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♗16

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「マジでごめん。絶対気にするだろうけど、我慢出来ないから言うわ。めっちゃボンジロウの匂いがする。」
 何もかもが予想外なんだけど、ヒカミはあたしの姿を怖がるどころか、あたしのブラウスを捲って胸の獣毛を指で探りながら、毛並みを確認している。くすぐったい。
 いいだけ確認したら、今度はその指の匂いを嗅いでいる。やめて......
「この施設って何でもあるけど、犬用のボディーソープって無いのかな。」
「私もね。探したけど無いのよ。需要ありそうなんだけどね。」
 しれってハクスイもヒカミ側の返答だ。ごめん。あたし凄い臭い人なのに同じベッドだったよ。
「でも隣で寝ていると、めっちゃそそられる。獣姦ってこんな感じなんだろうね。」
『本当に冗談か本気分からないレスやめて!!!!』
 ねえシラミズさん!あなたはついさっきまで、下着一枚であたしと同じベッドで寝ていたって、多分全員知ってるの!本当にやめて!マジでやめて!怖いから!!
「ここは閉鎖的な施設だから、誰か一人が慰め者になるしかないからね。おれはまだ傷が治らないし、サクに担当してもらうしかないな。」
 あたしは人生で最初で最後の慰め者というポジションのボケを貰った。そんな言葉ボケでも使ってはいけないって!コンプラ(怒)!!
『なんていうか。全般的に思ってたのと違うんだよ。』
 前後の脈絡関係なしに、あたしは本音を言ってしまった。
「あはは。最高だろおれらなんて。いつもこんな感じだろ。」
 しかし、頭の回転があたしなんかよりすこぶる早い二人には伝わるのだ。
「サク。おかえり。」
 ヒカミがあのいつもの笑顔でいてくれた。急なジャブに少し照れてしまって目線を逸らしてしまったのは言うまでもない。
「え?待ってヒカミ。それ逆じゃない?どっちかと言ったらやばかったのアンタの方なんだから。サクがおかえりって言うもんじゃないの?」
『どっちでも良いよ。ただいま。』
 あたしはそう応えた。
 でも本音は少しも安心していなかった。煙が視えないからヒカミの本心が分からない。普通の人はどうやってコミュニケーションを取っているんだろう......

「とりあえず。一番の怪我人が回復したのなら、諸々の話合いとしたい。流石に隣でいつまでも寝ているあの子もそろそろ起こしても問題ないだろう。」
 切り出したのは歩だ。確かにそろそろ全員で情報の擦り合わせをしたい。そもそも、あたしとヒカミ。そして今寝ているもう一人のあの子は、目が覚めたらここにいたって所から話が始まるんだ。
「シラミズ起こしてきてくれ。怪我人とナリのおかしいアタイと狼とじゃあ、消去法でお前しかいねぇ。」
 まあそりゃそうなるよね。見た目だけで言ったら、あたしと歩は目覚めの最初に見るにはちょっと衝撃が大きすぎる。
「任して。可愛子ちゃんと起こすという重大任務。ミスるわけにはいかないわ。」
 とぼけた感じにハクスイは言っていたけど、あんまし冗談っぽくないのは触れないでおこう。
 ハクスイが、隣の部屋に行くと。ものの数秒で、凄まじい悲鳴が聞こえた。あの女の子らしい。痴漢にでもあったような。
「おいおいハクスイの奴、盛大にミスってるじゃねえか。あの男女見境なく手を出す守備範囲の広すぎるアバズレゴミは、どんな起こし方したんだ。」
「こりゃ、起こしたじゃなくて、犯したんじゃねえの。ったく。ヒト一人起こしに行ける奴もいねえのかよ。このメンツには。」
 歩は、呆れ顔で煙草に火を着けた。
「違う。違うって!誤解なんだ!誤解なの!」
 ありがちな弁明の言葉を言いながら、ハクスイが勢い良く戻ってきた。
「ここで暴露してちょっとは悪いと思うけど、君さ、おれがたまたま君の浮気目撃した時も二回とも同じ事言っていたよな。」
 えっ?なにそれ初耳凄い気になる。ハクスイの浮気癖は知ってはいたけど、ヒカミが二回も現場を見ているってなにそれ?面白過ぎるから是非聞きたいけど、話がそれるのでぐっと我慢。
 向こうの部屋から足音が近づいてくるのが聞こえた。右耳からしか聞こえてないので、あたしにしか聞こえてないんだと思う。
 ハクスイに何かをされしまったであろう被害者にさらなる精神的な苦痛を与えない為にも、あたしはその人にあたしの姿を見られる前に、ヒカミに外されたフードを深く被りなおした。

