにこの、すごいいい匂い...?」


 風に乗って鼻腔を突いたのは、これまでの失敗作とは比べ物にならない、あまりにも濃密で甘く、力強いアニスの香りだった。

 シュパが目を見開いて足元を見ると、そこには水をもらえず放置され、土がひび割れるほど乾燥した場所で、青々と力強く葉を広げ、極上の香りを放つ見事なアニスが生い茂っていたのである!


「キャ、キャンッ!? コムギ代表ー! みんなー! 大変だーーっ!」


 シュパの悲鳴のような呼び出しで駆けつけた農犬ギルドの面々は、その光景に言葉を失った。


「な、なんだこれは...! 水分が全然ない土なのに、どうしてこんなに立派に...!?」


 コムギはハッと息を飲み、自身の知識とアニスの原産地――南方のさらに遠くにある乾燥地帯の情報を照らし合わせた。


「そうか...! アニスはもともと、雨が滅多に降らない厳しい乾燥地帯の植物だ! 俺たちは『大切だから』と過保護にしすぎて、水を与えすぎて根腐れさせていたんだよ!」

「過保護が原因だったなんて...! じゃあ、放置されたほうが元気に育つってこと!?」


 シュパが目を見開く。


「そうだ! 厳しく育てて水分量を極限まで絞ることで、植物自体が生き残ろうとして香りの成分をギュッと凝縮させるんだ!」


 勝因が判明した農犬ギルドの動きは迅速だった。

 水やりを最小限に抑え、水はけの良い砂交じりの土壌を再現。日光をたっぷりと当てる水分制限栽培法を確立した彼らは、ついにベイスの町でのアニス量産化に大成功を果たしたのである。

――――――――――――――――――――――――――――――

「国産アニスの収穫だーーっ!」


 畑一面に広がる緑の葉と、町中に漂う甘い香りに、魔犬たちは大歓喜した。

 農犬ギルドはすぐさま、町や山で暮らす仲間たちの元へ収穫したアニスの配給を開始した。

 しかし、大成功の余韻に浸っていたコムギたちの元へ、意外な「現場の声」が届き始める。


「コムギ、このアニスも旨いんだが...ちょっと爽やかすぎる。俺ぁはもっと、こう...ガツンと鼻に来るような重くて熟成された香りが好きなんだよ」


 そう語ったのは、山奥で暮らす年配の渋い大型魔犬だった。


「えっ? 僕は逆だよ! 重すぎる香りはクラクラしちゃうから、すっきりフルーティーで、後味にほのかな甘みが残るくらいが一番好きなのに!」


 町のカフェで接客を手伝う若い魔犬は、そう主張する。さらに職人街で一日中ハンマーを振るっている鍛冶屋の魔犬たちからは、仕事の合間に頭をすっきりさせたいから甘さよりも目が覚めるようなシャープでスパイシーな乾燥葉が欲しい、という要望まで飛び出した。

 配給を進めるうちに判明したのは、魔犬たちの嗜好が驚くほど多種多様であるという事実だった。

 人間がお酒の銘柄や辛口・甘口にこだわるように、魔犬たちもまた、年齢や職種、その日の気分によってアニスの好みが全く異なっていたのである。


「みんな、せっかく自給自足できたのに、好みに合わないものを押し付けるわけにはいかない...」


 几帳面なコムギの職人魂に火がついた


「農犬ギルドの真価を見せるのはここからだ!あいつらの好みに合わせたオーダーメイド栽培、やってやろうじゃねぇか!」

 ここから、農犬たちの更なる変態的とも言える試行錯誤が始まった。

 彼らは栽培エリアを細分化し、日照時間を人工的に調整しながら、与える水の量を極小の単位で変化させた。さらに収穫後の加工工程に着目した彼らは、天日干しや日陰干し、さらには保管環境による熟成速度の違いを徹底的に研究し始める。

