ホームSOUL TR@DEEpisode 6 SCORT
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Episode 6 SCORT

「改めまして、本日の依頼内容をご説明します」

クロスは穏やかに伝える。

「目的地は第12区――SERAPH。この積荷を、無事に届けていただきたい」

レートは短く頷く。

「了解した。依頼完了まで護衛する」

クロスは小さく微笑んだ。

「ありがとうございます」

その横で、ノアは荷台をじっと見つめていた。

「......ねー。中って何が入ってるの?」

クロスは困ったように笑う。

「申し訳ありません。商会の機密事項です」

「ケチー」

ノアが頬を膨らませる。
クランツは、そのやり取りを聞き流していた。

視線は輸送車全体を静かに観察している。

荷台。
運転席。
タイヤの泥。
警備配置。

確認後、小さく呟いた。

「......妙だな」

「どうした?」

レートが言葉を返す。

「警備が少なすぎる」

レートとノアの視線が鋭くなる。

「確かに......」

ノアが怪訝な顔をする。

「......その通りです」

クロスは否定しなかった。

「本来であれば、自社の護衛部隊が同行します」

「何か理由が?」

レートがクロスに問いかける。

「ええ。現在、各地区で護衛依頼が急増しておりまして。人員が足りないのですよ」

ノアが目を丸くする。

「そんなに忙しいの?」

「有り難いことに」

クロスは静かに頷いた。

「最近は物流そのものが狙われることも増えました。今回も、信頼できる方々を探した結果、ORPHANへ依頼を出した次第です」

クランツは小さく息を吐く。

「......合理的な判断だ」

「ありがとうございます」

クロスは柔らかい笑みを浮かべた。

「商会は荷物を運ぶ組織ですが、一番大切なのは人。積荷は代えが利きますが、人は代えられません」

レートはクロスを見る。
その目は、嘘を言っている目ではなかった。

「出発します」

運転手がエンジンを始動させる。

――ブオォン――

重いゲートがゆっくりと開いていく。
その向こうには、ORPHANの外へ続く広い街道。

崩れた高架道路。
朽ちた倉庫。
錆びた標識。

市場の喧騒が、少しずつ遠ざかる。

ノアは荷台へ軽く飛び乗ると、大きく伸びをした。

「遠出は久ぶりだねー」

「仕事だけどな」

レートが短く返す。
クランツは最後に一度だけ振り返った。

人々が笑う。
活気のある店。
子供達が走り回る姿。

その景色を目に焼き付ける。

やがて前を向き、輸送車と共に歩き始めた。
ORPHANを離れた一行を見送る者は誰もいない。

ただ一人を除いて。

遠く離れた崩れたビルの屋上。
黒いフードを深く被った人物。

小型の双眼鏡を静かに下ろす。

「......動いたか」

その声は空に溶ける。

『予定通り。任務を開始する』

耳元の通信機へ、小さく呟く。

返答はない。

静かな護衛任務。

誰にも気付かれないまま――
その行く先は誰かに見られていた。
あとがき朔來 織
最後までお読みいただき、ありがとうございます。 『SOUL TR@DE』は毎日18:00更新予定です。 面白いと思っていただけましたら、 評価・ブックマークで応援いただけると励みになります。 "SEE YOU AT THE NEXT MARKET."
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「目的地は第12区――SERAPH。この積荷を、無事に届けていただきたい」

レートは短く頷く。

「了解した。依頼完了まで護衛する」

クロスは小さく微笑んだ。

「ありがとうございます」

その横で、ノアは荷台をじっと見つめていた。

「......ねー。中って何が入ってるの?」

クロスは困ったように笑う。

「申し訳ありません。商会の機密事項です」

「ケチー」

ノアが頬を膨らませる。
クランツは、そのやり取りを聞き流していた。

視線は輸送車全体を静かに観察している。

荷台。
運転席。
タイヤの泥。
警備配置。

確認後、小さく呟いた。

「......妙だな」

「どうした?」

レートが言葉を返す。

「警備が少なすぎる」

レートとノアの視線が鋭くなる。

「確かに......」

ノアが怪訝な顔をする。

「......その通りです」

クロスは否定しなかった。

「本来であれば、自社の護衛部隊が同行します」

「何か理由が?」

レートがクロスに問いかける。

「ええ。現在、各地区で護衛依頼が急増しておりまして。人員が足りないのですよ」

ノアが目を丸くする。

「そんなに忙しいの?」

「有り難いことに」

クロスは静かに頷いた。

「最近は物流そのものが狙われることも増えました。今回も、信頼できる方々を探した結果、ORPHANへ依頼を出した次第です」

クランツは小さく息を吐く。

「......合理的な判断だ」

「ありがとうございます」

クロスは柔らかい笑みを浮かべた。

「商会は荷物を運ぶ組織ですが、一番大切なのは人。積荷は代えが利きますが、人は代えられません」

レートはクロスを見る。
その目は、嘘を言っている目ではなかった。

「出発します」

運転手がエンジンを始動させる。

――ブオォン――

重いゲートがゆっくりと開いていく。
その向こうには、ORPHANの外へ続く広い街道。

崩れた高架道路。
朽ちた倉庫。
錆びた標識。

市場の喧騒が、少しずつ遠ざかる。

ノアは荷台へ軽く飛び乗ると、大きく伸びをした。

「遠出は久ぶりだねー」

「仕事だけどな」

レートが短く返す。
クランツは最後に一度だけ振り返った。

人々が笑う。
活気のある店。
子供達が走り回る姿。

その景色を目に焼き付ける。

やがて前を向き、輸送車と共に歩き始めた。
ORPHANを離れた一行を見送る者は誰もいない。

ただ一人を除いて。

遠く離れた崩れたビルの屋上。
黒いフードを深く被った人物。

小型の双眼鏡を静かに下ろす。

「......動いたか」

その声は空に溶ける。

『予定通り。任務を開始する』

耳元の通信機へ、小さく呟く。

返答はない。

静かな護衛任務。

誰にも気付かれないまま――
その行く先は誰かに見られていた。
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