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⑧ 村田京子の場合(免許皆伝)

 京子が祖母宅に訪問してから、三日目を迎えた。
 今また、初日と同様に、二十畳の和室で、聖子と京子は向かい合って座っていた。

「今日の午前中まで、集中してよくがんばりましたね」
 祖母から孫娘にねぎらいの言葉がかけられる。
「おばあ様、三日間本当にありがとうございました」
 両手を着いて頭を下げ、孫娘が答える。

「才能ある若者は素敵ね。正直な話、たった三日でここまで上達するとは予想していませんでした」
「おばあ様の教え方が、的確で、理解しやすかったからだと思います」
「これからも、暇を見つけては、自主練習に励んでくださいね」
「はい」

「アナタを送り出すにあたって、いくつか伝えておきたいと思います」
「はい。お願いします」
「まず、そのチカラを今後どう使うかは、アナタの自由です」
「......」

「ただし、大いなるチカラには大いなる責任が伴うのです」
「はい」
「......まあコレは、とあるアメリカのコミックスからの、受け売りだけれどね」

 祖母は悪戯っぽい笑顔を見せる。
「そう......なんですね?」
 祖母は若い頃、ニューヨークで暮らしたことがあるのだった。

「真面目な話、これからの人生で、何が正義かは、難しいけど......何が悪かは、分かりやすいと思います......そのチカラは、自分が正しいと思う時にだけ、大切な人のためにだけ、こっそり使いなさい」
「はい。そうします」

「感情のままに、大衆の面前でチカラを使うと、後々、とても面倒なことになります。かつて東北で、雪女と呼ばれた者たちも、恐らく、我々の一族の失敗例でしょう。せいぜい妖怪扱いされないように、お互い、自重しましょう。」
 最後はまるで、自分自身に言い聞かせるような、祖母の言葉だった。

 これで、免許皆伝とまでは行かないまでも、祖母宅訪問前より、京子の気持ちがかなり楽になったのは、確かである。

「でもこんなチカラ、一生使わずに済むなら、それが一番イイ」 
 国鉄で帰路につきながら、京子は、そう思うのであった。

 コレが1974年1月3日の事である。

 ......因みに、ディズニーアニメ「アナと雪の女王」の日本公開は、それから40年先の話であった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

※ 以下、
真田雪子の第零章(セーラー服と雪女シリーズ③)に続く。挿絵AIで作った挿絵
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彼女たちはモブじゃない!(セーラー服と雪女 第一部②)作者:サナダムシオ
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⑧ 村田京子の場合(免許皆伝)

 京子が祖母宅に訪問してから、三日目を迎えた。
 今また、初日と同様に、二十畳の和室で、聖子と京子は向かい合って座っていた。

「今日の午前中まで、集中してよくがんばりましたね」
 祖母から孫娘にねぎらいの言葉がかけられる。
「おばあ様、三日間本当にありがとうございました」
 両手を着いて頭を下げ、孫娘が答える。

「才能ある若者は素敵ね。正直な話、たった三日でここまで上達するとは予想していませんでした」
「おばあ様の教え方が、的確で、理解しやすかったからだと思います」
「これからも、暇を見つけては、自主練習に励んでくださいね」
「はい」

「アナタを送り出すにあたって、いくつか伝えておきたいと思います」
「はい。お願いします」
「まず、そのチカラを今後どう使うかは、アナタの自由です」
「......」

「ただし、大いなるチカラには大いなる責任が伴うのです」
「はい」
「......まあコレは、とあるアメリカのコミックスからの、受け売りだけれどね」

 祖母は悪戯っぽい笑顔を見せる。
「そう......なんですね?」
 祖母は若い頃、ニューヨークで暮らしたことがあるのだった。

「真面目な話、これからの人生で、何が正義かは、難しいけど......何が悪かは、分かりやすいと思います......そのチカラは、自分が正しいと思う時にだけ、大切な人のためにだけ、こっそり使いなさい」
「はい。そうします」

「感情のままに、大衆の面前でチカラを使うと、後々、とても面倒なことになります。かつて東北で、雪女と呼ばれた者たちも、恐らく、我々の一族の失敗例でしょう。せいぜい妖怪扱いされないように、お互い、自重しましょう。」
 最後はまるで、自分自身に言い聞かせるような、祖母の言葉だった。

 これで、免許皆伝とまでは行かないまでも、祖母宅訪問前より、京子の気持ちがかなり楽になったのは、確かである。

「でもこんなチカラ、一生使わずに済むなら、それが一番イイ」 
 国鉄で帰路につきながら、京子は、そう思うのであった。

 コレが1974年1月3日の事である。

 ......因みに、ディズニーアニメ「アナと雪の女王」の日本公開は、それから40年先の話であった。
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真田雪子の第零章(セーラー服と雪女シリーズ③)に続く。挿絵AIで作った挿絵
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