 燦々と降り注ぐ直射日光のもとで乾燥させた葉は、頭がシャキッとするような鋭くスパイシーな香りを生み出し、鍛冶屋などの職犬たちに重宝された。

 一方で、風通しの良い日陰でじっくりと時間をかけて干した葉は、ほのかな甘みとフルーティーな香気が残り、若い魔犬や初心者にも親しみやすい仕上がりとなった。

 そして、木樽に詰めて数ヶ月間保管し熟成させたアニスは、重厚で深みのある濃厚な香気を放ち、年配の魔犬たちがまるで極上のウイスキーを楽しむかのようにうっとりと嗜む逸品へと化けたのである。


「すごい...収穫の仕方や乾かし方を少し変えるだけで、香りも効き目も全く違うものになる...!」


 シュパたちも目を輝かせながら、一株一株丁寧に仕分けを行っていく。

 こうして農犬ギルドは、ただの農業お手伝い集団を超え、魔犬たちの好みを熟知した極上アニス栽培チームへと進化を遂げたのであった。

――――――――――――――――――――――――――――――

「...ふふふっこれは確かに...凄い大儲けの予感がするね!」


 農犬ギルドの集会所に、ぬかりない足取りで現れたのは、首に上質なシルクのバンダナを巻いた魔犬――『商犬(しょうけん)ギルド』の代表四匹であった。

 商犬ギルドとは、ベイスの町の市場や流通に精通し、人間側の商人とも対等に渡り合う、ビジネス感度の極めて高い魔犬たちの組織である。


「ハルコ屋の四兄弟か...商犬ギルドが僕たちの畑に何か用かい?」

 警戒気味に尋ねるコムギに対し、商犬の代表はふりふりと尻尾を振って、四匹で代わる代わる話してみせた。

「コムギさん、素晴らしい栽培技術だね!でも、せっかくの最高の品も、ただ配るだけじゃ『市場』の混乱を招くってもんだよ」

「噂を聞きつけた人間側の商人や、投機目的の奴らが買い占めようと狙っているのを知っているかい?」


「なっ...! 僕たちのアニスを奪おうとしているのか!?」


「そうなんだよ...!南からの輸入はとっても少ない。国産アニスの価値は人間にとっても金以上の重みがあるんだ。」

「だからこそ提案だよ!オイラたち商犬ギルドと手を組んで、このアニスを魔犬たちの健全な文化・娯楽として守ろうじゃないか!」


 商犬ギルドの提示した戦略は、きわめて合理的で隙のないものだった。

 まず彼らは、単なる乾燥葉として無造作に流通させるのではなく、香りや効能ごとに名称を設けてブランド化した。

 爽やかな朝の目覚めに相応しいスパイシーな品には『できる犬の嗜みブレンド』、休日ののどかな時間に寄り添う優しい香りには『爽やかな朝焼けブレンド』、そして熟成された重厚な香りで贅沢な酔いをもたらす逸品には『幸せの夕陽熟成ブレンド』といった具合である。

 さらに、魔犬たちがどこへでも持ち歩けるように工夫を凝らした。可愛い布製の袋に香りを閉じ込めた専用サシェや、作業の合間に噛み締めることでじわじわと甘みと効能が広がるスティック状の加工品を開発し、共同で製品化を進めたのだ。

 そして何より重要だったのが、市場の管理と外部流出の防波堤となることだった。

 商犬ギルドは、魔犬たちが日常のお手伝いで得る僅かな報酬でも無理なく手に入るよう適正価格を設定し、人間側の商人が介入して価格を吊り上げたり、買い占めたりできないように厳重な流通ルートを構築したのである。


「オイラたちが流通と買占め防止の壁になるよ!農犬ギルドの皆は、美味しいアニスの栽培だけに集中してくれ!」

 商犬の言葉に、コムギは力強く頷いた。

「頼もしい! よろしく頼む!」


 農犬ギルドの圧倒的な生産技術と、商犬ギルドの鋭い商才。二つのギルドが手を取り合ったことで、高嶺の花だったアニスは、外部の欲望から完全に守られた「魔犬たちの平和な文化」として確立されたのである。

