漫画を描いている友人に会いに行きました。
048
「よお......ニート野郎、来たぞ......」
俺はマンションのインターホンを押した......でも返事はない
「まさか寝てるんじゃないだろうな!!」
俺は何度もインターホンを押した......周りの人がだんだんこっちを見始めていた......
「電話しても出ないし」
「あの......すみません......」
その時、黒いスーツを着た筋肉質な中年男性が俺の後ろに立っていた
「あ......すみません......」
映画に出てくるスパイっぽい雰囲気だけど......その筋肉質な体格じゃスパイは無理だろうな......
「千代子先生の......今月の原稿を受け取りに来ました......」
あれ......この人、こいつの担当編集さんか......じゃあ話しやすいな
「千代子先生......9月20日に原稿を受け取る約束だったと思うんですけど......年始の時みたいにまた日にち忘れてないですよね......」
インターホンの向こうは相変わらずシーンと静まり返っていた......マジかよ......
「あの......すみません......」
「はい?......」
まるでラブコメ漫画に出てくる過保護なお父さんみたいだな......
「あの......俺も千代子先生に仕事の相談で来たんです......後輩のVTuberモデルを描いてもらいたくて......」
「そうなんですか......申し訳ないです......千代子先生、いつもこうなんですよ、締め切りが近づくといつもこんな感じで」
なんだそれ......
「ですよね......こいつ、学生時代からこんな感じでしたよ」
「知り合いなんですか......先生と......」
「同じグループの友達で、図書室の部活も一緒だったんです。だからオタク系の引きこもりタイプなんですよ」
「ははは......そうなんですよ......初めて会った時は可愛らしい性格だったんですけど、単行本の発売時期になった途端、漫画を描くのが怖くなっちゃうんです」
「はははは!!」
陰口をたたきすぎたせいか、インターホンから大きな声が聞こえてきた
{ちょっと......聞こえてますからね......そうやって陰口叩くのよくないですよ......}
「あ、罠にかかったな......ドア開けてください」
{あ!!やだ......ごめんなさいー!!まだ最後の2ページ終わってないんです......ごめんなさーい!!どうか許してください!!!}
彼女の声が急に甲高くなった......なんか面白いな
「おい!!俺の仕事すっぽかす気か!!」
{アキト!!ごめんなさいいい......本当にごめんなさい!!!}
俺と担当編集さんは楽しそうに顔を見合わせて笑った
そしてすぐにドアの鍵が開いた
「行きましょうか......あ、俺、山中恋泉です」
「青山アキトです......」
「先生をいじめないでくださいよ......もう......」
俺たちのためにドアを開けてくれたのは彼女のアシスタントだった......そして俺の友人の千代子は、すぐに落ち込んだ様子で原稿を描き続けていた
千代子花火......少女漫画『晴れやかな青空の関係』の作家で、内容は内気な少女ナオミが、危険人物として有名で近づいてはいけないと言われている不良の武田健一と親しくなりたいと思う話。ナオミは彼が実はすごくいい人だという秘密を知ってしまい......それで彼と親しくなりたいと思う。この物語は俺の友人、小仁人イクロと、池袋で一番強い不良として知られる先輩、花沢カトの話にインスパイアされていて......その不良を大人しくさせられる小柄な生徒会長の話でもある......
聞いた話だと、この作品はかなり人気らしくて、サちゃんたちもハマって読んでいるくらいだ......たった10巻しか出ていないのに、売上は150万部を突破している
しかも来年アニメ化も決まっている......本当にすごいことだ
「思ったより部屋広いな......双葉お嬢様のマンションと同じくらい広いや......」
双葉お嬢様のマンションは一部屋一フロア......各部屋が2階建て......俺みたいな人間には絶対払えない超高級マンションだ
「双葉お嬢様?......更谷敷さんっていう......あの大富豪をご存知なんですか?」
「学生時代の友人です......一時期彼女の仕事を手伝ってたことがあって......」
そう言い終えると、千代子以外の部屋にいる全員が警戒するような目で俺を見た......まあね、あのお嬢様、一時期FBIに追われてたこともあったし......
「でも今はもう彼女とは仕事してないんで......」
部屋にいる全員がほっと胸をなでおろした......まったく......
俺と山中さんはデジタル原稿の仕上げ作業を手伝った......ベタ塗りやスクリーントーン貼りとか、そんなに難しい作業じゃない......
「あ、そういえばアキト......ホシちゃんと別れたって聞いたけど......」
こう聞くってことは、彼女はホシノの結婚式には行かなかったんだろうな......でも招待状は送ったはずなんだけど......
「もうかなり前に別れたよ......でも今は新しい彼女がいるんだ」
俺はサちゃんの写真を見せた......彼女は俺の彼女があんなに可愛いことに少し驚いていた
「まあいいや......とにかく幸せそうで何より......大学時代はずっと暗い顔してたもんね......」
「そう?......彼女が卒業したら結婚しようと思ってるんだ......」
「きゃー!!~~」
女性アシスタントたちが一斉にはしゃぎ出した......まあ......ね......
「それで、あんたの彼女のVTuberモデルをデザインしてほしいってこと?」
「俺の彼女じゃなくて......チームのメンバーだよ、ヘレナミスティックの」
「あっ!!」
突然部屋にいる全員が一斉に声を上げた......
「みんな見てるの?」
「見てますよ!!私、ララちゃん推してます!!彼女、ホラーゲームやってても全然怖がってなくて......」
「私はシャクちゃん推しです......あ......あっ!!あなたアキさんですよね、シャクちゃんの彼氏の......」
「え!?......マジで......」
「うん......アキさん、体験談チャンネルやってる方ですよね......夜遊びの話とかしてる......」
「あー......思い出した......」
まったく......あんな話するんじゃなかった......
「ところで......山中さんも見てるんですか?」
「まあ......短いクリップをちらっと見る程度で......そんなに真剣には見てないですけど......でもあなたの話し方好きですよ、すごく上手いですね......いやあ、思い出せなかったなんて本当にすみません」
「褒めてくれてありがとうございます......」
「あーあ......よかったね有名人さん......ファンに会えてどんな気分?」
「まあ、いい気分だよ......」
そして彼女はLINEでファイルを送ってきた
「終わったよ......これは白黒データ、彩色はあんたの彼女に任せる......絵も描けるんでしょ......」
彩色まで仕上げてくれよ......面倒くさがりがまた出たのか
「はい、これ......今月の原稿......本当にありがとうございました......」
「お疲れ様です、先生......」
俺は画像ファイルを開いて見た......すると......
「おお......ブリーフィング通りにぴったりだ......お前、本当にエモ系の女の子描くの上手いな......」
「褒めてくれてありがとう......」
「じゃあ俺は失礼するよ......機会があったら焼肉行こうか?アキトさん」
「おお......いいですね......」
みんなが出て行って、残ったのは俺と千代子だけになった......
「アキト......」
「ん?......」
「座ってよ......ちょっと話したいことあるんだよね......久しぶりに会ったし、友達に自分のこと思いっきり話したい気分なんだ」
「いいよ......」