ホーム›神界人事部から異世界担当に配属されました。 ~元IT管理職、人口304人の辺境国家を立て直します~›十六話 お前は揺らぐな!
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挿絵AIで作った挿絵

十六話 お前は揺らぐな!

「はーい、ちょっと待ってください。テンショーン殿」

 いつの間にかシンローが俺とテンショーンの間に割って入っていた。

「お、来たなキレイーナの小間使いその四!」
「小間使いとは失礼ですねぇ......といいますか、何、僕らの勢力圏で勧誘やヘッドハンティングしてるんですか?」
「そろそろ滅亡したんじゃないか確認しに来たんだ! 俺の信者を移住させようと思ってな!」
「あてが外れて残念でしたね」
「意外と頑張ってるじゃねーか、新神(しんじん)! ターカイヨ教に誘ってるんだ!」

「ガハハハ」と笑うテンショーンに、シンローは引きつった苦笑いをする。俺たちを遠巻きに見る国民の数が、じわじわと増えてきた。恥ずかしいから帰ってほしい。

「だから、ヘッドハンティングやめてくださいって。貴重な神材(じんざい)なのに......」
「シンロー、ついでにお前も来い! 好きなだけ魔物狩りさせてやるぞ!」
「え? 好きなだけ天誅チャンス......?」
「お兄ちゃん、そこは揺れないで! 拒否して!」
「はっ......! 本能が!」
「どんだけ脳筋なの?!」
「おいおい、キレイーナは見てるくせに何もしてこねぇのか?」
「え、見てるの?」

 シンローが頷く。

「僕はキレイーナ様の要請で来たからね」
「カーッ! いつまで失恋引き摺ってんだ! もう五百年くらい経ってるだろ、いい加減立ち直れよ!」

 突如、青い空から雷が落ちる。テンショーンに直撃したはずなのに、汚れ一つないまま飄々としている。テンショーンは空を仰いだ。

「自分の年齢、自覚あるのかー? 部下たち困ってんぞー」
『お黙りなさい』

 ズガーンと、また雷が落ちる。国民が「ヒィ」と言いながら、慌てて自宅に帰っていく。

――クソ上司、荒ぶり過ぎじゃね?

『はい、君は不敬ー!』

 雷は落ちなかったが、不敬ポイントは落ちてきた。落ちてこなくていい。落とすなら米を落とせ、米!!

『シンロー、テンショーンを斬り捨てていいわよ。許可します』
「え、神も斬っていいのですか?!」

 さっと刀の柄に手を伸ばすシンローに、テンショーンは片手を出す。

「いいねぇ、やる?」
「......」

――俺が頑張って立て直そうとしている場所で、暴れ回らないで頂けますかねぇ?

「シンロー......?」
「あ、ごめんごめん、ダイチ! 血が騒いじゃって!」
「シンローは武士出身だったの?」
「違うよー」
「......どこの切り裂き魔の血筋だよ!」
「知らなくていいよ。つまらない」

 俺達が会話している間に、テンショーンはゆっくりと空に舞い上がり始めた。

「まぁ、今回はこれくらいで帰ってやるよ! お前らも、部署異動考えるといい!」

「あばよ!」と言うだけ言って、テンショーンは嵐のように去っていった。

「......なんなんだ?」
「ターカイヨ教の主神だね」
「あと、失恋五百年ってなに?」
「そのままだね。キレイーナ様は昔、ゼンラー教の主神、カッショク・ゼンラーに弄ばれた挙げ句、捨てられたんだよ」
「神様にも色恋あんの?」
「あるみたいだねぇ......」

 わざとらしく肩を竦めるシンロー。俺は空を見上げて呟く。

「五百年も引き摺ってんの......?」
(うるさーい!! 掘り返さないで!!)

(不敬ポイント五点追加!)と勢いよく言われるが、俺はなんともモヤモヤする。ユタカが心配そうに俺を見ているので、問いかけてみる。

「なぁ、主神が五百年も失恋引き摺ってたって知ってた?」
「はい......。神話として有名なので。キレイーナ様がそれで長く顕現しないのも、信者は皆知っています」
「......」

――そんな主神を信仰してて何も思わないの?!

「っていうか、神話?!」
「? えぇ、神々の話は神話として、地上で語られますよ?」
「なんというか、まぁ......」

 自分の失恋の話が大々的に信者に知られるって、結構な羞恥プレイなのではなかろうか......? なんというか、それについてはクソ上司に同情する。うん、ドンマイ。恥ずかしくて地上に降りられないのも分かるよ。

 まぁ、管理をおざなりにするのは公私混同で良くないと思うけどな!!

 どこからか(うっ!)と聞こえた気がしたが、きっと気のせいだろう。

「にしても、お兄ちゃん。もっとちゃんとしたOJTして欲しーな。俺も改宗しちゃいそう......」
「僕も仕事量もっと減らして欲しいな。仕事が多すぎて、夜しか天誅できない......」
「え、ここで昼間もしてるよね?」
「一時的にでしょ? ずっと天誅していたい。キレイーナ様?」
(......)

――おい、返事しろよ。改宗すんぞ?