――――――――――――――――――――――――――――――

 その頃、ベイスの町にある人間側の『商人ギルド本部』の一室では、重苦しいため息が落ちていた。


「...で? 例の『アニス』の件はどうなったんだ?」


 立派な髭を蓄えた商人ギルドの幹部の一人が、デスクを叩きながら部下に問い詰める。


「は、はい...。南の領地から入ってくる少量のアニスを我がギルドで高値で買い占め、それを切り札にして魔犬たちに『欲しいなら我々の言い値で労働を提供しろ』と優位な交渉を進める計画でしたが...」

「でしたが、なんだ!?」

「す、すでに魔犬たちが自分たちの畑で国内栽培に成功しており...しかも、商犬ギルドの手によって完璧な流通ルートと管理体制が敷かれておりました...!」

「な、なんだと気!? あの熱帯の香草を、ベイスの気候で栽培したというのか!?」


 幹部は目を見開いて絶句した。


「ええ...なんでも水分制限栽培とかいう独自のノウハウを確立したそうで...。さらに彼らは、個体ごとの好みに合わせたブレンドサシェや噛みエゴマスティックまで商品化しており、人間側が介入する隙など、一微塵もございません...!」


 同じ頃、領主館の執務室でも――。


「...はぁ。またしても、あの子たちにやられてしまいましたわね」


 領主エレアノーリエは、報告書を手に持ちながら、可笑しそうに、そしてちょっぴり悔しそうに溜息をついていた。


「エレア様、アニスの独占失敗ですか?」


 お茶を運んできたノランが尋ねると、エレアノーリエは口元を綻ばせた。


「ええ。南のラインハルト兄様から入るアニスの利権を少し分けてもらい、他領との交渉で優位に立とうと企んでいたのですが...」

「いえ、魔犬たちにも一定量確保するつもりでしたのよ?しかし、輸入品の希少性確保どころか...魔犬たちの方が質の良いものを大量に持っている今、人間同士の交渉も空虚になるますわね」

「ははは...流石はモルガナ様に育てられた魔犬たちですね。たくましいなぁ」

「本当ですわ。誰に似たのかしら、あんなに賢くて抜け目がないなんて!」


 エレアノーリエはプンプンと可愛らしく怒ってみせたが、その表情はどこか誇らしげでもあった。

 ぽかぽかと暖かい、午後の日差しが注ぐベイスの町の広場。

 芝生の上では、職人街での仕事を終えた大型犬や、農作業の合間に休憩を取る農犬たちが、思い思いに日向ぼっこを楽しんでいた。


「ふぅ...今日の仕事終わりの『幸せの夕陽ブレンド』は最高だ...」


 若犬は、自分用にオーダーメイドされた専用サシェを前脚で大事そうに抱え込み、鼻先を寄せてフシューッと深く息を吸い込んだ。


「...くぅ~ん...」


 次の瞬間、とろんと目が揺れ、ふにゃふにゃと幸せそうに芝生の上をゴロゴロと転がり始める。

 隣では、渋い老魔犬が熟成樽仕込みのアニススティックを優雅に噛み締めながら、「む...今日の仕上がりは実に深いな」と満足げに目を細めていた。


「コムギ代表、大成功だったね!」

「おう!みんながこんなに喜んでくれて、頑張った甲斐があったってもんだ!」


 遠くからその光景を眺めながら、コムギとシュパは嬉しそうに尻尾を振った。

 人間側が企んでいた大人の都合や利権の争いなど、彼らにはどこ吹く風。

 自分たちの手で育て上げた小さな緑の葉は、今日もしあわせな香りを漂わせながら、人と魔犬が暮らす温かな街角を、優しく包み込んでいくのであった。

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町の小さなお守り魔女と、言葉を紡ぐ金の犬〜不老幼女の大魔女、人間の言葉を喋る魔犬たちと暮らしていたら、魔法都市ができていました~作者:あづみ
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