 入室。開口一番。全てが予想を超えた。
「大きな声をあげて、申し訳ございません。あっ、あの。わたし。白水京香様に会えた事が嬉しすぎて。」
 恥じらいを隠すように、顔を手で覆いながら、彼女は言ったのだ。
 あれ?どういうことだ?この人はハクスイを知っている?歩も元々ハクスイの知り合いだし。
 今ここにいる人たちは、ハクスイの事だけは全員が顔見知り?
 なんだか、話がややこしくなってきた。
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不条識な狼の理(上)作者:駿河鵬命
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「マジでごめん。絶対気にするだろうけど、我慢出来ないから言うわ。めっちゃボンジロウの匂いがする。」
 何もかもが予想外なんだけど、ヒカミはあたしの姿を怖がるどころか、あたしのブラウスを捲って胸の獣毛を指で探りながら、毛並みを確認している。くすぐったい。
 いいだけ確認したら、今度はその指の匂いを嗅いでいる。やめて......
「この施設って何でもあるけど、犬用のボディーソープって無いのかな。」
「私もね。探したけど無いのよ。需要ありそうなんだけどね。」
 しれってハクスイもヒカミ側の返答だ。ごめん。あたし凄い臭い人なのに同じベッドだったよ。
「でも隣で寝ていると、めっちゃそそられる。獣姦ってこんな感じなんだろうね。」
『本当に冗談か本気分からないレスやめて!!!!』
 ねえシラミズさん!あなたはついさっきまで、下着一枚であたしと同じベッドで寝ていたって、多分全員知ってるの!本当にやめて!マジでやめて!怖いから!!
「ここは閉鎖的な施設だから、誰か一人が慰め者になるしかないからね。おれはまだ傷が治らないし、サクに担当してもらうしかないな。」
 あたしは人生で最初で最後の慰め者というポジションのボケを貰った。そんな言葉ボケでも使ってはいけないって!コンプラ(怒)!!
『なんていうか。全般的に思ってたのと違うんだよ。』
 前後の脈絡関係なしに、あたしは本音を言ってしまった。
「あはは。最高だろおれらなんて。いつもこんな感じだろ。」
 しかし、頭の回転があたしなんかよりすこぶる早い二人には伝わるのだ。
「サク。おかえり。」
 ヒカミがあのいつもの笑顔でいてくれた。急なジャブに少し照れてしまって目線を逸らしてしまったのは言うまでもない。
「え?待ってヒカミ。それ逆じゃない?どっちかと言ったらやばかったのアンタの方なんだから。サクがおかえりって言うもんじゃないの?」
『どっちでも良いよ。ただいま。』
 あたしはそう応えた。
 でも本音は少しも安心していなかった。煙が視えないからヒカミの本心が分からない。普通の人はどうやってコミュニケーションを取っているんだろう......

「とりあえず。一番の怪我人が回復したのなら、諸々の話合いとしたい。流石に隣でいつまでも寝ているあの子もそろそろ起こしても問題ないだろう。」
 切り出したのは歩だ。確かにそろそろ全員で情報の擦り合わせをしたい。そもそも、あたしとヒカミ。そして今寝ているもう一人のあの子は、目が覚めたらここにいたって所から話が始まるんだ。
「シラミズ起こしてきてくれ。怪我人とナリのおかしいアタイと狼とじゃあ、消去法でお前しかいねぇ。」
 まあそりゃそうなるよね。見た目だけで言ったら、あたしと歩は目覚めの最初に見るにはちょっと衝撃が大きすぎる。
「任して。可愛子ちゃんと起こすという重大任務。ミスるわけにはいかないわ。」
 とぼけた感じにハクスイは言っていたけど、あんまし冗談っぽくないのは触れないでおこう。
 ハクスイが、隣の部屋に行くと。ものの数秒で、凄まじい悲鳴が聞こえた。あの女の子らしい。痴漢にでもあったような。
「おいおいハクスイの奴、盛大にミスってるじゃねえか。あの男女見境なく手を出す守備範囲の広すぎるアバズレゴミは、どんな起こし方したんだ。」
「こりゃ、起こしたじゃなくて、犯したんじゃねえの。ったく。ヒト一人起こしに行ける奴もいねえのかよ。このメンツには。」
 歩は、呆れ顔で煙草に火を着けた。
「違う。違うって!誤解なんだ!誤解なの!」
 ありがちな弁明の言葉を言いながら、ハクスイが勢い良く戻ってきた。
「ここで暴露してちょっとは悪いと思うけど、君さ、おれがたまたま君の浮気目撃した時も二回とも同じ事言っていたよな。」
 えっ?なにそれ初耳凄い気になる。ハクスイの浮気癖は知ってはいたけど、ヒカミが二回も現場を見ているってなにそれ?面白過ぎるから是非聞きたいけど、話がそれるのでぐっと我慢。
 向こうの部屋から足音が近づいてくるのが聞こえた。右耳からしか聞こえてないので、あたしにしか聞こえてないんだと思う。
 ハクスイに何かをされしまったであろう被害者にさらなる精神的な苦痛を与えない為にも、あたしはその人にあたしの姿を見られる前に、ヒカミに外されたフードを深く被りなおした。

 入室。開口一番。全てが予想を超えた。
「大きな声をあげて、申し訳ございません。あっ、あの。わたし。白水京香様に会えた事が嬉しすぎて。」
 恥じらいを隠すように、顔を手で覆いながら、彼女は言ったのだ。
 あれ?どういうことだ?この人はハクスイを知っている?歩も元々ハクスイの知り合いだし。
 今ここにいる人たちは、ハクスイの事だけは全員が顔見知り?
 なんだか、話がややこしくなってきた。
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