Custos Oblivionis––忘却の番人––
白い床をコツコツと歩いていた。
突然、後ろから声がした。
「お?」
振り返ると、誰もいなかった。
「珍しい来客だな」
前を振り向くと、既にそこに立っていた。
まるで、最初からそこに居たかのように。
黒い髪をゆらゆらと揺らしながら、男は言う。
「ご機嫌よう」
指をパチンと鳴らした。
「Oblivium libraryへようこそ」
その瞬間、白い壁と床から視点が変わる。
まるで、魔法のようだった。
「俺はこの書庫の番人だ」
琥珀の眼が輝いた。
「さあ、頁をめくればそこは神話の中!」
本が意思を持つように空中に浮かぶ。
「ある神話は名を失った王!」
「またある神話は声を失った者!」
楽しそうに、男は微笑んだ。
「さまざまな神話は、お前の心をきっと満たすことになるだろう」
「さあ、神話を見る覚悟はできたか?」
できたのなら、頁をめくって。