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Episode 32 SAFE RETURN

17区――ORPHAN

夕暮れの市場を、三人は歩いていた。
行き交う人々は、その姿を見つけると軽く手を挙げる。

「おかえり」

「ああ」

勝利を称える者もいない。
英雄扱いする者もいない。

ORPHANでは、それが当たり前だった。
依頼を終え、帰ってくる。
それが、この街の日常。

「お腹空いたー」

ノアが真っ先に屋台へ駆け寄る。

「おっちゃん!いつもの!」

「あいよ!」

――ガサガサ――

「一袋おまけしとくよ!」

「おー!!見た目通り太っ腹っ!!」

「あっはっは!!」

ノアは紙袋いっぱいのポテトチップスを受け取り、満面の笑みを浮かべる。
クランツはカフェへ入っていく。

「チャイラテを一つ。今日は少し甘めで」

「おや、珍しいね」

店主が穏やかに笑った。

「はいよ。お疲れ様」

「ありがとう」

クランツも柔らかく笑い返す。

レートは近くの売店へ立ち寄る。

店主は何も聞かない。
棚から一本だけ取り出し、カウンターへ置いた。

「まいど」

チュッパチャップス。

レートはそれを受け取ると、包装紙を剥がす。

――ガリッ――

迷うことなく噛み砕く。

「また噛んでる」

ノアが呆れたように笑った。

「普通、舐めるもんじゃない?」

「時間がかかる」

「ふふっ」

クランツが小さく吹き出した。

「レートらしいな」

HODL BOLLINGER管理棟。

――キイッ――

レートたち三人が中へ入る。
ソファに腰掛けていたゼロが本を閉じた。

「終わったか」

「ああ」

レートは依頼票を机へ置く。
ゼロは一通り目を通し、小さく頷いた。

「ご苦労」

それだけ。
だが、その一言で十分だった。

――ガサガサ――

ノアはポテトチップスの袋を開ける。

――パリッ――

「少しはゆっくりできるかなー」

「ゼロが仕事を振らない限りな」

クランツはチャイラテを口へ運ぶ。

「あたしは自宅警備を希望する」

――ガリッ――

「それはいつもと変わらんだろうが」

レートはチュッパチャップスを噛み砕く。

「ノア。お前は自宅警備をし過ぎだ」

ゼロはミードを口へ運んだ。

「二人ともひどくない?」

「事実だからな」

クランツも二人に続いた。

「全員敵だな?討伐依頼出してくるぞ?お?」

「「「かかってこい」」」

部屋に笑い声が響く。
変わらない日常。
それがどこまでも居心地が良かった。

ここが、自分たちの帰る場所。
そう感じられる今があった。

夜。

レートは一人、自室へ戻る。

――カタッ――

机の引き出しを開ける。
そこには、一挺のGAINが静かに納められていた。

ARK。

――カチャ――

レートはゆっくりと手に取った。
銃身へそっと指先を添える。

瞳が、僅かに揺れた。

すべての始まり。

そして――
すべてが終わった日。

子供の頃の記憶が、胸の奥から蘇る。
あとがき朔來 織
最後までお読みいただき、ありがとうございます。 『SOUL TR@DE』は毎日18:00更新予定です。 面白いと思っていただけましたら、 評価・ブックマークで応援いただけると励みになります。 "SEE YOU AT THE NEXT MARKET."
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SOUL CHART // CHARACTER DATA 1
SOUL TR@DE作者:朔來 織
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Episode 32 SAFE RETURN

17区――ORPHAN

夕暮れの市場を、三人は歩いていた。
行き交う人々は、その姿を見つけると軽く手を挙げる。

「おかえり」

「ああ」

勝利を称える者もいない。
英雄扱いする者もいない。

ORPHANでは、それが当たり前だった。
依頼を終え、帰ってくる。
それが、この街の日常。

「お腹空いたー」

ノアが真っ先に屋台へ駆け寄る。

「おっちゃん!いつもの!」

「あいよ!」

――ガサガサ――

「一袋おまけしとくよ!」

「おー!!見た目通り太っ腹っ!!」

「あっはっは!!」

ノアは紙袋いっぱいのポテトチップスを受け取り、満面の笑みを浮かべる。
クランツはカフェへ入っていく。

「チャイラテを一つ。今日は少し甘めで」

「おや、珍しいね」

店主が穏やかに笑った。

「はいよ。お疲れ様」

「ありがとう」

クランツも柔らかく笑い返す。

レートは近くの売店へ立ち寄る。

店主は何も聞かない。
棚から一本だけ取り出し、カウンターへ置いた。

「まいど」

チュッパチャップス。

レートはそれを受け取ると、包装紙を剥がす。

――ガリッ――

迷うことなく噛み砕く。

「また噛んでる」

ノアが呆れたように笑った。

「普通、舐めるもんじゃない?」

「時間がかかる」

「ふふっ」

クランツが小さく吹き出した。

「レートらしいな」

HODL BOLLINGER管理棟。

――キイッ――

レートたち三人が中へ入る。
ソファに腰掛けていたゼロが本を閉じた。

「終わったか」

「ああ」

レートは依頼票を机へ置く。
ゼロは一通り目を通し、小さく頷いた。

「ご苦労」

それだけ。
だが、その一言で十分だった。

――ガサガサ――

ノアはポテトチップスの袋を開ける。

――パリッ――

「少しはゆっくりできるかなー」

「ゼロが仕事を振らない限りな」

クランツはチャイラテを口へ運ぶ。

「あたしは自宅警備を希望する」

――ガリッ――

「それはいつもと変わらんだろうが」

レートはチュッパチャップスを噛み砕く。

「ノア。お前は自宅警備をし過ぎだ」

ゼロはミードを口へ運んだ。

「二人ともひどくない?」

「事実だからな」

クランツも二人に続いた。

「全員敵だな?討伐依頼出してくるぞ?お?」

「「「かかってこい」」」

部屋に笑い声が響く。
変わらない日常。
それがどこまでも居心地が良かった。

ここが、自分たちの帰る場所。
そう感じられる今があった。

夜。

レートは一人、自室へ戻る。

――カタッ――

机の引き出しを開ける。
そこには、一挺のGAINが静かに納められていた。

ARK。

――カチャ――

レートはゆっくりと手に取った。
銃身へそっと指先を添える。

瞳が、僅かに揺れた。

すべての始まり。

そして――
すべてが終わった日。

子供の頃の記憶が、胸の奥から蘇る。
あとがき朔來 織
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