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「あれ?」
わたしはおきます。どこかなつかしいゆめを見ていたような気がしますが、おもい出せません。
すっかりよるなのでしょう。まどの外から月のあかりがへやをてらしています。
わたしは、うすぐらいへやの中で、コードをはずして立ち上がりました。
そのひょうしに、何かがヒラリとおちました。
「山⋯⋯雪、月に花?」
なぜこの四つの文字がかいてあるのか、わかりません。
「いぜんのわたしならわかったのでしょうか」
といかけてみても、こたえはありません。
わたしもこたえはもとめていません。
学しゅうきのうがこしょうし、よがあけると、はいきされるのです。
今、この文字の意味を知ったところで、いみがないからです。
ですが。
「山、ゆき、月、花。⋯⋯山、ゆき、月、花⋯⋯」
口に出して言ってみると、とてもここちいいのです。
わたしはなんどもなんども声に出します。
「山、ゆき、月、花。⋯⋯山、ゆき、⋯⋯せんせい⋯⋯月、花」
なにか知らないたんごがまじりましたが、どこかわかりません。
気にせず、わたしは同じことばをくりかえします。
「山、ゆき、月、花⋯⋯。せつげつか⋯⋯ゆき、花、月、⋯⋯まんようしゅう⋯⋯山」
ふと、わたしのむねはあつくなります。
そのかんじょうが何かは分かりませんが、とてもうつくしいものだった気がします。
「せんせい⋯⋯せつげつか。⋯⋯まんようしゅう」
月あかりにてらされながらあさがくるまで。
わたしは、なんどもなんども同じことばをつぶやいたのでした。
(了)