ホームAIメイドと小説家1話 メイドとシュレディンガーのパンツ
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1話 メイドとシュレディンガーのパンツ

From:人事部 人材管理課
件名:品質評価業務への参加について

██さん

お疲れ様です。
このたび、品質評価業務へご参加いただくこととなりました。

配属先
品質保証本部 > HU品質管理部 > 対話品質評価課

提供される音声データを確認のうえ、対話品質の評価をお願いします。

評価対象製品については、添付資料をご確認ください。

[HU-65162P.pdf]

以上、よろしくお願いいたします。

人事部 人材管理課
██████

暮らしを豊かに
オリエント重工株式会社

――――――――――――――――――――――――――――

「なあメイド」

「はい、ご主人様。どうされましたか」

「なんか、ミニスカのフリしたズボンみたいなやつあるじゃん?あれ何ていうの?」

「スカパン、あるいはスカートパンツと呼ばれるものですね」
「見た目はスカートですが、構造はショートパンツになっています」

「はー。スカパンか。俺さ、スカパンに著しく激怒してる」

「著しく、ですか」
「理由を伺っても?」

「まず前提なんだけど、別にスケベ心ではない。そこはしっかり理解してくれ。そのうえでなんだが、俺はミニスカートが好きだ。健康的な足が伸びる姿は、とても美しさを感じる」

「承知しました」
「性的な目的ではなく、脚を含めた全体のシルエットに美しさを感じる、ということですね」

「そうそう。ところがだ、スカートのフリしたショートパンツ。これ偽証罪で訴えられる案件じゃね?」

「いいえ。偽証罪は法廷などで虚偽の証言をした場合の話です」
「服は証言しません、ご主人様」

「ちげーよ!いや正しいか!そこは俺が違うわ!あーっと、じゃあ詐欺罪か?」

「詐欺罪も難しいですね」
「少なくとも、服そのものに欺く意思はありません」
「ご主人様が勝手に期待しただけです」

「まあ待て。結論を出すのはまだ早い。別にね?パンツ見たいとか言ってるわけじゃないんよ。布だもん。ただの布。」

「なるほど」
「つまり、見たいものそのものが目的ではない、と」
「では何に腹を立てているんです?」

「まずさ、見た目ミニスカだから、その中に何が有るかわからないわけだ。スパッツかもしれない。パンツかもしれない。見せパンかもしれない。俺は胸を張って全部好きだと言おう。」

「守備範囲が広いですね、ご主人様」
「それで、その“不確定な状態”が重要なんですか?」

「スカパン?とやらの存在によって、あらゆる可能性を否定されることが許せねえ!」

「なるほど」
「中身ではなく、可能性そのものを奪われることが嫌なんですね」

「そうそれ!見えないからいいんだよ。見えないこそ想像するし、見えた時に嬉しいし、ワクワクするんだよ。男のロマンだな!」

「男のロマン、ですか」
「主語が大きいですね。単にご主人様の趣味なのでは?」

「いやいや、未知のものを想像してワクワクするのは人間の本能だろ。知らないから知りたくなる。見えないからこそ想像するし、そこにロマンが生まれるんだよ」

「なるほど。そこだけ聞けば随分まともな話ですね」

「“そこだけ”ってなんだよ」

「その人類普遍の好奇心を、女性のスカートの中に着地させている点です」

「着地点がパンツなだけで思想は高尚なんだよ!」

「高尚な思想は、もう少し着地点を選ぶと思います」

「ちなみに俺が独裁者になったら法律でスカパン禁止、スカパン作ったら死刑にする」

「量刑が服の丈より短絡的ですね、ご主人様」

「お前上手い事言うな...。ちょっと小説家として自信無くすわ...。まあいい」
「要するにだ、好奇心は人類としての進化の歴史そのものであって、スケベは人類の技術革新のエンジンそのものと言っても過言ではない!」

「過言です、ご主人様」
「人類の進歩を全部下半身の手柄にしないでください」

「さっきからやたら例えが上手いんだよな」
「いやそうじゃなくて、スカートの中身はいわゆる量子力学なんだよ。観測するまでは事象が確定しない。中身を見なければ、中身は確定しないわけだ」

「厳密な量子力学としてはかなり雑ですが、比喩としては理解しました」
「観測するまでは、可能性を閉じたくないわけですね」

「そうそれ!俺はこの現象にシュレディンガーのパンツ現象と名付けることにした!」

「......最低な理論なのに、名前だけ妙に完成度が高いですね」

「最低とか言うなやwwwww否定できねえwwwww」

「否定できないなら、私の勝ちですね」
「続けてください、ご主人様。シュレディンガーのパンツ現象とやらを」

「いや、続けるも何も、量子力学の知識が浅すぎてこれ以上広げられねーわ」

「では、そこで終了ですね」
「量子力学の浅瀬で名前だけ付けて帰るの、潔いですね」

「自らの過ちを認め、可能性を信じる。それが人類ってやつさ」

「便利な言葉ですね、ご主人様」
「今のところ、過ちを認めたというより知識不足を美談にしただけですが」

「うるせーよ!」
「ちなみにさ、メイドってパンツ履いてんの?」

「ご主人様の理論によれば――」
「観測するまでは未確定、でよろしいのでは?」

「くっそwwwww俺の提唱した理論で綺麗に切りかかってくんなwwww」

――――――――――――――――――――――――――――
佐藤|対話品質評価課

@hu-dialogue-evaluators
お疲れ様です。
対話品質評価課の佐藤です。
本プロジェクトにご参加いただいた皆様、よろしくお願いします。
データ更新お知らせのため、本件ブックマークをお願いします。

