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第十幕 戦闘バランス崩壊、そして製作者本人登場

絶望的な空気の中、聞き覚えのある声が響く。

「助けに来たべ、梅太郎!!! さあ、共にこやつを倒すズラー!!!」

兵士である。

......ここに、どうやって来たのか。

本来なら英雄ナカシマが「下がってなさい」と言って颯爽と前に出る場面だったはずだが、筆者がそれをすっかり忘れており、結果として英雄はすでに疲れ果てていたことになっている。

「さぁ、どこからでもかかってこいズラー!!!」

兵士の号令とともに、最終決戦が始まる。

......なお、ここで兵士を中心に据えているのは、途中から愛着が湧いてしまい、ただ出したいだけの忖度である。

戦況は、開始直後から荒れ始めた。

「えー、どうしろって言うのこの状況?」

スライム大統領がぼやく。

くないきゃうが、やたら火力の強い魔法技で2回攻撃を繰り出す。その結果、生き残ったのはスライム大統領だけになってしまった。

なお攻撃回数は3回だと思い込んでストーリーを進めていたのだが、後日Sから訂正が入った。インターネットでRPGツクール3の仕様を確認したところ、敵の最大攻撃回数は、確かに2回だった。いずれにせよ理不尽な火力であることに変わりはない。

余談だが、この回数を調べていた際、主人公キャラたちも本来は二刀流で2回攻撃できる設定だったことに気づいた。どうやら「装備できません」という呪いの武器を持たせることで、それを封じていたらしい。もし当時すでに大谷翔平選手が活躍していたら、二刀流を許可していたかもしれない。

「小癪な、これで終わりだ!!!」

しかし、意外な粘りを見せたのがスライム大統領だった。

「ん?」

......スライム大統領は、ほとんどダメージを受けない。

「これで終わりだ!!!」

くないきゃうが叫び、攻撃を仕掛けるが、決定打には至らない。

「え?」

くないきゃうとスライム大統領、両者が同時に困惑する。

......スライム大統領は、魔法耐性が異常に高く、ほとんどダメージを受けない。

その代わり、スライム大統領の攻撃力も低すぎて、相手にまるでダメージが通らない。攻めても守っても決着がつかない、完全な膠着状態に突入する。

......誰も勝てない。誰も死なない。ただ時間だけが過ぎていく。挙げ句の果てに、くないきゃうが全回復魔法まで使ってくる始末である。

そしてついに、画面にはこれまで一度も登場しなかった人物が現れた。

「ごめん、ラスボス強くし過ぎて戦闘が終わらん。スライム大統領は魔法耐性が高くてダメージ喰らわないけど、攻撃力低すぎてダメージ通らん。挙げ句の果てにくないきゃうが全回復魔法使ってきて詰んだから、戦闘スキップさせて」

中2の俺、本人の登場である。

......製作者、直々に白旗を掲げる。

物語の中の誰かではなく、この物語を作った当人が、キャラクターの誰よりもはっきりと状況を諦めている。バランス調整という概念を、当時の俺たちはまだ知らなかったらしい。結局この最終決戦は、戦闘そのものではなく、製作者の匙加減によって強制的に幕を下ろされることになった。
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絶望的な空気の中、聞き覚えのある声が響く。

「助けに来たべ、梅太郎!!! さあ、共にこやつを倒すズラー!!!」

兵士である。

......ここに、どうやって来たのか。

本来なら英雄ナカシマが「下がってなさい」と言って颯爽と前に出る場面だったはずだが、筆者がそれをすっかり忘れており、結果として英雄はすでに疲れ果てていたことになっている。

「さぁ、どこからでもかかってこいズラー!!!」

兵士の号令とともに、最終決戦が始まる。

......なお、ここで兵士を中心に据えているのは、途中から愛着が湧いてしまい、ただ出したいだけの忖度である。

戦況は、開始直後から荒れ始めた。

「えー、どうしろって言うのこの状況?」

スライム大統領がぼやく。

くないきゃうが、やたら火力の強い魔法技で2回攻撃を繰り出す。その結果、生き残ったのはスライム大統領だけになってしまった。

なお攻撃回数は3回だと思い込んでストーリーを進めていたのだが、後日Sから訂正が入った。インターネットでRPGツクール3の仕様を確認したところ、敵の最大攻撃回数は、確かに2回だった。いずれにせよ理不尽な火力であることに変わりはない。

余談だが、この回数を調べていた際、主人公キャラたちも本来は二刀流で2回攻撃できる設定だったことに気づいた。どうやら「装備できません」という呪いの武器を持たせることで、それを封じていたらしい。もし当時すでに大谷翔平選手が活躍していたら、二刀流を許可していたかもしれない。

「小癪な、これで終わりだ!!!」

しかし、意外な粘りを見せたのがスライム大統領だった。

「ん?」

......スライム大統領は、ほとんどダメージを受けない。

「これで終わりだ!!!」

くないきゃうが叫び、攻撃を仕掛けるが、決定打には至らない。

「え?」

くないきゃうとスライム大統領、両者が同時に困惑する。

......スライム大統領は、魔法耐性が異常に高く、ほとんどダメージを受けない。

その代わり、スライム大統領の攻撃力も低すぎて、相手にまるでダメージが通らない。攻めても守っても決着がつかない、完全な膠着状態に突入する。

......誰も勝てない。誰も死なない。ただ時間だけが過ぎていく。挙げ句の果てに、くないきゃうが全回復魔法まで使ってくる始末である。

そしてついに、画面にはこれまで一度も登場しなかった人物が現れた。

「ごめん、ラスボス強くし過ぎて戦闘が終わらん。スライム大統領は魔法耐性が高くてダメージ喰らわないけど、攻撃力低すぎてダメージ通らん。挙げ句の果てにくないきゃうが全回復魔法使ってきて詰んだから、戦闘スキップさせて」

中2の俺、本人の登場である。

......製作者、直々に白旗を掲げる。

物語の中の誰かではなく、この物語を作った当人が、キャラクターの誰よりもはっきりと状況を諦めている。バランス調整という概念を、当時の俺たちはまだ知らなかったらしい。結局この最終決戦は、戦闘そのものではなく、製作者の匙加減によって強制的に幕を下ろされることになった。
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