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月野姫は月が嫌い



今から10年前。
ある日忽然月が世界から消えた。

ニュースや新聞で取り上げられ世間は
その現象に驚き、噂した。
何かの陰謀?宇宙の神秘?
謎を解明しようと政府や
大きな機関が動き出す事態にまで発展した。

しかし、月野つきの姫ひめにとって
そんなことはどうでも良いことであった。

クラスメイト達が話すのはいつだって月の話題。
何ヶ月も続くやり取りにうんざりしていた。

それに。

「姫っ」

可愛らしい声に振り向くと真っ直ぐな
長い黒髪を揺らし、雪のように白い肌に
大きな瞳を嵌め込んだ、月の妖精のような
少女が小さく手を振っていた。

心の中で舌打ちをする。

「......かぐや......」

「どうしたの? そんな顔して」

図々しくも隣に腰掛け、
にこにこする彼女に、
モヤモヤとしたものが胸の中に渦巻く。

姫は、双子の妹であるかぐやが
嫌いだった。

優しく微笑むその顔も、
みんなを気遣う優等生ぶりも
周りから慕われるその明るさも、
眩しすぎて、目が眩みそうになる。

自分にないものをすべて持っている
かぐやが嫌い。

あたしは、かぐやとは違って
美人でもないし、人付き合いも上手くできない。
クラスメイトからは陰口を叩かれる。

双子なのにえらい違いだ。

姫は唇を噛み締め膝の上で拳を握った。

どうせ、あんたには
あたしの気持ちなんてわからない。

そんな姫を見たかぐやは
悲しげに眉を八の字にしたあと
差し伸べようとしていた手を
遠慮がちに引っ込めた。

「......ごめんね」

そう言って、友達の元へ戻っていく。
かぐやの友達は妹を無視する姫に
非難するような視線を向けたが、
次の瞬間にはかぐやの言葉に笑顔を浮かべていた。

お月様にはわからない。

日陰者の苦しみなんて。

胸元でぎゅっとリボンを握りしめると
胸がチクリと痛んだ。
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月野姫は月が嫌い②
チーズケーキにかぐや姫は月面着陸できない作者:藤川みはな
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今から10年前。
ある日忽然月が世界から消えた。

ニュースや新聞で取り上げられ世間は
その現象に驚き、噂した。
何かの陰謀?宇宙の神秘?
謎を解明しようと政府や
大きな機関が動き出す事態にまで発展した。

しかし、月野つきの姫ひめにとって
そんなことはどうでも良いことであった。

クラスメイト達が話すのはいつだって月の話題。
何ヶ月も続くやり取りにうんざりしていた。

それに。

「姫っ」

可愛らしい声に振り向くと真っ直ぐな
長い黒髪を揺らし、雪のように白い肌に
大きな瞳を嵌め込んだ、月の妖精のような
少女が小さく手を振っていた。

心の中で舌打ちをする。

「......かぐや......」

「どうしたの? そんな顔して」

図々しくも隣に腰掛け、
にこにこする彼女に、
モヤモヤとしたものが胸の中に渦巻く。

姫は、双子の妹であるかぐやが
嫌いだった。

優しく微笑むその顔も、
みんなを気遣う優等生ぶりも
周りから慕われるその明るさも、
眩しすぎて、目が眩みそうになる。

自分にないものをすべて持っている
かぐやが嫌い。

あたしは、かぐやとは違って
美人でもないし、人付き合いも上手くできない。
クラスメイトからは陰口を叩かれる。

双子なのにえらい違いだ。

姫は唇を噛み締め膝の上で拳を握った。

どうせ、あんたには
あたしの気持ちなんてわからない。

そんな姫を見たかぐやは
悲しげに眉を八の字にしたあと
差し伸べようとしていた手を
遠慮がちに引っ込めた。

「......ごめんね」

そう言って、友達の元へ戻っていく。
かぐやの友達は妹を無視する姫に
非難するような視線を向けたが、
次の瞬間にはかぐやの言葉に笑顔を浮かべていた。

お月様にはわからない。

日陰者の苦しみなんて。

胸元でぎゅっとリボンを握りしめると
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