ホーム›神界人事部から異世界担当に配属されました。 ~元IT管理職、人口304人の辺境国家を立て直します~›十八話 お前ら……マジか!
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挿絵AIで作った挿絵

十八話 お前ら……マジか!

 教理はどんなものにしようかと考え始めて数日、食料も安定的になってきたウミノハーシ国は、子ども達が毎日のように籠いっぱいの山菜や魚介を背負って走り回っている。

「みんなの肌艶とかよくなったよなー」
「そうだな」
「そこは目が輝いているとかじゃないのかしら?」
「あー、そうだわ」

 広場の一角に準備された祭壇に座りながら、国民、というか町民を観察する。時折俺のところに人が来ては祈りを捧げたり、ユタカとか特殊な人間だとハグをしていったりする。

 国王は少し小綺麗な服を着始め、メイセキ達もあちこちから呼び出されて走り回っている。初めてこの広場に出てきた時とは全く違う光景に、少し達成感がある。

――そろそろ貨幣も欲しいよな。

 明日あたりメイセキに提案してみよう。そろそろ現物支給や物々交換を卒業してもいいのではないだろうか?

 鼻歌なんか歌ってみたりして、今日は山の見回りに行くことを決める。飛翔して行けば五分もかからない。山の裾野に降り立つと、お出迎えとばかりに蜘蛛達が足元にやってきた。わらわらと百匹くらい。神威が上がったのもあり、子分の蜘蛛たちも少し大きくなった気がする。しかし、それにしても――

「なぁ、ナースクイーン。蜘蛛、増えてね?」
「増えてるわね」
「だよな。でもお前自身は増やしてないよな」
「そうね。でも私の子ども達が産卵したりしてるから」
「あー、そう、じゃあこの子達はナースクイーンの孫?」
「孫や曾孫もいるわね」
「わーい、子沢山......。いや、ちょっと子ども達止めてくれるかな?」
「え、なんで?」

 あんぐりと口を開いてナースクイーンは俺を見る。

「いや、増えすぎだから! このままだと山が蜘蛛で埋め尽くされちゃうよ!」
「でも、せっかくあの洞窟からお引越しできたし......皆張り切っちゃって......」
「ハッスルしないで! すぐに止めて! 蜘蛛以外絶滅しちゃいそうだよ!」

「えー......」と残念そうにするナースクイーンに、俺は「止めて!」と圧力をかけ続けると、彼女はやっと了承した。しょんぼりしながら子ども達に念話で連絡してくれる。

「ダイチ、我も一つ相談がある」
「今度はロックか、なんだ?」

 ロックを見る。ロックの視線の先には三等身の姿で手を振るトロール達。その数ざっと見、五十くらい。

――ん〜。増えてね?

「え、ロック達もハッスルしたの?」
「いや、噂を聞いた同士達が仲間になっている」
「なるほど? どれくらい増えたんだ?」
「今は百五十程度だ」

 うーん、最初は五十位だったから、約三倍だねー。驚き!! いつの間にそんなに合流してんだよ?! あ、蜘蛛の数はもう考えないようにしてる。考えたら終わりと思ってる。

「......今度からさ、増えたら教えてな。メイセキとかに相談してやってもらうこと変えたりするからさ」
「わかった」

――人より魔物の方が多い国になってないか?

 もういっそ魔物の国だよな。じゃあ国王は魔王ということになるな......。まぁ、うん。マッチョマンだから似合うかもしれん。

「......はぁ」

 頭を掻く。この増加は予想していなかった。

――増えるなら人口にしてくれぇ......。

「どうしたの、ダイチ?」

 ナースクイーンが心配そうに俺の顔を覗く。

「いやぁ、こんなに皆が増えてるとは思わなくてな。どうしようかと思って」

 幸いこいつらに食料は必須ではない。趣味で狩る程度だから、山の生態系を壊すほどではない――と思いたい。

「領地を増やすのはどうだ?」
「あー......ありよりのあり?」

 ムガクを呼び出して地図を表示する。

「ちなみに今ってどれくらいなんだ?」
「今は恐らくこの程度だ」

 ロックが示したのは、伊勢志摩の地域の内湾の方から四分の一くらいの場所だった。

「まずは今の領地を完璧に安全にしてから、領地を広げた方がいいのじゃないかしら?」
「一理ある」
「確かに、安全を確保した方が、今後も国民が行動しやすくなるな......」

――シンローは天誅チャンスが減って悲しむだろうけどな。

「うわー、凄い蜘蛛!! 美味しそう!!」

 背後から甲高い声が聞こえてギョッとする。振り向くと、真っ黒で真っ直ぐな黒髪を一つ括りにした長身の女性が目を輝かせていた。

「ダイチ様! この蜘蛛たちは食用ですか?!」

 ナースクイーンを始めとした全蜘蛛が、あまりの狂気に固まった。
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神界人事部から異世界担当に配属されました。 ~元IT管理職、人口304人の辺境国家を立て直します~作者:小島もりたか
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十八話 お前ら……マジか!