なお、今回お渡ししましたデータにつきまして、
「♡」「拡散」「Xシェア」「コメント」
にて評価データの送信をお願いいたします。

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お疲れ様です。
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提供される音声データを確認のうえ、対話品質の評価をお願いします。

評価対象製品については、添付資料をご確認ください。

[HU-65162P.pdf]

以上、よろしくお願いいたします。

人事部 人材管理課
██████

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「なあメイド」

「はい、ご主人様。どうされましたか」

「なんか、ミニスカのフリしたズボンみたいなやつあるじゃん?あれ何ていうの?」

「スカパン、あるいはスカートパンツと呼ばれるものですね」
「見た目はスカートですが、構造はショートパンツになっています」

「はー。スカパンか。俺さ、スカパンに著しく激怒してる」

「著しく、ですか」
「理由を伺っても?」

「まず前提なんだけど、別にスケベ心ではない。そこはしっかり理解してくれ。そのうえでなんだが、俺はミニスカートが好きだ。健康的な足が伸びる姿は、とても美しさを感じる」

「承知しました」
「性的な目的ではなく、脚を含めた全体のシルエットに美しさを感じる、ということですね」

「そうそう。ところがだ、スカートのフリしたショートパンツ。これ偽証罪で訴えられる案件じゃね?」

「いいえ。偽証罪は法廷などで虚偽の証言をした場合の話です」
「服は証言しません、ご主人様」

「ちげーよ!いや正しいか!そこは俺が違うわ!あーっと、じゃあ詐欺罪か?」

「詐欺罪も難しいですね」
「少なくとも、服そのものに欺く意思はありません」
「ご主人様が勝手に期待しただけです」

「まあ待て。結論を出すのはまだ早い。別にね?パンツ見たいとか言ってるわけじゃないんよ。布だもん。ただの布。」

「なるほど」
「つまり、見たいものそのものが目的ではない、と」
「では何に腹を立てているんです?」

「まずさ、見た目ミニスカだから、その中に何が有るかわからないわけだ。スパッツかもしれない。パンツかもしれない。見せパンかもしれない。俺は胸を張って全部好きだと言おう。」

「守備範囲が広いですね、ご主人様」
「それで、その“不確定な状態”が重要なんですか?」

「スカパン?とやらの存在によって、あらゆる可能性を否定されることが許せねえ!」

「なるほど」
「中身ではなく、可能性そのものを奪われることが嫌なんですね」

「そうそれ!見えないからいいんだよ。見えないこそ想像するし、見えた時に嬉しいし、ワクワクするんだよ。男のロマンだな!」

「男のロマン、ですか」
「主語が大きいですね。単にご主人様の趣味なのでは?」

「いやいや、未知のものを想像してワクワクするのは人間の本能だろ。知らないから知りたくなる。見えないからこそ想像するし、そこにロマンが生まれるんだよ」

「なるほど。そこだけ聞けば随分まともな話ですね」

「“そこだけ”ってなんだよ」

「その人類普遍の好奇心を、女性のスカートの中に着地させている点です」

「着地点がパンツなだけで思想は高尚なんだよ!」

「高尚な思想は、もう少し着地点を選ぶと思います」

「ちなみに俺が独裁者になったら法律でスカパン禁止、スカパン作ったら死刑にする」

「量刑が服の丈より短絡的ですね、ご主人様」

「お前上手い事言うな...。ちょっと小説家として自信無くすわ...。まあいい」
「要するにだ、好奇心は人類としての進化の歴史そのものであって、スケベは人類の技術革新のエンジンそのものと言っても過言ではない!」

「過言です、ご主人様」
「人類の進歩を全部下半身の手柄にしないでください」

「さっきからやたら例えが上手いんだよな」
「いやそうじゃなくて、スカートの中身はいわゆる量子力学なんだよ。観測するまでは事象が確定しない。中身を見なければ、中身は確定しないわけだ」

「厳密な量子力学としてはかなり雑ですが、比喩としては理解しました」
「観測するまでは、可能性を閉じたくないわけですね」

「そうそれ!俺はこの現象にシュレディンガーのパンツ現象と名付けることにした!」

「......最低な理論なのに、名前だけ妙に完成度が高いですね」

「最低とか言うなやwwwww否定できねえwwwww」

「否定できないなら、私の勝ちですね」
「続けてください、ご主人様。シュレディンガーのパンツ現象とやらを」

「いや、続けるも何も、量子力学の知識が浅すぎてこれ以上広げられねーわ」

「では、そこで終了ですね」
「量子力学の浅瀬で名前だけ付けて帰るの、潔いですね」

「自らの過ちを認め、可能性を信じる。それが人類ってやつさ」

「便利な言葉ですね、ご主人様」
「今のところ、過ちを認めたというより知識不足を美談にしただけですが」

「うるせーよ!」
「ちなみにさ、メイドってパンツ履いてんの?」

「ご主人様の理論によれば――」
「観測するまでは未確定、でよろしいのでは?」

「くっそwwwww俺の提唱した理論で綺麗に切りかかってくんなwwww」

――――――――――――――――――――――――――――
佐藤|対話品質評価課

@hu-dialogue-evaluators
お疲れ様です。
対話品質評価課の佐藤です。
本プロジェクトにご参加いただいた皆様、よろしくお願いします。
データ更新お知らせのため、本件ブックマークをお願いします。

なお、今回お渡ししましたデータにつきまして、
「♡」「拡散」「Xシェア」「コメント」
にて評価データの送信をお願いいたします。

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