(......不敬ポイント五点追加ぁ)

 雑に五点も追加すんじゃねぇ!!
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神界人事部から異世界担当に配属されました。 ~元IT管理職、人口304人の辺境国家を立て直します~作者:小島もりたか
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十六話 お前は揺らぐな!

「はーい、ちょっと待ってください。テンショーン殿」

 いつの間にかシンローが俺とテンショーンの間に割って入っていた。

「お、来たなキレイーナの小間使いその四!」
「小間使いとは失礼ですねぇ......といいますか、何、僕らの勢力圏で勧誘やヘッドハンティングしてるんですか?」
「そろそろ滅亡したんじゃないか確認しに来たんだ! 俺の信者を移住させようと思ってな!」
「あてが外れて残念でしたね」
「意外と頑張ってるじゃねーか、新神(しんじん)! ターカイヨ教に誘ってるんだ!」

「ガハハハ」と笑うテンショーンに、シンローは引きつった苦笑いをする。俺たちを遠巻きに見る国民の数が、じわじわと増えてきた。恥ずかしいから帰ってほしい。

「だから、ヘッドハンティングやめてくださいって。貴重な神材(じんざい)なのに......」
「シンロー、ついでにお前も来い! 好きなだけ魔物狩りさせてやるぞ!」
「え? 好きなだけ天誅チャンス......?」
「お兄ちゃん、そこは揺れないで! 拒否して!」
「はっ......! 本能が!」
「どんだけ脳筋なの?!」
「おいおい、キレイーナは見てるくせに何もしてこねぇのか?」
「え、見てるの?」

 シンローが頷く。

「僕はキレイーナ様の要請で来たからね」
「カーッ! いつまで失恋引き摺ってんだ! もう五百年くらい経ってるだろ、いい加減立ち直れよ!」

 突如、青い空から雷が落ちる。テンショーンに直撃したはずなのに、汚れ一つないまま飄々としている。テンショーンは空を仰いだ。

「自分の年齢、自覚あるのかー? 部下たち困ってんぞー」
『お黙りなさい』

 ズガーンと、また雷が落ちる。国民が「ヒィ」と言いながら、慌てて自宅に帰っていく。

――クソ上司、荒ぶり過ぎじゃね?

『はい、君は不敬ー!』

 雷は落ちなかったが、不敬ポイントは落ちてきた。落ちてこなくていい。落とすなら米を落とせ、米!!

『シンロー、テンショーンを斬り捨てていいわよ。許可します』
「え、神も斬っていいのですか?!」

 さっと刀の柄に手を伸ばすシンローに、テンショーンは片手を出す。

「いいねぇ、やる?」
「......」

――俺が頑張って立て直そうとしている場所で、暴れ回らないで頂けますかねぇ?

「シンロー......?」
「あ、ごめんごめん、ダイチ! 血が騒いじゃって!」
「シンローは武士出身だったの?」
「違うよー」
「......どこの切り裂き魔の血筋だよ!」
「知らなくていいよ。つまらない」

 俺達が会話している間に、テンショーンはゆっくりと空に舞い上がり始めた。

「まぁ、今回はこれくらいで帰ってやるよ! お前らも、部署異動考えるといい!」

「あばよ!」と言うだけ言って、テンショーンは嵐のように去っていった。

「......なんなんだ?」
「ターカイヨ教の主神だね」
「あと、失恋五百年ってなに?」
「そのままだね。キレイーナ様は昔、ゼンラー教の主神、カッショク・ゼンラーに弄ばれた挙げ句、捨てられたんだよ」
「神様にも色恋あんの?」
「あるみたいだねぇ......」

 わざとらしく肩を竦めるシンロー。俺は空を見上げて呟く。

「五百年も引き摺ってんの......?」
(うるさーい!! 掘り返さないで!!)

(不敬ポイント五点追加!)と勢いよく言われるが、俺はなんともモヤモヤする。ユタカが心配そうに俺を見ているので、問いかけてみる。

「なぁ、主神が五百年も失恋引き摺ってたって知ってた?」
「はい......。神話として有名なので。キレイーナ様がそれで長く顕現しないのも、信者は皆知っています」
「......」

――そんな主神を信仰してて何も思わないの?!

「っていうか、神話?!」
「? えぇ、神々の話は神話として、地上で語られますよ?」
「なんというか、まぁ......」

 自分の失恋の話が大々的に信者に知られるって、結構な羞恥プレイなのではなかろうか......? なんというか、それについてはクソ上司に同情する。うん、ドンマイ。恥ずかしくて地上に降りられないのも分かるよ。

 まぁ、管理をおざなりにするのは公私混同で良くないと思うけどな!!

 どこからか(うっ!)と聞こえた気がしたが、きっと気のせいだろう。

「にしても、お兄ちゃん。もっとちゃんとしたOJTして欲しーな。俺も改宗しちゃいそう......」
「僕も仕事量もっと減らして欲しいな。仕事が多すぎて、夜しか天誅できない......」
「え、ここで昼間もしてるよね?」
「一時的にでしょ? ずっと天誅していたい。キレイーナ様?」
(......)

――おい、返事しろよ。改宗すんぞ?

(......不敬ポイント五点追加ぁ)

 雑に五点も追加すんじゃねぇ!!
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