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Oblivium  Library––忘却の書庫––

 忘れられた物語は、消えるわけではない。
 忘れられた名前も。
 忘れられた願いも。
 忘れられた愛も。

 ただ、万物から零れ落ちるだけだ。

 だから、この書庫は存在する。

『オブリヴィウム・ライブラリー』

 忘却に沈んだ全てを、記録するために。

「どうした?神話が気に入らなかったか?」
 一人の男が、声を掛けてきた。
「なになに?」
 黒曜の髪と琥珀の眼を持つ者。
「この書庫ができた理由?んなもん俺も知らん」
 久しぶりの来客に、嬉しそうに微笑む。
「嘘嘘、ちゃんと話すよ」
 パチンと指を鳴らした。
「この書庫は根源アルタオによって創られた...要は墓場みたいなものだ」
 男の手元に、幾つかの本が現れた。
 男はその本を大切に持ちながら頁を捲る。
「忘れ去られた記憶、神話、感情」
「その全てを此処に保管する」
「できた理由?確か...タオの言葉によってー...アルカナが定義した?俺も詳しくないんだよ」
 悪いな。と言いながら男は微笑んだ。

「此処は空の神殿って呼ばれる。感情を失い、記憶を失い、名前を失った者しか入れない」

「全てを失って、道タオに流れたモノを、根源が拾ってくれるんだ」
「頑固なアルタオの慈悲かもだし、呪いかも」
「アイツは優しい?そんな話は聞いた事ないな。もしかしたらソレも、忘れられたのかもな」

「俺の名前?はは、俺はあるよ。大事な息子が護ってくれたんだ」

「俺の名はレオマレ・クロウリー」

「今はこの書庫の番人を務めている」
「俺の記憶?あぁ、てことはあの神話も読んでくれたのか」
「そうだな、俺は愛する息子の名も、自分じゃあ思い出せないよ」
「でも居たことだけは覚えてる。力と知恵だけじゃない。俺と息子は、他の仲間にはないモノを持っていた......え、ナニカって?」

「愛だよ」

「いざ言うとなると恥ずかしいな。他の仲間は家族みたいなもんだ。でも息子だけは、特別だった。愛していた。その記憶は、ちゃんと残ってる」
「力と知恵以外に俺と息子が持つ、根源の予想外の感情のせいかもな」
「俺は自身の記憶を対価に、息子を護ったらしいな。この書庫で俺の話を見た」

「じゃあ何故此処にいるか?言っただろ。ここは空の神殿。全てを失った者しか入れない」

「息子が此処に来るのを待ってる。んで、来たら速攻送り帰すんだ!」

「蛇は逃げるために曲がるのではない。
 生きるために、最短を捨てる」

「息子にはちゃんと、俺が死ぬまでの間に色々と残した。俺が死ぬことで、息子は世界に帰れる切符が手に入る」

「ん?ならもう生き返ってる?そうかもな、それならそれでいいんだ。会えなくても、生きてさえくれたら俺はそれでいい」

「俺がなんで此処にいれるかの答えになってない?ははっ、聡いな。俺は元は根源の使い。根源のお許しが出てるんだよ。多分」

「さ、お喋りはここまで!まだまだ神話は残ってるんだ。ほら、選べよ!」
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 忘れられた物語は、消えるわけではない。
 忘れられた名前も。
 忘れられた願いも。
 忘れられた愛も。

 ただ、万物から零れ落ちるだけだ。

 だから、この書庫は存在する。

『オブリヴィウム・ライブラリー』

 忘却に沈んだ全てを、記録するために。

「どうした?神話が気に入らなかったか?」
 一人の男が、声を掛けてきた。
「なになに?」
 黒曜の髪と琥珀の眼を持つ者。
「この書庫ができた理由?んなもん俺も知らん」
 久しぶりの来客に、嬉しそうに微笑む。
「嘘嘘、ちゃんと話すよ」
 パチンと指を鳴らした。
「この書庫は根源アルタオによって創られた...要は墓場みたいなものだ」
 男の手元に、幾つかの本が現れた。
 男はその本を大切に持ちながら頁を捲る。
「忘れ去られた記憶、神話、感情」
「その全てを此処に保管する」
「できた理由?確か...タオの言葉によってー...アルカナが定義した?俺も詳しくないんだよ」
 悪いな。と言いながら男は微笑んだ。

「此処は空の神殿って呼ばれる。感情を失い、記憶を失い、名前を失った者しか入れない」

「全てを失って、道タオに流れたモノを、根源が拾ってくれるんだ」
「頑固なアルタオの慈悲かもだし、呪いかも」
「アイツは優しい?そんな話は聞いた事ないな。もしかしたらソレも、忘れられたのかもな」

「俺の名前?はは、俺はあるよ。大事な息子が護ってくれたんだ」

「俺の名はレオマレ・クロウリー」

「今はこの書庫の番人を務めている」
「俺の記憶?あぁ、てことはあの神話も読んでくれたのか」
「そうだな、俺は愛する息子の名も、自分じゃあ思い出せないよ」
「でも居たことだけは覚えてる。力と知恵だけじゃない。俺と息子は、他の仲間にはないモノを持っていた......え、ナニカって?」

「愛だよ」

「いざ言うとなると恥ずかしいな。他の仲間は家族みたいなもんだ。でも息子だけは、特別だった。愛していた。その記憶は、ちゃんと残ってる」
「力と知恵以外に俺と息子が持つ、根源の予想外の感情のせいかもな」
「俺は自身の記憶を対価に、息子を護ったらしいな。この書庫で俺の話を見た」

「じゃあ何故此処にいるか?言っただろ。ここは空の神殿。全てを失った者しか入れない」

「息子が此処に来るのを待ってる。んで、来たら速攻送り帰すんだ!」

「蛇は逃げるために曲がるのではない。
 生きるために、最短を捨てる」

「息子にはちゃんと、俺が死ぬまでの間に色々と残した。俺が死ぬことで、息子は世界に帰れる切符が手に入る」

「ん?ならもう生き返ってる?そうかもな、それならそれでいいんだ。会えなくても、生きてさえくれたら俺はそれでいい」

「俺がなんで此処にいれるかの答えになってない?ははっ、聡いな。俺は元は根源の使い。根源のお許しが出てるんだよ。多分」

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