 教理はどんなものにしようかと考え始めて数日、食料も安定的になってきたウミノハーシ国は、子ども達が毎日のように籠いっぱいの山菜や魚介を背負って走り回っている。

「みんなの肌艶とかよくなったよなー」
「そうだな」
「そこは目が輝いているとかじゃないのかしら?」
「あー、そうだわ」

 広場の一角に準備された祭壇に座りながら、国民、というか町民を観察する。時折俺のところに人が来ては祈りを捧げたり、ユタカとか特殊な人間だとハグをしていったりする。

 国王は少し小綺麗な服を着始め、メイセキ達もあちこちから呼び出されて走り回っている。初めてこの広場に出てきた時とは全く違う光景に、少し達成感がある。

――そろそろ貨幣も欲しいよな。

 明日あたりメイセキに提案してみよう。そろそろ現物支給や物々交換を卒業してもいいのではないだろうか?

 鼻歌なんか歌ってみたりして、今日は山の見回りに行くことを決める。飛翔して行けば五分もかからない。山の裾野に降り立つと、お出迎えとばかりに蜘蛛達が足元にやってきた。わらわらと百匹くらい。神威が上がったのもあり、子分の蜘蛛たちも少し大きくなった気がする。しかし、それにしても――

「なぁ、ナースクイーン。蜘蛛、増えてね?」
「増えてるわね」
「だよな。でもお前自身は増やしてないよな」
「そうね。でも私の子ども達が産卵したりしてるから」
「あー、そう、じゃあこの子達はナースクイーンの孫?」
「孫や曾孫もいるわね」
「わーい、子沢山......。いや、ちょっと子ども達止めてくれるかな?」
「え、なんで?」

 あんぐりと口を開いてナースクイーンは俺を見る。

「いや、増えすぎだから! このままだと山が蜘蛛で埋め尽くされちゃうよ!」
「でも、せっかくあの洞窟からお引越しできたし......皆張り切っちゃって......」
「ハッスルしないで! すぐに止めて! 蜘蛛以外絶滅しちゃいそうだよ!」

「えー......」と残念そうにするナースクイーンに、俺は「止めて!」と圧力をかけ続けると、彼女はやっと了承した。しょんぼりしながら子ども達に念話で連絡してくれる。

「ダイチ、我も一つ相談がある」
「今度はロックか、なんだ?」

 ロックを見る。ロックの視線の先には三等身の姿で手を振るトロール達。その数ざっと見、五十くらい。

――ん〜。増えてね?

「え、ロック達もハッスルしたの?」
「いや、噂を聞いた同士達が仲間になっている」
「なるほど? どれくらい増えたんだ?」
「今は百五十程度だ」

 うーん、最初は五十位だったから、約三倍だねー。驚き!! いつの間にそんなに合流してんだよ?! あ、蜘蛛の数はもう考えないようにしてる。考えたら終わりと思ってる。

「......今度からさ、増えたら教えてな。メイセキとかに相談してやってもらうこと変えたりするからさ」
「わかった」

――人より魔物の方が多い国になってないか?

 もういっそ魔物の国だよな。じゃあ国王は魔王ということになるな......。まぁ、うん。マッチョマンだから似合うかもしれん。

「......はぁ」

 頭を掻く。この増加は予想していなかった。

――増えるなら人口にしてくれぇ......。

「どうしたの、ダイチ?」

 ナースクイーンが心配そうに俺の顔を覗く。

「いやぁ、こんなに皆が増えてるとは思わなくてな。どうしようかと思って」

 幸いこいつらに食料は必須ではない。趣味で狩る程度だから、山の生態系を壊すほどではない――と思いたい。

「領地を増やすのはどうだ?」
「あー......ありよりのあり?」

 ムガクを呼び出して地図を表示する。

「ちなみに今ってどれくらいなんだ?」
「今は恐らくこの程度だ」

 ロックが示したのは、伊勢志摩の地域の内湾の方から四分の一くらいの場所だった。

「まずは今の領地を完璧に安全にしてから、領地を広げた方がいいのじゃないかしら?」
「一理ある」
「確かに、安全を確保した方が、今後も国民が行動しやすくなるな......」

――シンローは天誅チャンスが減って悲しむだろうけどな。

「うわー、凄い蜘蛛!! 美味しそう!!」

 背後から甲高い声が聞こえてギョッとする。振り向くと、真っ黒で真っ直ぐな黒髪を一つ括りにした長身の女性が目を輝かせていた。

「ダイチ様! この蜘蛛たちは食用ですか?!」

 ナースクイーンを始めとした全蜘蛛が、あまりの狂気に固まった。
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